お笑いコンビ「ティモンディ」前田裕太さんの、「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げた連載コラム。30代を目前にした前田さんが「大人」を目指して過ごす日々を、食・趣味・仕事など様々な視点で綴ってくださいます。連載は、第…
画像ギャラリーお笑いコンビ「ティモンディ」前田裕太さんの、「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げた連載コラム。30代を目前にした前田さんが「大人」を目指して過ごす日々を、食・趣味・仕事など様々な視点で綴ってくださいます。連載は、第1・3木曜日に更新です。「(理想の)大人ってなんだろう?」を一緒に考えながら、前田さんの成長を見守りましょう!
今回は、「趣味」編の第5回。野球のイメージが強い前田さんですが、実はサッカー観戦も趣味のひとつ。そしてそれは、アニメのヒーローのようにはなれない自分と向き合う、大切な時間になっているようです。
アンパンマンにはなれない現実
子供の頃は、なんでも出来た気がした。アンパンマンの見過ぎだったのかな。
彼は飛べるし皆のヒーローだし、顔だって食べられるし。
あんなぶっ飛んでるヒーローアニメを毎日のように見てたから、自分もパンではなくとも○○マンにはなれると思っていた。未来の自分の可能性は常に無限大だと思っていたし、何にでもなれると思っていた。
ただ年齢を重ね、大人になると、そうではないと気づく。人はいくら努力したって顔面をパンで代用することはできないのだ。
完璧な人間なんていないし、頑張ったところで秀でていることや能力にも限界がある。それはある種、絶望とも呼べるかもしれない。
けれど、理想通りの人間になれた人は何人いるだろうか。
そんな理想と現実と向き合って、それを愛せるのが大人というものではないだろうか。
私は、まだそんな現実の自分を愛してあげられていないので、まだまだ子供だと言っても仕方ない。
万能でなくても活躍できる、それがサッカー
けれど、最近は少しだけ、理想には至らない自分も認めてあげてもいいのではないか、と思う時間がある。
趣味でサッカー観戦をするのだけれど、特にその時間は、そう思うことができる。
おいおい、君は野球をずっとやってきた人間だろう、何故サッカーなんだ、と思う人がいるだろう。
ただ、野球というスポーツは、選手として多くの能力を求められるのだ。攻撃と守備と、全部を上手くこなせる選手が良しとされ、いわゆるアンパンマンを求めているスポーツ。
その点、サッカーは違う。
サッカーなんて足が速くないとプロになれないと思うかも知れない。けれど、そうではない選手も実は多くいる。
その分、技術に長けている選手もいれば、物事の判断速度に長けている選手もいて、秀でているものが多くなくても、やっていけている選手がいる。
各々の求められている役割と能力が違うからこそ、万能な能力を有していなくとも、それはそれでプロの世界で戦えるスポーツなのだ。
自分と向き合う、「サッカー観戦」という時間
ドイツのフランクフルトというチームに長谷部選手という方がいる。
彼は38歳。
若い時に比べて身体能力にも衰えが生じているけれど、それでもドイツのチームで未だに試合に出て活躍をしている。
それも、自分よりも二回りも大きい外国人相手にだ。20キロ以上重たい相手がぶつかってきても、引けを取らずに頭を使って戦っている。
別にアンパンマンでなくても、頭を使って経験を活かせば、海を渡っても戦えている選手がいるのだ。
サッカーに必要な全ての能力がなくともいい。役割に応じた能力さえ、頭脳で補いながら行使できれば、世界で戦うことだってできる。
サッカーというスポーツを知れば知るほど、アンパンマンではない、至らない部分を多く内在する自分であってもいいのでは、と思う。
もちろん、長谷部選手と比べたら、私なんて、カバオくんにも満たないけれど、それでも、カバオくんなりの役割をきちんとこなせば、きっとそれで誰かが求めている活躍ができるのではないだろうか。
1人のスーパースターだけでは勝てないからこそ、11人全員で各々の役割を全うするスポーツがサッカーであって、自分がアンパンマンではない現実と向き合える時間をくれるのが、サッカー観戦である。
背伸びせず、まずは頑張ってカバオくんとして役割を全うしたいと思う。
前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で披露した絵の実力も話題になるなどマルチな活動で注目を浴びている。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』は登録者数25万人超え。