週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。
著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本欄では2022年3月3日発売号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。
長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第49回は「にぎり寿司にチャレンジ」です。
寿司飯の水加減は少なく、硬めに 新鮮なネタをたっぷり用意
クッキングパパ第2巻「COOK.21 にぎり寿司にチャレンジだ!」では、本格的な寿司をにぎるコツを満載!家のダイニングテーブルが、寿司屋のカウンターに様変わり!?まずは、寿司の美味しさを左右する、シャリの炊き方から始めましょう。
寿司飯は、いつもより水を1割程度少なくして硬めに炊きます。さらにこだわるなら、寿司飯専用の大粒の米を通販などで手に入れることもできます。
ごはんを炊いている間、下準備に取りかかっておきましょう。中トロやエビ、イカなどの好みのネタは扱いやすいよう、すべて大皿に種類ごとに並べておきます。真鯛やアジは三枚におろし、切り込みを入れ小骨はとっておきます。この際、奮発してネタは、ウニやイクラも含め新鮮な魚介をたっぷり用意してはいかがでしょう。「うぉっー」という歓声と共に大いに盛り上がりそうですね。
寿司飯に欠かせない合わせ酢も用意。わさびも、予め皿に盛っておきます。軍艦巻き用の海苔は、ガスコンロの強火で軽く炙り、3センチ幅に切って準備完了!
寿司飯をうちわであおぐのはナゼ?
ごはんが炊き上がったら、よく蒸らして飯台に移します。飯台がなければ深さのある大き目のバットやボウルで代用します。ただ、木製の飯台は、ごはんの水分を適度にコントロールしてくれるスグレモノ。美味しい寿司飯作りに、持っていると便利かと思われます。
ごはんが熱いうちに合わせ酢を全体にふりかけて、飯台の底からごはんをひっくり返す要領で全体を混ぜ合わせます。ごはん粒をつぶさないよう注意しながら、切るようにしてしゃもじを入れます。うちわなどであおぐのは、ごはんを冷ますのではなく、水分を飛ばして風味を残し、ツヤを出すためだとか。混ぜ終えたら、濡れ布巾をかけて乾燥を防いでおきます。
寿司飯の基本をマスターしておけば、にぎり寿司やちらし寿司から、海苔巻き、海鮮丼までお手の物!本格的な味わいに仕上がりますので、家でお寿司が手軽に楽しめそうですね。
にぎり方は練習あるのみ。片手で寿司飯をまとめるのがコツ
いよいよにぎり寿司にチャレンジ!両手を酢の入った水にサッと漬け、寿司飯10~15グラム程度を片方の手のひらにのせます。少ないぐらいの量が、にぎりやすいはず。
右利きなら左手にのせ、指をややしめ気味にして、寿司飯をふわっと軽く手のひらで転がしながらまとめます。寿司飯をのせた片手のみで行い、もう片方の手は使いません。あくまで片手のみ、です。
初めはなかなか上手にいきませんが、好みの硬さを手が覚えるまで、練習あるのみ。うまくまとまったら、わさびをほんの少し塗ってネタを合わせるようにのせます。
ここから、もう片方の手の出番です。ネタの上から人差し指と中指2本でそっと押さえて、ごはんとの間の空気を抜きます。寿司飯がのっていない方の手の親指と人差し指で寿司全体の両側を上から下に平行になるよう軽く押さえるのを2、3度繰り返し、形を整えて完成させます。にぎり過ぎて硬くならないよう、ご注意を。
寿司飯を海苔で巻いて、イクラやウニなどをのせる軍艦巻きは、寿司飯の高さをやや低めに整えるのがコツ。まな板など平らで清潔な台の上に寿司飯をのせたら、周りをぐるっと海苔で巻き付けます。巻き終わりは、海苔同士をごはん粒1個分でくっつけます。表面にわさびをつけたら、イクラやウニをスプーンでたっぷり盛りつけます。
自分でにぎった寿司は、少々不格好だろうと、まさに格別の味わいです。卒業や入学、就職や転職などのお祝い事、誕生日といった記念日に、おもてなしの食卓にも華を添えてくれます。
作中、荒岩主任(当時)が、ひとり息子のまことの誕生日に寿司をにぎりながら、心の中でつぶやきます。「オヤジがつくった寿司―きっと忘れられない味になるはずだ! !」
愛情を込めて自分のため、家族のために料理するなかで紡がれる我が家の味が、健やかな心身を育て、心温まる思い出と共に、人生を豊かにしてくれることでしょう。(完)
文/中島幸恵、漫画/うえやまとち
◆『クッキングパパ』とは?
福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年12月現在、単行本は163巻。