梅茶漬けでシメるひつまぶしを名物に! うなぎの新店『ひつまぶし 花岡』の挑戦
ここ2、3年、名古屋ではうなぎ店のオープンが相次いでいる。
とくに名古屋駅や栄など都心部に多いところを見ると、ひつまぶし目当ての観光客を取りこみたいという店側の意図がうかがえる。
観光客であれば、多少値段が高くても「せっかく名古屋へ来たのだから」と財布の紐も緩くなるのだ。
2016年8月、名古屋・栄3丁目に開店した『ひつまぶし花岡』もその一つ。
店名の通り、ここはひつまぶしが名物。
どの店もそうだが、使用するうなぎの量によって値段が変わる。
3/4尾のうなぎを使った「ひつまぶし 花」(3434円)を注文することに。
おおっ!
お櫃に入ったご飯の上には、肉厚なうなぎがギッシリと敷き詰められているではないか!
これもまた他店と同様に、ひつまぶしにはお吸い物と漬物、薬味、だし汁が付く。
薬味の内容は、ネギとワサビに……ん?
梅干しと大葉!?
うなぎと梅干しは、昔から食べ合わせが悪いとされていたが……。
「食べ合わせについては本当に危険なものから迷信のようなものまでさまざまありますが、うなぎと梅干しは後者ですね。
実は梅干しがうなぎの油分の消化を助け、胃の調子を整えてくれるんです。
また、梅茶漬けにすると、さっぱりとした後味が楽しめます。
うなぎと梅干しは栄養学的にも味覚的にも非常に理に適った組み合わせなんですよ」
と、店長の古田直也さん。
『ひつまぶし 花岡』のオーナーは、うなぎ店を開くのが長年の夢だったそうで、うなぎの焼き加減やタレの味付けなどは独学で学んだという。
開店に向けて、試作と試食を繰り返すなかで、夏バテ防止にうなぎを梅干しとともに食べてみたところ、思いのほか美味しかったというのがきっかけだったとか。
「うなぎと梅干しの食べ合わせは迷信とはいえ、ネガティブな要素であることは間違いありません。
やるべきか否か、すごく迷いましたが、あまりにも美味しかったので、梅茶漬けで〆るひつまぶしを店の名物にしようと思い立ちました。
新参者だからこそできたのだと思っています」(古田さん)
では、早速食べてみよう。
まずは、そのまま食べて、うなぎの焼き具合やタレの味、ご飯の炊き加減をチェックする。
うん、うなぎは肉厚ながらも身はフワフワ。
口の中でとろけるような食感だ。
パリパリで香ばしさが後を引く。
タレはやや甘めの味付けで、ひつまぶしそのものの完成度はかなりのもの。
そして、いよいよ〆の梅茶漬けだが、味がまったく想像できない。
梅干しと大葉をのせたうなぎご飯の上にだし汁をかけて、いただきます!
あっ! 梅干しがそんなに酸っぱくない。
これは、蜂蜜に漬け込んだ梅干しだ。
ほのかな酸味が甘めのタレとうなぎそのものの旨みや香ばしさが口の中で一体となる。
このさっぱりとした味わいは、今までに味わったことがないほど爽やかで、うなぎを食べた後とは思えないほど。
「梅干し以外にもいろいろ考えてますよ。
これからも新参者にしかできないことに挑戦していきますので楽しみにしていてください」と、古田さん。
考えてみれば、ひつまぶしも元々は創作料理であり、今までにない新しい食べ方を提案する店があっても不思議ではない。
[住所]愛知県名古屋市中区栄3-8-115 サンリツノースビル2階 [TEL]052-252-2733 [営業時間]11時~15時、18時~22時 [休日]月曜日
永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。
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