長ねぎの入った蕎麦やうどんを「南蛮」と言う。そのツユがカレー味のものであれば「カレー南蛮」になるのです。今回お届けするのは、うどんの王道から独創的なものまで多彩な顔ぶれ。奥深きカレー南蛮をお楽しみください。 『手打ちうど…
画像ギャラリー長ねぎの入った蕎麦やうどんを「南蛮」と言う。そのツユがカレー味のものであれば「カレー南蛮」になるのです。今回お届けするのは、うどんの王道から独創的なものまで多彩な顔ぶれ。奥深きカレー南蛮をお楽しみください。
『手打ちうどん こんぴら茶屋』 @目黒
どろっと濃厚なツユに負けないイリコの香り
扉を開けた瞬間から、えもいわれぬダシとスパイスの香りに包まれた。東京のカレーうどんと言えば、必ずと言っていいほど名前が挙がる店だ。久しぶりに食べたその味は、やっぱり有無を言わせぬほど完成されていた。
牛かれーうどん 1120円
この一杯を語る上で欠かせないのが、とりわけ濃度の高いツユ。“とろっ”というより“どろっ”としつつも舌触りはどこまでもなめらかだ。そこへ麺肌ツヤツヤに打ち上げたうどんが絡まれば口の中は快感でいっぱいに。加えてダシだ。
カレーうどん専用に仕入れたイリコはその力強い旨みでスパイスの香りをしかと包み込んでいる。さらに途中で生卵に麺をくぐらせすき焼き風に、最後はご飯を入れてリゾットにと、自由にアレンジしながら食すのも楽しい。
[住所]東京都品川区上大崎3-3-1 坂上ビル1階
[電話]03-3441-2491
[営業時間]11時〜23時LO
[休日]年末年始
[交通]JR山手線ほか目黒駅東口から徒歩3分
『東嶋屋(とうしまや)』 @入谷
ダシ香る黄色いルウが懐かしさと幸福を呼ぶ
一見、そうとは思えぬ大衆的な蕎麦屋の風情だが、創業はなんと明治25年と130年の超老舗。現在店を切り盛りする尚子さんは6代目だ。赤缶のカレー粉に小麦粉とラードを練り合わせたルウを使った懐かしい真っ黄色な「ライスカレー」は、昭和のはじめ頃から品書きに載っていたものの、わりと最近になってそれを麺にアレンジしたのが「塩カレーうどん」なのだ。
塩カレーうどん 850円
味付けは醤油もみりんもなしで、まさに塩だけと驚くほど潔い。シンプルが故にスパイスの香りに負けないダシ風味がぐんと引き立って、日本人のDNAが細胞レベルで「旨い!」と声を上げている。ちなみに蕎麦への変更も可能で、こちらは麺の間にとろみをたっぷり絡めつつ持ち上がり、ツユの存在感がぐっと増す。
[住所]東京都台東区竜泉1-29-3
[電話]03-3872-6261
[営業時間]11時15分〜14時半LO、17時半〜19時半LO
[休日]日・祝
[交通]地下鉄日比谷線入谷駅3番出口から徒歩5分
『広栄屋(ひろえや)』 @下北沢
ダシ感満載のカレーうどんの下にとろろご飯
現店主・熊切栄一さんのご両親が62年前に始めた店は、今も下北沢で長く愛されている。一緒に働くのは叔父と叔母。どこか懐かしくもあったかい町の蕎麦屋。ここに名物「Ojiyaカレーうどん」がある。発端はご主人が愛知県豊橋市で食べた「豊橋カレーうどん」。その魅力にインスパイアされて自らも開発。
Ojiyaカレーうどん 1100円
さらに下北沢カレーフェスティバルで人気を得たことで定番化した。特徴は2層構造。うずら卵がのったカレーうどんを食べ進めると、下からとろろがのったご飯が出てくる。甘めでとろんとスパイシーなカレーうどんも旨けりゃ、とろろとカレーのツユとご飯が一体化し、まさにおじや化したのが想像を超えて旨い。豚バラも油揚げもいい。満足感いっぱいに体が温まる。
[住所]東京都世田谷区北沢3-21-1
[電話]03-3466-5958
[営業時間]11時半〜21時 ※早仕舞いあり
[休日]木
[交通]小田急線ほか下北沢駅東口から徒歩5分
『ハイ ハウ アー ユー』 @日吉
個性爆発、でもハマるカレー屋の裏(?)メニュー
こちらは蕎麦屋でもうどん屋でもなく、カレーの専門店。インドやタイのそれをモチーフにしたものから店主・萩谷さんがリスペクトする店の味をオマージュしたものと、ある意味ノンジャンルに生み出されたカレーは卓上メニューからあふれ出し、壁一面に張られている。
カレーうどん 1100円(モッツァレラチーズのトッピング+100円)
そんな中からぜひ見つけてほしいのが「カレーうどん」だ。ベースになるのが店で一番香りも辛さもストロングなビーフカレーで、そこに和風ダシと牛乳をプラス。エッジの効いたスパイスの香りとカツオ節の風味、さらにシャープな刺激とマイルド感、相反するいくつもの要素が手を取り合って讃岐風の太麺を進ませる。食べ終わる頃には胃袋を駆け巡るスパイスで滝汗必至。でもこの不思議な旨さ、クセになる。
[住所]神奈川県横浜市港北区日吉本町1-21-5 西之蔵ビル3階
[電話]045-548-8153
[営業時間]11時半〜21時 ※日は〜16時
[休日]月、第1・3日
[交通]東急東横線ほか日吉駅西口から徒歩1分
撮影/西崎進也(こんぴら茶屋)、小澤晶子(東嶋屋)、小島昇(広栄屋)、高井潤(ハイ ハウ アー ユー)、取材/菜々山いく子(こんぴら茶屋、東嶋屋、ハイ ハウ アー ユー)、池田一郎(広栄屋)
※2023年3月号発売時点の情報です。
※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
画像ギャラリー