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鉄板焼き、それも鉄板ビストロと聞いて、皆さんはどんなイメージを抱くだろうか? 鉄板の上でジュージューと旨そうな音を立てる肉や魚介、そして、シェフの無駄のない仕事ぶり。それらを目の前で眺めながら、でき立ての料理とお酒を堪能……。

手間をかけた料理がリーズナブルに楽しめる鉄板ビストロ

鉄板焼き、それも鉄板ビストロと聞いて、皆さんはどんなイメージを抱くだろうか? 鉄板の上でジュージューと旨そうな音を立てる肉や魚介、そして、シェフの無駄のない仕事ぶり。 それらを目の前で眺めながら、出来立ての料理とお酒を堪能……。 まさにセレブそのものである。 このように、鉄板焼き=高級と思うのは、私だけではあるまい。

しかし、そんな予想を見事に裏切ってくれたのが、今年9月、名古屋・栄三丁目にオープンした『鉄板ビストロ SAM”S(サムズ)』。 居酒屋感覚で楽しめると評判を集めているのだ。

早速、オススメのメニューを作っていただくことに。 まず、出されたのは、人参に豚バラ肉を巻きつけて焼き上げた「とろとろ人参のオーブン焼き」(626円)。 メニュー名の通り、人参はとろとろの食感! 濃厚な甘みが見事なまでに引き出されていて、口の中で豚バラ肉のジューシーな脂と一体になる。 こりゃ、たまらん! 辛口の白ワインかスパークリングワインとのマリアージュは最高だろう。

続いて、「自家製スモークレバー」(518円)。 筋や血などをていねいに処理しているためか、クセや臭みはまったくない。 しっとりとした食感や濃厚な味わいとともにスモークの香りがふわっと広がって、鼻から抜ける。 こんなにも旨いレバーを食べたのは初めてだ。

「高級食材に頼るのではなく、どこにでもある食材をひと手間もふた手間もかけているのが、ビストロの醍醐味だと思うんです。それがウチの特徴でもあります。 とくにこのレバーは、店で出すまでに4日間かかります」と、店主の齊木治さん。

最後は、目の前で焼き上げてくれる「和牛ヒレステーキ」。 140グラムの牛ヒレ肉を鉄板でていねいに火を入れていく。 これ! 私はこれを待っていたのだ(笑)。 肉の両面とサイドを焼き上げて、完成!

カットされた肉の断面を見ると、完璧なミディアムレア。 味付けは塩とコショウ、ワサビのみ。いわば、それだけ肉質に自信があるということだ。 では、実食! おおっ、むちゃくちゃやわらかい! その上に噛むごとに赤身ならではのしっかりとした味が広がる。 願わくば、ずっと噛んでいたい(笑)。 この「和牛ヒレステーキ」、いったい値段はいくらなんだろう。

「和牛のメスにこだわっていますので、本当はもっといただきたいところなんですが…… 2138円です。 居酒屋感覚で楽しんでいただけるように頑張っています」 そう話す齊木さんは、かつて洋食レストランを手掛ける会社の調理担当として飲食業界に飛び込み、店舗の運営や管理も任されていた。 「もともと自分の店を持つという夢はあったのですが、安定したサラリーマン生活に胡座をかき、いつしか心の片隅に追いやっていました。 2年前に父親が他界して、自分にに残された時間は、あとどれくらいだろうと自問するようになり、夢を忘れていたことに気が付いたんです。 1人でフラッと立ち寄れて、カウンターで隣り合わせたお客さん同士が仲良くなれるような店にしたいと思っています」と、齊木さん。 長年勤めた会社を円満退社し、独立した後も当時の上司や部下たちが店に足繁く通っているという。 まさに齊木さんの人徳だろう。

鉄板ビストロ SAM”S 愛知県名古屋市中区栄3-12-14 プリンセス遠山ビル2階 [TEL]052-217-3131 [営]17:00~24:00 [休]日

永谷正樹(ながや・まさき) 1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

この記事のライター

永谷正樹
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