デザートにも、アルコールにも。多彩な展開ができるクーリッシュ ――クーリッシュをつくるにあたって大切なことは何でしょう? 新規商品の開発は、いかに多くの賛同者・協力者を集められるかが重要だと思っております。そのために、何…
画像ギャラリー2022年6月に誕生したロッテのクーリッシュ最新作「クーリッシュ フローズンサワー」(「レモンサワー」「グレフルサワー」の2種)は業界を驚かせました。オンライン販売やZOZOマリンスタジアム球場内などでテスト販売されると、ビールと同じアルコール度数の5%でシャリシャリ食感でなめらかに飲めるとすぐさま話題になりました。今回の「シズリーナ荒井のアイス見聞録」はクーリッシュ史上初となる“飲むアイス”のお酒の誕生秘話や、クーリッシュブランドへの想いをブランド戦略担当を9年間務めたクーリッシュブランド課(取材当時)の北村考志さんに訊きました。
20~30代がターゲットのクーリッシュ フローズンサワー
――商品誕生のきっかけはどのようなものでしょうか?
自社で実施したインタビュー調査で、「リフレッシュのためにちょっとした甘さが欲しい時に、デザートやジュース感覚で缶チューハイを飲んでいる」といった20~30代飲用者のお酒に対する価値観に注目しました。
――アルコール市場に参入された理由はどのようなものでしょうか?
「クーリッシュ」で培った技術を応用し、アイスの美味しさとアルコールが同時に楽しめる品質を実現できたことで、若い世代が持つお酒に対する価値観へ新しく提案ができると思っております。本商品は、特に20~30代の世代中心にニーズがある商品と考えております。弊社ならではのアイスクリームの技術力を生かした本商品が、アルコール市場活性化の一助になれることを期待しております。
――大手アイスメーカーとしては、とても珍しいアルコール5%配合されたアイスの開発で一番苦労された話をお聞かせください
風味としてお酒をつかったアイスではなく、フローズンのお酒を楽しんでもらうという 目的の商品であり、お酒として販売することを決めたため、製造免許・販売免許、試験製造免許など、お酒を開発・生産・販売するためのインフラを整えることに一番苦労しました。特にアイスを製造しているラインで、そもそもお酒を製造していいかどうかの確認にあたり、保健所との調整・協議に一番時間を要しました。
開発面では、アイスとしての美味しさと、お酒としてしっかり楽しめるものなのかなど、発売されている缶チューハイと比較しながら、何回も検証して、仕上げていきました。デザインについても、「クーリッシュ」らしさも残しつつ、お酒らしさ、お酒であることをしっかり訴求できているかなど、1年かけてデザインも検証を繰り返しながら完成させました。
――開発から商品化までどのくらいかかったでしょうか?
着想から研究開発、生産、販売に向けて3年をかけました。
ーーレモンとグレフル、味の特徴を教えてください
レモンサワーとグレフルサワーともに、果肉・果皮をすりつぶした「コミュニテッド」素材を使用し、甘さだけでなく苦みもある本格的なフルーツ感を楽しめます。レモンサワーは果汁率9%、グレフルサワーは果汁率19%です。
アイスの「クーリッシュ」と同様に、微細氷が入っており、冷たくてシャリシャリとした食感が楽しめます。
――あと、クーリッシュフローズンサワーだけに、パッケージにこのギザギザの切り込みが入っていますね
本来なら点字を入れて伝えるべきではありますが、現行の包材では入れることができておりません。その変わり、アイスのクーリッシュには入っていないギザギザの切れ込みを入れ、違和感を出すことで、一旦思いとどまって確認をしてもらうような工夫をしております。そういった配慮により、誤飲を防ぐことに努めました。
デザートにも、アルコールにも。多彩な展開ができるクーリッシュ
――クーリッシュをつくるにあたって大切なことは何でしょう?
