『おとなの週末Web』では、手作りの味も追求していきます。そんな「おとなの週末」を楽しんでいる手作り好きから、折々の酒肴を「季節の目印」ともいえる二十四節気にあわせて紹介しています。 「大暑」の15回目。最高においしい枝…
画像ギャラリー『おとなの週末Web』では、手作りの味も追求していきます。そんな「おとなの週末」を楽しんでいる手作り好きから、折々の酒肴を「季節の目印」ともいえる二十四節気にあわせて紹介しています。 「大暑」の15回目。最高においしい枝豆のゆで方です。
みんな大好きな枝豆!ひと夏に国民1人あたり25粒を食べている
夏真っ盛り。枝豆のおいしい季節です。
枝豆=ビール、という方も多いと思いますが、夏場のお酒のアテとしての存在感は他の追随を許しません。ゆでたては風味が格別、冷やせば豆そのもの甘みが感じられます。塩味が恋しい暑い日ほど食べたくなるものですね。
古くからの生活暦・二十四節気では、日中の気温が1年でももっとも高くなるのは「大暑」(たいしょ。7月23日からの2週間ほど)の頃とされています。鰻を食べることが慣わしの「土用の丑の日」も、じつは大暑の時期に重なっています。共通点は、ともにタンパク質が豊富なところ。「う(鰻)」と「え(枝豆)」が夏を乗り切る滋養のもとだったのです。
枝豆は、大豆が黄色く実る前の、緑色の豆の段階で若採り(収穫)したものです。例年、日本で生産される枝豆の出荷量はおおよそ6000~7000t(トン)で、その60%近くが盛夏の7月と8月に出荷されています。6月~9月でカウントすると、全生産量の89%が夏から秋の、気温の高い時期の出荷となっています(「農林水産省食料需給表」からの推計)。
夏場に枝豆が求められていることがわかりますが、「t=トン」ではいまいち、イメージできないと思います。そこで、オイラは仮説を立ててみました。枝豆好きのわが国民は、ひと夏になん粒くらい枝豆を食べているのか?
前人未到の推計値かなと思います。あらゆる統計を調べましたが、当然ありません。そこで、オイラが実際に数えたうえで推計してみました。はい、ヒマ人です。
一般的な枝豆の袋詰め1袋には250g前後が入っています。その1袋にある枝豆のサヤ(55~56サヤ)の中の豆は、だいたい2~3粒で、合計すると140~150粒でした。これは、群馬県産のブランド枝豆「豆王」(JAぐんま)1袋250g前後入りを5袋ほど実測しての1袋あたりの数値です。1kgだと560~600粒となるのです。
仮に1年に6000tの枝豆が消費されているとしましょう。そのうちの89%が夏に食べられているわけですから5340t=534万kgとなります。これは、枝豆の総粒数にして、じつに29億9040万粒~32億400万粒となるのです。総務省によれば、6月段階の日本の人口は1億2493万人ほどでしたので、つまり、「国民1人あたり、夏場に最大25.6粒の枝豆を食べている」ということになります。「想像以上に食べているな」という実感です。
枝付きと、サヤだけの枝豆。どっちがおいしい?
八百屋さんやスーパーでは、枝豆をひとサヤずつにした袋詰めのものが圧倒的に多く並んでいます。いっぽうで、枝豆には葉付きや枝付きのもの、さらには根付きのものもあります。いずれのものがおいしいのか? なじみの八百屋さんに聞いてみました。
「枝豆は畑で朝採りされたものがいちばんおいしい。だから、収穫してそのまま葉付きなどで出荷されているもののほうが一般的に新鮮です。集荷場でサヤをはずず手間がいらない分、出荷時間も丸1日以上は早いはずです」
な~るほど。しかし最近は、袋詰めの枝豆も超低温で輸送されるそうなので、味はそうは変わらないようです。となると、あとは「どうゆでるか」です。
ネットで「枝豆、ゆで方」で検索してみると、枝豆1袋(250g前後)に対し、「1リットルの湯に、塩4gを入れ、塩ゆでする」というゆで方が相当数ヒットします。
実際、この塩分量でオイラも実食してみましたが、正直申してしょっぱすぎます。第一、豆の風味より塩の味が勝っているように感じます。66歳、血圧高めのジジイとしては受け入れがたいところです。もちろん、枝豆自体の味にもよるのでしょうが、枝豆本来の甘さが失われているようにさえ感じました。
枝豆は塩ゆでせずに「ふり塩」仕立てがおいしい
実際、枝豆をゆでるときに塩の重さをはかるのも面倒です。そこで、オイラのやり方をご紹介いたします。ゆでるときには塩をいっさい入れません。塩ゆでにはしないのです。
それでも、食べるときにはほのかな塩味が効いてくるやり方は、ゆで上がり直後のサヤに塩を直接ふりまぶす方法です。「ふり塩」といいますが、サヤを口にふくんだとき、最初に塩味(えんみ)を感じ、次に豆の甘さが伝わってくるのです。使う塩の量もとても少ないのでおすすめです。
●枝豆をゆでる(仕込み編)
1)枝豆1袋分(250g前後)はよく水洗いしたうえでボウルに移し、塩ひとつかみをふり、サヤ同士をこすり合わせるように揉み込んでいく。※「塩ひとつかみ」とは、大さじ1(15g)ほどの分量です。ゴシゴシと揉む感じで、サヤの表面の産毛がかなりとれます。サヤを口に含んだときの触感がよくなり、また色も鮮やかな緑になるため、オイラは「百揉み」(100回揉み)を心がけています。
2)揉み込んだ枝豆は、そのまま10分ほど置いてから再度水洗いし、表面の産毛と塩を洗い流し、ザルで水けをきる。
●枝豆をゆでる(調理編)
1)大き目の鍋に水適量を沸騰させる。※オイラはレミパンでゆでるので、水の量はだいたい1.5リットルほどです。2)沸騰したら枝豆を入れ、ゆでる。その際、塩は入れない。※つまり、塩ゆでにはしません。
3)鍋の火はまず中火。吹きこぼれないように火加減を調節しながら3分ほどゆでる。一つ二つ取り出してゆで加減をみたうえで、火を止める。※オイラは硬めが好みです。実際、ゆで時間は豆の大きさによりかなり変わります。豆が大きければ4~5分ゆでることもありますし、茶豆系は1~2分で十分なものもあります。サヤの一部が割れて中の豆が2~3粒見えてきたら、それもゆで上がりのサインです。
4)ゆで上がったら、鍋からそのままザルにあけ、熱いうちに一気に塩をふりまぶす。※これが「ふり塩」です。超熱いので、やけどに注意! ふりまぶす塩の量はテキトーですが、オイラは「焼き塩」か「粟國の塩」などを3~4回、ふりまぶす感じです。塩の量にすれば、小さじ1/2(2.5g)くらいでしょうか。
5)うちわなどで風を送り少しさます。表面の塩がなじんできたら出来上がり。※水にはさらしません。
文・写真/沢田 浩
さわだ・ひろし。書籍編集者。1955年、福岡県に生まれる。学習院大学卒業後、1979年に主婦と生活社入社。「週刊女性」時代の十数年間は、皇室担当として従事し、皇太子妃候補としての小和田雅子さんの存在をスクープ。1999年より、セブン&アイ出版に転じ、生活情報誌「saita」編集長を経て、書籍編集者に。2018年2月、常務執行役員パブリッシング事業部長を最後に退社
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