クッキングパパの読んで美味しいレシピの話

納豆は飲み物です!? 腸活で再脚光! クッキングパパの簡単「手作り納豆」&「納豆ティー」レシピ

クッキングパパに描かれたコツは「温度管理」と「時間調整」 作中の納豆づくりでは市販の納豆パックを使うことで、手軽にチャレンジできます。ただ、作る過程で適正な温度管理や時間調整といった細心の注意を払うべきポイントがいくつか…

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週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。

著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本稿では連載漫画を収録した単行本のなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。

長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第25回目は、「納豆づくり」です。

“腸活”ブームで納豆に再注目!

日本で古くから親しまれている発酵食品の代表格が、納豆です。また、最近では腸内環境を改善して、免疫力や代謝アップを目指す“腸活”ブームもあり、改めて納豆の持つチカラが注目されています。

「おかめ納豆」で知られる「タカノフーズ」(茨城)のホームページでは、納豆は稲わらについている納豆菌が大豆を栄養にして発酵することによって、アミノ酸などのうまみ成分のほか独特のネバネバや臭いになることが説明されています。

発酵とは、菌やカビなどの微生物が、ある食品を美味しく変化させる働きをいいます。さらに冷蔵室で冷やすことで発酵が止まり、味がまろやかに落ち着いてくる、いわゆる熟成の過程を経てできあがります。

こうしてでき上がった納豆には、たんぱく質からビタミンやミネラル、食物繊維などさまざまな栄養素がバランスよく含まれています。

実は「チャーハン」「丼物」に並ぶ人気メニュー

荒岩流・手作り納豆レシピ。大豆と市販の納豆から作る手軽さがポイントだ(『COOK.157 華麗なる納豆野郎』より)

博報堂生活総合研究所「生活定点」調査によると、首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川、茨城)と阪神圏(大阪、京都、兵庫、奈良)に住む男女2597人(20~69歳)を対象として2020年に実施した「好きな料理」の回答で「納豆」を挙げた人の割合は53.8%と半数を超えています。

この割合は、「チャーハン」54.1%、「丼物」53.4%とほぼ同じです。これら人気メニューと肩を並べていることから、納豆が地味な存在ながらも、いかに食卓に欠かせない“名脇役”となっているかわかります。

それどころか、しっかり主役の座にいますよ、というのがクッキングパパ「COOK.157華麗なる納豆野郎」のテーマです。

荒岩主任(当時)の取引先の営業マンでひときわオシャレな男性社員は、その華やかな外見からは想像つかないような質素な食生活を嗜んでいます。男性社員は、「納豆さえあれば メシにぶっかけて 他に何にもオカズはいらないし 栄養価も高い!!」と力説。

毎日食べても飽きないほどの納豆好きが高じ、切らさぬようになんと自宅で納豆を培養しているのです。手前味噌ならぬ“手前納豆”といったところでしょうか。

クッキングパパに描かれたコツは「温度管理」と「時間調整」

作中の納豆づくりでは市販の納豆パックを使うことで、手軽にチャレンジできます。ただ、作る過程で適正な温度管理や時間調整といった細心の注意を払うべきポイントがいくつか解説されていますので、それらをきちんと押さえればきっと格別な味に仕上がることでしょう。

ところで、この男性社員が納豆づくりを「(納豆を)飼ってる」として、自宅で発酵中の納豆にたびたび話かけているのが印象的です。そう、納豆菌は生きているのです。

ペットを飼うように家族の一員として、大切に愛情をかけて育むことこそ、特に発酵食品づくりでは、重要です。パンや酒づくりでも、発酵が活発になるように、タネの発酵を行っている室内でクラシック音楽をかけて(聞かせて)いるところがあるようです。

納豆は“飲む”もの!? 千利休や松尾芭蕉も愛飲した「納豆汁」

最後に納豆をアレンジした“荒岩流”「納豆ティー」もぜひ、作ってみましょう。

「納豆を飲む!?」と言うと、驚くかもしれませんが、昔の日本人は、いまのようにご飯に納豆をかけたりしないで、「納豆汁」にして食べるのが一般的だったようです。納豆汁とは、切り刻んだり、すり鉢ですりつぶした納豆を豆腐や野菜とともにみそ汁にしたもので、俳句では冬の季語にもなっています。ちなみに納豆菌は100℃で加熱しても死滅しないので、栄養価の面でもご心配なく。

「全国納豆協同組合連合会納豆PRセンター」のホームページによると、戦国時代、千利休が茶会の席で納豆汁をふるまい、豊臣秀吉らをもてなした記述があります。

また、松尾芭蕉は「納豆きる音しばしまて鉢叩」(1690年)の句を残しています。師走の夜、まな板で納豆を叩いて納豆汁を作っている手をしばし休めて、鉢叩き(念仏僧)が鉢を叩きながら街中を物乞いして歩く音に耳を傾けてごらんなさい、と詠っています。納豆汁が体だけでなく、心もじんわり温めてくれる一句ですね。

大豆という小さな豆が持つ無限の可能性、それを引き出す発酵のチカラを、納豆づくりにチャレンジして自分の手で確かめてみませんか。

※現在は当時の状況と異なる場合があります。

◆『クッキングパパ』とは?

福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。

週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年4月現在、単行本は162巻。

※「おとなの週末Web」の記事では本稿紹介の漫画、クッキングパパ 「COOK.157華麗なる納豆野郎」を一話丸ごと読むことができます。

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