【煎茶】静岡茶と言えば、宇治茶、狭山茶と並ぶ日本の三大銘茶。生産量でも国内第1位だ。温暖な気候と豊かな地形の変化に恵まれ、中でも中西部が中心的な産地。特に遠州地方のお茶は甘みの中に程よい渋みが効いて、コクも香りも豊か。製…
画像ギャラリー今年の大河ドラマの主人公は、徳川家康。その家康が75年の生涯で約40年過ごしたのが静岡。山と海に恵まれた食材の宝庫です。そんな今注目の”食の街”に突撃!家康公ゆかりの浜松と静岡(駅周辺)で、地元が誇るうまいもんを食べ尽くしてきました!今回は”出世の街”と呼ばれる浜松です。浜松は、名物・特産が数多くあります。代表的なところでいえば、街で愛される「うなぎ」に、全国区の知名度を誇る「餃子」。新たに注目を集めそうな浜松の煎茶に、あのお菓子まで。浜松といえば!の厳選グルメをご紹介します。
【家康が天下取りの第一歩を踏み出した“出世の街”】
今川家から独立し、遠江を平定。岡崎城から引間城に移って城を拡大する際、浜松城と改め、入城を果たした家康。このとき齢29。ここから17年、天下統一の基盤を浜松で築いた。「三方ヶ原の戦い」で生涯最大といわれる敗戦を経験。
その後、武田家を滅亡に追い込み、織田信長はこの世を去った。秀吉の家来になり、岡崎城へ帰還後、浜松城を受け継いだ城主の多くが江戸幕府の要職に就いた。「出世城」と呼ばれた名残か、浜松は今も“出世の街”と呼ばれている。
【うなぎ】
浜松の名物と言えば真っ先に上がるのが浜名湖のうなぎだ。浜名湖は「うなぎ養殖発祥の地」でもある。水がよく、餌に恵まれたうなぎは、ふっくらしつつも身が締まって脂のノリがいいのが自慢。うなぎの焼き方には関西風と関東風があるが、浜松は東西の境目。両方が混在していて、どちらも味わえるというのも面白い。
『かねりん』 @高塚
焼き目の美しいうなぎから力強い旨みが押し寄せる
熱々のご飯にのったうなぎは炭火で焼かれてふっくらと香ばしく、力強い旨みにあふれている。美しい照りと焼き目を見せるタレは3回つけて焼く。創業100年。うなぎは浜名湖産や三河一色産、季節ごとに上質なものを選び、今は5代目の袴田裕太郎さんがうちわで備長炭を操りながら、勢いよく焼き上げていく。
うな重(上) 4910円(きも吸付き)
蒸しは“ちょい蒸し”だというが中までふんわり。熱々を頬張れば、鼻腔に香りが広がり、その後にうなぎの旨みが押し寄せてくる。店内は品よく落ち着いた佇まいで、緑あふれる中庭の景色も印象的。混み具合で早仕舞いもあるので電話で確認してから向かいたい。
[住所]静岡県浜松市西区入野町731
[電話]053-448-9335
[営業時間]11時〜13時45分LO、17時〜20時LO ※混雑状況で早まる場合あり
[休日]水、第3火
[交通]JR東海道本線浜松駅南口から車で12分
『うなぎ料理 あつみ』 @浜松駅
伝統を継ぎ うなぎの風味がじわり伝わる旨さ
明治40年創業の老舗の佇まい。うなぎは浜名湖産のみを使い、「素焼きの段階で1匹1匹個性を見極めて」焼くという。しっかりと厚みのあるうなぎは、香ばしく、備長炭で中までとろりと焼き上げられている。旨みの強いタレがさらに風味を引き立てバランスも抜群。岩塩とスパイスで白焼きをいただく「香味焼き」も素晴らしいのでぜひ。
上重 5950円
[住所]静岡県浜松市中区千歳町70
[電話]053-455-1460
[営業時間]11時半〜13時半LO、17時15分〜19時半LO
[休日]火・水
[交通]JR浜松駅北口から徒歩6分
【餃子】
宇都宮市、近年頭角を現してきた宮崎市とともに、1世帯当たりの餃子年間支出額日本一を競う3強の一角が浜松市。市内を歩けば餃子屋の多さにすぐに気づくはずだ。フライパンで焼くために丸く並べられ、餡は野菜多めで軽くてジューシーなのが特徴とも言われるが、食べ歩けばさまざま。お気に入りを見つけたい。
『鍋貼強子 きよ』 @鴨江
抜群のバランスで口にあふれ出す旨みと香りと甘み
赤地の暖簾と提灯に灯がともると、待ちかねたように次々とお客さんが訪れる。今年で63年目になる知る人ぞ知る餃子店。元祖浜松餃子の声にも、「形だけの名前」と名乗るのはよしとせず。ひと口食べればわかるが、進化させ続けてきた旨さに自信があるからだ。
ぎょうざ大 1200円
パリリと焼き目がついて香ばしい薄皮の中の餡は肉4、野菜6で味が濃い。ニンニクも効いてるが甘くてジューシー。口の中に旨さがあふれ出すだけじゃなく、後から野菜の甘みもじゅわじゅわ。焼き油はもちろん、1年中産地を追うキャベツ、青森田子町産のニンニクと素材にも一切妥協なし。ビールが止まらないこと必至!
