最近では丁寧な仕事を施した江戸前寿司が主流になりつつある名古屋の寿司で、一つだけネックになるのが、値段。とにかく高い……。そんななか、本格的な江戸前寿司だけではなく、趣向を凝らした和食もリーズナブルに楽しめる店を見つけた。しかも、高級寿司店が軒を連ねる中区錦三丁目で!
画像ギャラリー高級寿司店が軒を連ねる錦三丁目の穴場!『鮨割烹わらじん 錦店』で寿司と斬新な和食に舌鼓!
ネタもデカけりゃ、シャリもデカい。
しかも、味付けはやや甘め……。
ひと昔前まで、名古屋の寿司といえばこんな感じだった。
しかし、最近では、ネタを適度に熟成させたり、酢や塩で締めたりと、丁寧な仕事を施した江戸前寿司が主流になりつつある。
ただ、一つだけネックになるのが、値段。
とにかく、高いのだ。
いちばん安いコースでも8000円。
しかし、ほどんどの客はその上の、10000円や12000円のコースを注文する。
と、なると、お酒を飲んだら、13000円~15000円になってしまう。
庶民にとってはハードルが高すぎる。
そんななか、本格的な江戸前寿司だけではなく、趣向を凝らした和食もリーズナブルに楽しめる店を見つけた。
しかも、高級寿司店が軒を連ねる中区錦三丁目で!
それが名古屋銀行本店の北側、本重町通沿いにある『鮨割烹わらじん 錦店』だ。
月替わりの会席コースは、4980円と6980円、9980円、12000円、15000円と、細かく設定されている。
寿司も料理も堪能したいならば、6980円の「店主一押しコース」(写真)がオススメだ。
内容は、前菜七種盛りと、変わり茶碗蒸し、造り、強肴、温菜、鮨5貫、締めの玉子焼、赤出汁、甘味の全9品と、ボリュームも十分。
カウンターの向こうで腕を振るうのは、店長を務める水野敬彦さん。
京都にある寿司と京料理の店での修業経験を生かして、伝統的な和食から、それらを独自のアイデアと技術でブラッシュアップしたものまで、手際よく作り上げる。
とにかく引き出しが多いのだ。
コース内の料理でそれをもっとも如実に現しているのが、変わり茶碗蒸し「-5℃のカニ味噌ソルベとかにの茶碗蒸し」。
水野さんによると、
「みりんと醤油をくわえて練って、凍らせたカニ味噌をのせています。
チョコレートのように、時間が経つにつれて変わっていく食感が楽しめます」とか。
また、強肴「うなぎ黄金鍋」は、焼いたうなぎの骨でとったダシに白焼きをくぐらせて、卵黄入りのタレでいただく店の名物。
これも、うなぎ=蒲焼きという概念を覆す、かなりの変化球だが、きちんとした和食のひと品として完成されている。
コースのなかでも圧巻は、やはり寿司だ。
ネタの状態に合わせて隠し包丁を入れたり、昆布締めにしたりと、1貫ごとに多彩な技が凝縮されているのだ。
シャリの握り具合も絶妙で、適度な弾力がありながら、口の中でほどけてネタの旨みと一つになる。
これが水野さんが握る寿司の真骨頂なのだ。
本当に寿司は奥が深い。
鮨割烹わらじん 錦店
[住所]愛知県名古屋市中区錦3-19-5 第八錦ビル別館1階
[TEL]052-228-8988
[営業時間]17時~24時(23時半L.O.)
[定休日]日(日を含む連休の場合は月休)
永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。
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