酒を通して人と人がつながる“ネオ角打ち” 白状します。私の「角打ち」イメージ、ほぼ昭和で止まってました。昔ながらも好きだけれど、増加しているという「ネオ角打ち」を探ってみた!中目黒の『&SPIRITS』は、『おとなの週末…
画像ギャラリー酒屋さんの一角で缶ビールやカップ酒と簡単なつまみでサクッとやる。角打ちのイメージってこんな感じ。それがいつしか、幅広いお酒を有料試飲できて、店によっては気の利いたつまみもあったりして。そんな”ネオ角打ち“ が増えています。編集部的楽しすぎた4軒がココ!
『BEER OLYN(ビア オリン)』 @神楽坂
飲みたいビールにきっと出合える
まずは、店内のショーケースをご覧あれ。ポップなラベルも楽しい、世界のクラフトビールが100種以上揃う。店主・窪田圭宏さんは「ビールが好き過ぎて」会社を辞め、2022年7月『BEER OLYN』をオープン。「飲みたいビールに出合える店にしたい」と語る窪田さん。
Super trooper Imperial New England IPA パイント1800円、白銀坂Hoppy Lager グラス950円、奄美ハブW-IPA グラス1250円
今注目するのは、香港の「ヤングマスター」、「カーボンブリュース」、台湾の「タイフー」などアジアのクラフトビール。果汁やハーブを加えたり、バーボン樽で熟成させるなどチャレンジングだという。タップは約10種類。この日はなんとハブエキス入り「奄美ハブW-IPA」が登場。ひと口目は甘みを感じ、次第にほろ苦さがやってくる。窪田さんを案内人に、無限に広がるビールの世界に浸りたい。
[住所]東京都新宿区矢来町6-4-4 DEAR神楽坂3階
[電話]070-8524-8818
[営業時間]17時~22時 ※土・日・祝は14時~
[休日]不定休
[交通]地下鉄東西線神楽坂駅2番出口から徒歩2分
『&SPIRITS(アンド スピリッツ)』 @中目黒
世界の蒸留酒をバースタイルで
目黒川にほど近い、静かな通りに現れる『&SPIRITS』。一見洒落たバーだが、店先のボードに「酒屋」の文字。地下のセラーをのぞけば、450種類以上の蒸留酒がズラリ。ジンやウイスキーのほか、ブラジルのカシャッサ、ボリビアのシンガニといった未知の酒も。購入はもちろん、その大部分を店内で飲めるというのだから、わくわく感は半端ない。
PROCERA GIN 30ml 1430円(トニック割)、Green Negroni 30ml 1210円(オンザロック)、LINDORES SINGLE MALT MCDXCIV(1494) 30ml 990円(ストレート)
2021年12月オープン。「蒸留酒の魅力は、シーンによって飲み方を変えられるところです。いろいろ試してみてください」と代表の黒田亜衣さん。ウイスキー「Smoky Scot」をソーダ割で一杯。口に含めばシュワシュワとともにスモーキーな香りが広がった。これはクセになる。18時以降はカクテルも楽しめる。もはや「超進化系角打ち」と呼びたい!
