ニッポン“チャーラー”の旅

名古屋のソウルフード『スガキヤ』のチャーラーを実食調査!/ニッポン“チャーラー”の旅 第6回

チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介。今回は名古屋のソウルフード『スガキヤ』の「ラーメン」と「スガキヤ炒飯」を実食です。

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子どもの頃の思い出がたっぷり詰まった『スガキヤ』

名古屋のソウルフードといえば、和風とんこつのやさしい味わいが特徴のスガキヤラーメン。巷のラーメンチェーンのようにロードサイドではなく、出店しているのは、今も昔もショッピングモールのフードコートがメインだ。

私が初めてスガキヤラーメンを食べたのは、小学校へ入学する前の5、6歳の頃。名古屋市西区の「ダイヤモンドシティ」というショッピングセンターの中に『スガキヤ』があり、よく家族で訪れた記憶がある。

筆者の自宅近くのスーパーにある『スガキヤ』

スガキヤラーメンはとにかく安い。私が5歳だった昭和49(1974)年は、具がチャーシューとメンマ、ネギのシンプルな「ラーメン」が120円だったらしい。私の記憶に残っているのは、180円くらいの時代。それは中学生の頃で、友だち数人とよく食べに行った。

『スガキヤ』は、今も昔もセルフサービス。友だちが注文したラーメンを取りに行っている隙に、当時、テーブルに置かれていたコショウのフタを緩めておくのだ。友だちがコショウをかけると、フタがとれてラーメンがコショウまみれになるというイタズラが流行った。私も何度か悪友に仕掛けられた。

今思えば、ムチャクチャだ。ネットにアップされたら間違いなく炎上するだろう。以前に『スガキヤ』へ取材に行ったとき、お詫び申し上げた。ちなみに現在、コショウは商品の受け渡しカウンターにあり、容器も缶になっている。

肉が5枚と温玉がのる「特製ラーメン」も480円と激安

さて、令和3(2021)年現在、「ラーメン」は330円と、相変わらず安い

『スガキヤ』としても客単価を上げるために、私が子どもの頃にはなかったネギやメンマ、肉(各+100円)のトッピングや大盛り(+100円)も可能となった。ご飯もののメニューもこれまでは「五目ごはん」(230円)だけだったのが、「スガキヤビーフカレー」(250円)、そして「スガキヤ炒飯」(350円)もラインナップされた

安くて美味しいのが『スガキヤ』に課せられた使命

「スガキヤ炒飯」の登場はTwitterやFacebookなどSNSではかなり盛り上がっていたものの、私はあまりソソられなかった

なぜなら、町中華のように厨房で炒めているわけではないだろうし、冷凍食品の炒飯以上のものは期待できないと思ったからだ。また、「スガキヤ炒飯」は一部店舗での限定販売。どこで食べられるか公式HPには書かれていない。私の自宅近くにある店では提供されていなかったので、食べる機会もなかった。

「スガキヤ炒飯」のことを忘れかけていたある日、名古屋市千種区のショッピングモール『イオンタウン千種』へ行ったとき、フードコートにある『スガキヤ』で「スガキヤ炒飯」を見つけた。お昼時でお腹が空いていたこともあり、何となく注文してみようと思った。

「ラーメン(大盛り)」(430円)と「スガキヤ炒飯」(350円)。「ラーメン」を並盛りにしても十分すぎるほどボリュームがある

オーダーしたのは、「ラーメン」の大盛りと「スガキヤ炒飯」の計780円。「ラーメン」は、麺がややのびていたものの安定した旨さ。並盛りだとボリューム的に物足りないので、私はいつも大盛りを注文することが多い。

「スガキヤ炒飯」の量は、「五目ごはん」のように茶碗に軽く1杯分くらいと思っていたが、町中華の半炒飯よりも多いのだ。「ラーメン」を大盛りにしたことを悔やんだ。

それにしても、このボリュームで350円というコスパの良さ。さすがは『スガキヤ』である。ありとあらゆるものが値上げされる昨今、この値段をキープするために相当な努力をしているのだろう。

チャーシューがたっぷり入っていて、肉の味もしっかり伝わる

「スガキヤ炒飯」に話を戻そう。具材は、チャーシューと卵、ネギの炒飯における三種の神器。チャーシューの量が多く、肉の味もしっかりと感じる。食感もパラパラ系で悪くはない。とはいえ、やはり直火で炒めた旨さ! というよりも、想像していた通り、冷食のクオリティであることはどうしても否めない。

何度も書いているように、チャーラーの醍醐味は、ラーメンと炒飯のマッチング。交互に食べてみたが、和風とんこつという個性溢れるラーメンと比べると、あまりにも普通すぎる。例えば、とろみをつけた和風とんこつのスープをかけてあんかけ炒飯にするなどアイデアは他にもっとあるはずだ。

幼い頃から親しんできた『スガキヤ』を愛するがゆえに辛口のコメントになってしまったが、きっと、『スガキヤ』もそれは十分にわかっていると思う。前に書いた通り、安くて美味しいものを提供するのが『スガキヤ』の社会的な使命でもあるのだ。

 

撮影・文/永谷正樹

 

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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