新規商品の開発は、いかに多くの賛同者・協力者を集められるかが重要だと思っております。そのために、何のために、この新商品を発売するのか? どんな想いで考えたかなど、情熱をもって、周囲を説得することを、心掛けております。周囲から反対や指摘を受けてもすぐ諦めず、やり続けるスタンスでいることで、一緒に立ち上げてくれるメンバーからの信頼も得られると思っております。
――クーリッシュの魅力ってどんな所でしょうか?
クーリッシュは、アイスでもあり、デザートでもあり、飲料でもあり、アルコールにも展開できるなど、ひとつのジャンルに縛られない、「クーリッシュ」というジャンルを築ける唯一無二のブランドだと思っており、多彩な展開ができ、可能性がある所が魅力だと思っております。市場に新しい常識を持ち込み、喫食シーンも広げてきた商品のため、常に時代の先端・新しいイメージ、挑戦をしているようなブランドづくりを目指してきました。 クーリッシュしかできない挑戦や市場でどこもやっていない取り組みではないかと思えると、ワクワクして、情熱を注いでしまいます。また、SNSが普及して、お客様からの反応がタイムリーに見えることも、自分のモチベーションとなっております。
――確かにSNSでお客様の反応が直接見られるようになったことは大きいですよね!北村さんがクーリッシュのフレーバー作りで参考にされているものはなんですか?
クーリッシュは日常的に、カジュアルに楽しんで欲しいということと、 特定の年代だけに支持されているブランドではないため、世の中で日常的に飲食されている定番商品・新商品、シーズン商品を参考にしていることが多いです。 日常からかけ離れたラグジュアリーなスイーツやお菓子は、勉強のために 食べることもあり、こだわり・コンセプトは参考にしますが、味の細かい部分は参考にはしておりません。 ただし、流行・行列になっているお店については、 どういった要素が受け入れられているかを勉強するためにマーケティングリサーチをします。
――最近では、かき氷専門店も季節問わずに行列ができていますよね。「クーリッシュ」は微細氷も入っているので参考にされていたりするんですか?
もちろん食べに行きます。お店に入って他のお客様が何を注文されているのか気になりますし、変わり種のかき氷などが提供されているお店もありますので、注文して蜜と氷の相性など参考にしています。
――北村さんはクーリッシュが軸となっているんですね!お仕事以外では、どんなことをされていますか?
食に関するトレンド研究のコミュニティセミナーに参加したり、娘を連れて食べ歩きをして、感覚・感性を鍛えるようにしています。昔から好きな原宿によく行ってます(笑)
娘さんと食べ歩きをして感覚や感性を鍛えるとは…。最新トレンドは、確かに若者が担っていると思いますし、なるほどと思いました。しかし、お仕事以外でもクーリッシュのことを考えていらっしゃるのは流石です! 一つのジャンルに縛られないクーリッシュ、次はどんな新製品が登場するのか?想像すると楽しみになってしまうブランドです。
文・写真/シズリーナ荒井
シズリーナ荒井
初めてアイスを食べたのは“1歳一ヵ月”(証拠映像資料有り)。人生で55,000個以上ものアイスを食べた記録を保持するアイスマニアであり、日本一アイスを愛するスーパーアイスマン。
どうしたらより美味しくアイスクリームを食べられるかを真剣に考え、氷菓子(アイス、ソフトクリーム、ジェラート、かき氷)の研究を開始。氷菓子は原材料が同じでありながら製品温度が異なることで感じ取れる味が違うことを発見!
食べ方をデザインする“イートデザイナー”として市販アイスのアレンジレシピや企業同士の商品コラボを手がけており、“かけ合わせグルメ”「雪見カレーヌードル」の考案者として、SNSで話題に!
年間4,000種類以上のアイスクリームをテイスティング。アイス現場のすべてを知りつくすアイスジャーナリストとして活躍中!2021年6月には著書『コンビニ&スーパーのアイスが極上スイーツに! 魔法のアイスレシピ』(KADOKAWA)を出版。
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