[住所]静岡県浜松市中区鴨江1-33-5
[電話]053-454-1931
[営業時間]17時〜21時 ※材料なくなり次第終了
[休日]火・水
[交通]JR東海道本線ほか浜松駅からバスで鴨江観音下車、徒歩3分
『喜慕里(きぼり)』 @高塚
海鮮餃子も◎パリリと焼けていくらでもいける
市街から離れた、昭和レトロ感満載でカウンター中心のお店。手作り感がどこか懐かしい餃子は薄皮でパリッと焼かれ、15個780円とリーズナブル。キャベツがたっぷりでむにゅっとした餡はやさしい味わいで、いくらでも食べられる。さらに見逃せないのが海鮮餃子。エビ、イカ、カニ入りと3種あって、その風味がシンプルにおいしい。
ぎょうざエビ入 中 900円
[住所]静岡県浜松市南区増楽町563-3
[電話]053-447-5737
[営業時間]11時半〜14時20分最終入店、16時半〜20時50分最終入店
[休日]木、第3水
[交通]JR東海道本線高塚駅南口から徒歩10分
【煎茶】
静岡茶と言えば、宇治茶、狭山茶と並ぶ日本の三大銘茶。生産量でも国内第1位だ。温暖な気候と豊かな地形の変化に恵まれ、中でも中西部が中心的な産地。特に遠州地方のお茶は甘みの中に程よい渋みが効いて、コクも香りも豊か。製茶へのこだわりも深く、地域ごとに味わいが異なり、浜松市のお茶は多彩な味わいも魅力。
『浜松のお茶屋 茶ッ葉屋』 @西塚町
浜松茶の味わいの豊かさを多彩に堪能できる!
多彩な味わいにこだわり、手仕立てで仕上げる茶工場『薗田製茶』。併設された店舗には味わい深く表情豊かなお茶が揃い、気になる商品はすべて試飲できる。2階は『お茶屋の隠れ家』。自家製緑茶ごはんとローストビーフなどのお食事や、緑茶を使ったさまざまなスイーツなどが揃い、ゆったりと楽しめる。
ほうじ茶、かぶせ煎茶、浜松パワーフード煎茶 各500円
[住所]静岡県浜松市東区西塚町313-4
[電話]053-411-7795
[営業時間]10時〜18時(飲食は14時LO)
[休日]火、第2水
[交通]JR東海道本線浜松駅からバス西塚町下車すぐ
【うなぎパイ】
うなぎパイの誕生は昭和36年。「一家団らんのひと時をうなぎパイで過ごしてほしい」との願いからキャッチフレーズは「夜のお菓子」に。テーマは浜名湖のうなぎ。生地にうなぎエキスを加えて焼き上げ、仕上げにはガーリックが入った秘伝のタレも。何千層にも折られた繊細なパイ生地は、今も変わらず職人の手作りだ。
『うなぎパイカフェ』 @大久保町
目で舌で驚くうなぎパイを使ったスイーツ
「うなぎパイ」の生産工場にして製造工程の見学もできる『うなぎパイファクトリー』。その中にあって、うなぎパイを使ったユニークな創作スイーツや食事を楽しめるのがこちら。季節ごとに旬の地元産フルーツなども使ったスイーツは、ここだけで出合える楽しさに満ちていてワクワク。ぜひ食べるべし!
