人気連載「食」のクイズ第14回は、 コラーゲンがテーマ。「ゼラチン」「寒天」「ペクチン」のどれもが、コラーゲンと関係ありそうですが……。
画像ギャラリーゼリーは凝固剤を加えて固めた食品
【問題】
ゼリーは果汁やシロップにゼラチンなどの凝固剤を加えて固めた食品です。凝固剤にはいくつかの種類がありますが、次のうちコラーゲンからできているものはどれでしょうか?
(1)ゼラチン
(2)寒天
(3)ペクチン
答えは次のページ!
凝固剤を使い分ける
【答え】
(1)ゼラチン
ゼラチンは、牛、豚、魚などの骨や皮に含まれるコラーゲン(動物性タンパク質の一種)を加熱・分解して抽出したものです。ゼリーの凝固剤として一般的に使用されています。
(2)の寒天は、テングサやオゴノリなどの海藻から抽出される多糖類です。江戸時代、冬に戸外に置いておいたところてんが凍り、日に照らされ乾物化し、偶然発見されたといわれます。第二次世界大戦までは日本の重要な輸出品でした。練り羊羹のほか和菓子の原料として広く使用されてきました。近年ではゼリーの凝固剤にも用いられます。
(3)のペクチンは、リンゴや柑橘類などの果物から抽出される多糖類です。凝固力はそれほど強くなく、おもにジャムなどでとろみをつけるのに使用されます。
凝固剤の使い分け
生のパイナップルやキウイなど一部のフルーツには、タンパク質を分解する酵素が含まれるため、ゼラチンが固まりにくくなります。その場合は、植物性の凝固剤であるペクチンや寒天で代用することができます。あるいは、酵素は熱に弱いので、フルーツを煮てから使用するか、熱処理されている缶詰や瓶詰のものを使えば、タンパク質の分解が起こらず、ゼラチンは固まりやすくなります。
一方寒天はレモン果汁などの強い酸には不向きです。強い酸は寒天の繊維を溶かすので固まりにくくなります。その場合は、粗熱をとってから手早く混ぜ合わせます。また、寒天は高温で煮溶かしてから冷却して固めますが、牛乳は高温では乳成分が固まってしまうため、寒天液の温度が下がってから加えます。
ペクチンにはHMペクチンとLMペクチンがあり、HMペクチンは高い酸度と高い糖度で固まります。LMペクチンは、カルシウムやカリウムなどのミネラルで固まるペクチンです。そのためペクチンは酸性の強いものや牛乳などの乳製品を固めることが出来ます。
コラーゲンを含む食品は美容効果がある?
ゼラチンの元となるコラーゲンは、皮膚、じん帯、軟骨などの組織を構成する繊維状のタンパク質で、人体のタンパク質全体の約30%を占めます。そのうちの40%が皮膚に、20%が骨や軟骨に存在し、全身の組織にも広く分布しています。
コラーゲンは表皮の下の真皮の約70%を占め、真皮から表皮に栄養を送るなど重要な役割を果たしていますが、加齢とともに減少し、それが肌のシワやたるみに繋がるといわれています。また、関節、骨、血管などにもコラーゲンは含まれており、コラーゲンの減少は関節炎や関節痛、骨粗しょう症、動脈硬化などの原因にもなるといわれます。
コラーゲンは三重のらせん構造をしていて、かなり分子構造が大きいため、そのまま吸収されることはありません。胃でペプチドという状態に分解され、さらにアミノ酸にまで分解されて吸収されます。吸収されたアミノ酸などからタンパク質が生成されますが、必ずしもコラーゲンになるわけではないため、コラーゲンを経口摂取してもそれほど意味はないという見解もあります。
しかし最近では、コラーゲンの一部はコラーゲンペプチドとして吸収されることや、コラーゲンに特有のアミノ酸は体内のコラーゲンに再合成されやすいことがわかってきたため、コラーゲンを多く含む食材を食べることでコラーゲンの再合成につながるという考えも出てきています。
(参考)
[1] コラーゲン|e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-011.html
[2] 【医師解説】コラーゲンを増やすためにコラーゲン鍋よりも食べたいもっとも大切な栄養素
https://wellmethod.jp/collagen-beautiful-skin
[3] 【医師監修】美肌をもたらすコラーゲンの働き
https://www.skincare-univ.com/article/006475/
出題:三井能力開発研究所代表取締役・圓岡太治
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