[住所]東京都目黒区上目黒1-14-6 メゾンベルウッド地下1階・1階
[電話]03-6416-5417
[営業時間]12時~23時
[休日]無休
[交通]東急東横線ほか中目黒駅正面改札から徒歩4分
『NOMURA SHOTEN(ノムラショウテン)』 @新御徒町
気軽ながら酒も料理もハイレベル
2022年5月、「タチノミ・リカーショップ」を掲げて蔵前にオープン。その名の通り、販売と同時に、ジン、ラム、クラフトビールなどを店内で飲める。オーナーはバーテンダー野村空人さん。「初めて本格的なバーに行く前に酒の種類や飲み方を知る、『入口』のような店にしたいと考えています」。店長の田口貴博さんは、店のコンセプトをこう語る。
HOLON 1100円(トニック割)、ORI-GiN A(B)Viation 950円(ソーダ割)、ONERUM 1000円(ソーダ+トニック割)
必飲は、野村さんプロデュースのジンやラム。そのひとつ、西表島産「ONE RUM」は、ほのかなサトウキビの香りが心地よく、のどを通り抜ける。お酒とともに、料理もぜひ。「大根と牛しぐれの生春巻き」は、ナッツペースト、バジル、ナスのピューレなどが見事に調和する一品。この気軽さにして、酒も料理もハイレベル。贅沢すぎる角打ちなのだ。
[住所]東京都台東区三筋2-5-7
[電話]03-5846-9755
[営業時間]15時~22時
[休日]月
[交通]地下鉄大江戸線新御徒町駅A4出口から徒歩6分
『関町セラー』 @上石神井
好みのスタイルで楽しめる、のんべえ天国
カウンターで立ち飲む人もいれば、2階のテラス席でじっくりとワインを飲む人も。いろんなスタイルで「角打ち」を楽しめる一軒だ。100年以上の歴史を持つ石塚商店が、現在の『関町セラー』に生まれ変わったのは2017年。四代目である石塚容正さんの「お酒を楽しもうとするお客さまの気持ちに、できるだけ応えたい」という思いからだ。
MUTANT2 DDH MEGA OAT CREAM DIPA パイント1600円、ヴァイン・イン・フレイム ピノ・ノワール100%120ml 600円、旭興しぼりたて生原酒・新酒120ml 600円
日本酒、ワインは約300種、ビール、焼酎は約200種など、さらに生ビールのタップが7種。この日は人気の「うちゅうブルーイングダブルIPA」が登場。ホップの苦みがガツンときて、後味はどこまでも爽やか。次々とグラスに注がれていた。2階テラスでは毎週末、タコスやおでんなどの飲食店がやってくる。言わせてください。ここはのんべえ天国だ!
[住所]東京都練馬区関町東1-1-8
[電話]03-3920-1124
[営業時間]10時~20時
[休日]火
[交通]西武新宿線上石神井駅南口、武蔵関駅南口から徒歩12分
酒を通して人と人がつながる“ネオ角打ち”
白状します。私の「角打ち」イメージ、ほぼ昭和で止まってました。昔ながらも好きだけれど、増加しているという「ネオ角打ち」を探ってみた!中目黒の『&SPIRITS』は、『おとなの週末』編集・戎が長らく気になっていたという店。「ジンを買いに行ったら、バーカウンターで飲めるんですよ!仕事がなければ飲みたかった」らしい。
その思いが叶うときがきた。ボトルが並ぶ地下のセラーは圧巻の光景。「これ飲んでみたかったんですよぉ〜」。選んだクラフトジンをニンマリと味わう戎であった。いい酒をちょっと飲める、しかも素敵なバーカウンターで。12時から営業なので昼飲みもいい!
『BEER OLYN』はクラフトビール専門店。100種以上も揃うから、どれを選んでいいかわからない。しかし、そこにニコニコ顔の店主・窪田さんがいた。「えーと、白っぽいにごったやつが好きなんですけど」という、ざっくりした好みにも応えてくれる。さらに「台湾の『タイフー』も面白いですよ」なんて勧めてくれる。角打ちは、店の人と客の距離が近い。普段飲まない、新たな酒との出合いが生まれやすいかも。
次に訪れたのは『NOMURA SHOTEN』。勧められて飲んだバジルを使ったジンは、バジルソースの効いた生春巻きにぴったり。オリジナルの酒を揃え、料理もスタイリッシュだが、ふらっと寄れる雰囲気。しかも斜め前に銭湯まで!近所の方がうらやましい。角打ちでは客同士の距離もまた自然と近い。
『関町セラー』では、犬の散歩中に寄ったカップルとちょいとおしゃべり。「週末の散歩のたびに来ちゃうんですよ」と笑う。それは当然、いや必然です。ネオ角打ちって本屋さんに似てる、とふと思った。既存の本屋は減っているが、セレクトした本を揃え、イベントを開いたり、カフェもある「セレクト系本屋」は人気だ。酒屋にも同じ流れがあるかもしれない。楽しく飲めて、イベントがあったり、人と人がつながり、店側も人も喜ぶ。そんな「角打ち」いいぞ。どんどん増えてほしい。
撮影/石井明和(BEER OLYN、関町セラー)、小島昇(&SPIRITS、NOMURA SHOTEN)、取材/本郷明美
※2023年4月号発売時点の情報です。
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