”まるで”うなぎパフェ 1320円
[住所]静岡県浜松市西区大久保町748-51 うなぎパイファクトリー2階
[電話]053-482-1765
[営業時間]10時〜17時半(17時LO)
[休日]火・水
[交通]JR東海道本線高塚駅北口から車で20分
【うなぎも餃子も食べ比べるほどさらに旨し!】
「長寿こそ勝ち残りの源である」とは戦国武将にして75歳まで生きた家康の言葉。その青壮年期の食を支えた浜松の地は豊かな食材に恵まれて、食べ歩きが楽しい街なのだ。で、まずはうなぎ。生産量のトップこそ他県に譲ったが、うなぎの蒲焼き消費量は浜松市が全国一だ。しかも東西の真ん中に位置する浜松では、バリッと焼かれた関西風、フワッと柔らかな関東風、両方ある。
訪れた『かねりん』は蒸しが入るのは関東風と言えるが焼きの力強さは関西風。つまるところそのバランスが絶妙で、浜松ならでは。浜名湖産のうなぎを使い、味わいが濃いのは老舗の『あつみ』もまたしかりだ。うなぎつながりで言うなら『うなぎパイファクトリー』にもぜひ立ち寄りたい。原料にも製法にもこだわったうなぎパイの成り立ちに深く頷き、そのあとカフェで食べるうなぎパイの創作スイーツには実に心が躍る。
今回は餃子もかなり食べ比べ。タクシーの運転手さんにも聞いて「ここでしょ!」となったのが『きよ』そして『喜慕里』。あちこち食べてわかったのはともかく浜松の餃子はバクバクいくらでも食べられちゃう。野菜はキャベツが中心。その甘みが生きている。パリリと焼けた薄皮で、女子でも平気で20個くらい食べていたぞ。パンチの効いたニンニクまで甘かった『きよ』。また食べた〜い。
『喜慕里』ぎょうざ小 780円
家康ゆかりの古刹が揃う遠州三山へと足を伸ばして穏やかな気持ちになったあとは、ぜひ『茶ッ葉屋』でお茶の味わいに癒されたい。「10g・10秒・10度の差で多彩な味わいに変化する」とは代表の茶呈師・薗田基一さんの言葉。浅蒸し、超深蒸し、かぶせ煎茶、濃味煎茶……。ぜひ試飲をおすすめする。きっと、繊細な手仕立てで深みと旨みが引き出された煎茶の表情の豊かさに驚くはず。緑茶を生かした2階の食事も満喫し、すっかりお茶に目覚めたのだった。
グルメ旅を盛り上げる【観光スポット&お土産アイテム】
『浜松城』
徳川家康が、1570年に築城し、29歳から45歳まで、青壮年期を過ごしたのが浜松城だ。武田軍との激闘など数多の苦難を超えて天下を掴んだ場所であり、後には歴代城主が江戸幕府の要職に就いたことから“出世城”の異名も。「野面積み」と呼ばれる荒く組まれた石垣はほぼ戦国時代そのままの姿。3月には見応えのある桜も楽しめる。
[住所]静岡県浜松市中区元城町100-2
[電話]053-453-3872(浜松城天守閣)
[営業時間]8時半〜16時半(最終入館16時20分)
[交通]JR東海道本線ほか浜松駅からバス市役所南下車、徒歩6分
浜松城 石垣チョコ 葵 594円
家康が愛飲し、健康長寿を全うした要因のひとつとも言われるのが「忍冬酒」。薬草・忍冬(スイカズラ)を漬け込んだ薬味酒で不老長寿の酒とも。ロックでもミルク割でも旨し。ゴツゴツした見た目で浜松城の石垣「野面積み」をイメージしたチョコは、ビター・ミルク・ストロベリーのセット。葵紋をあしらったパッケージも◎だ!
【袋井まで足を伸ばして“遠州三山”を巡る】
『秋葉総本殿 可睡斎(かすいさい)』 @袋井
600年の時を刻む『可睡斎』は、東海道一の禅修行道場でもある曹洞宗の名刹だ。可睡斎の寺号は11代住職と家康とのエピソード(「和尚、睡るべし」)に由来。火防守護、秋葉信仰の総本山でもある。春の牡丹や紅葉の花の寺、精進料理がおいしい味の寺としても知られ、3月末までは圧巻のひな壇が設けられたひなまつりが開催中だ。
[住所]静岡県袋井市久能2915-1
[電話]0538-42-2121
[営業時間]8時~16時半
[交通]JR東海道本線袋井駅からバス可睡斎入り口下車すぐ
『油山寺(ゆさんじ)』 @袋井
701年行基により創建。味わい深く心地いい気に満ちた古刹だ。孝謙天皇が境内の霊水で御眼を洗ったところ目の病が全快したと言われ、目の霊山とされる。また、守護神である軍善坊大権現は天狗の姿をした健足の神様であり、戦国武将からの尊信も厚く、寄進された建造物も多い。家康もここに戦勝祈願をしたと言われている。
[住所]静岡県袋井市村松1
[電話]0538-42-3633
[交通]JR東海道本線袋井駅から車で20分
『法多山(はったさん)尊永寺(そんえいじ)』 @袋井
厄除観音として有名で、徳川家定のころから名物として親しまれている「厄除だんご」が旨い。開山は725年。戦国武将の信仰も厚く、慶長7年には徳川家康より500万石の格式で遇せられている。地元に親しまれ、万灯祭をはじめ四季を通じてさまざまなイベントを開催。境内の庭では家康手植えの松も見事な姿を見せている。
[住所]静岡県袋井市豊沢2777
[電話]0538-43-3601
[交通]JR東海道本線愛野駅から車で10分
撮影/小島昇、取材/池田一郎
2023年は徳川家康公ゆかりの地へ! 「どこ行く家康」キャンペーン
JR東海は、徳川家康ゆかりの静岡、愛知エリアを中心に、「どこ行く家康」キャンペーンを展開中。大河ドラマ館が設置される静岡、浜松、岡崎に加え、名古屋や関ケ原などのゆかりのスポットに魅力的なコンテンツが用意されています。
詳細はこちらから。
https://recommend.jr-central.co.jp/zurashi-tabi/dokoiku-ieyasu/
※2023年4月号発売時点の情報です。
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