赤坂氷川神社の夏の神事「夏越の大祓式」 一般参拝が4年ぶりに復活 暑い夏を乗りきる”元気めし”「夏越ごはん」200食を無料配布

赤坂氷川神社の「夏越ごはん」 茅の輪をイメージした夏野菜の丸い形をしたかき揚げが雑穀ごはんの上にのっています

1月から6月までの半年間の心身の穢れを清め、残り半年間の無病息災を祈る「夏越の大祓式(なごしのおおはらえしき)」が2023年6月30日、江戸の年号の刻まれた鳥居や灯篭などが現存する緑豊かな境内の赤坂氷川神社(東京・赤坂)…

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1月から6月までの半年間の心身の穢れを清め、残り半年間の無病息災を祈る「夏越の大祓式(なごしのおおはらえしき)」が2023年6月30日、江戸の年号の刻まれた鳥居や灯篭などが現存する緑豊かな境内の赤坂氷川神社(東京・赤坂)で行われました。4年ぶりに一般参拝が可能となった神事では、200食分の「夏越ごはん」も振る舞われ、コロナ禍以前の日常を取り戻しつつあることを象徴するような特別な一日となりました。

「夏越の大祓式」御神職による茅の輪くぐりの様子

「夏越の大祓式」一般参拝

「大祓(おおはらい/おおはらえ)」は、日本神話の伊弉諾尊(いざなぎ/いざなきのみこと)の禊祓(みそぎはらい/みそぎはらえ)が起源とされ、心身の穢れや罪を祓い清める神事として全国の多くの神社で、6月の晦日と12月の大晦日の年2回行われています。

赤坂氷川神社の「夏越の大祓式」一般参拝は4年ぶり(6月27日撮影)
緑に囲まれた境内は都会の喧騒を感じさせません(6月27日撮影)

 「東京十社(とうきょうじっしゃ)」の一社に数えられている由緒ある赤坂氷川神社。この日の都心の天気は曇り時々雨、最高気温は28.9°度(午後1時)という蒸し暑さ。夕刻には暑さが若干和らぎましたが、神事に集まる人々の静かな熱気が、境内を包みます。

赤坂氷川神社は 「東京十社(とうきょうじっしゃ)」に数えられています(6月27日撮影)

「夏越の大祓式」は、社殿の中に50名ほどの人たちが参列し、午後5時から約30分のご祈祷が始まりました。雨が降り始めたにもかかわらず、社殿の前には約100名が集まり参拝していました。

神職による「茅の輪くぐり」は、雅楽の演奏の中、執り行われました。赤坂氷川神社の禰宜(ねぎ)・恵川義孝さんは「コロナ禍で大変な日常を過ごされたと思いますが、そんな中であらためて感じることができたのは”日常のありがたさ”でした。今日の神事を機に清々しい気持ちで豊かな毎日を送れるようご祈念いたします」と話し、夏の神事の復活を喜んでいました。

御神職による「茅の輪くぐり」

「夏越の祓」は、多くの神社で一年の折り返しにあたる6月30日に行われ、鳥居の下や拝殿の前などに「茅の輪」という茅(ちがや/イネ科の植物)や、わらで編んだ人が潜ることができるほど大きな輪を設けます。

この輪を潜ることは「茅の輪くぐり」と呼ばれ、8の字を描くように3回輪の中を潜り、半年間の罪や穢れを祓い清めるとともに、残り半年間の無病息災を祈ります。茅の輪くぐりは、「夏越の祓」のみ行われることが一般的なようです。

赤坂氷川神社の「茅の輪くぐり」(6月27日撮影)
茅の輪のくぐり方がわかりやすく書いてあるので初めてでも安心です(6月27日撮影)

「夏越ごはん」は200食分

神事の後、ふるまわれた「夏越ごはん」は、茅の輪の丸い形をイメージした夏野菜のかき揚げ丼です。「ゴーヤ」「パプリカ」などの夏野菜や干しエビが入っているそうです。タレにはレモンや生姜が入ったさっぱりした味で、とても美味しそうです。

「夏越ごはん」は、米穀の安定供給の確保の支援などに携わる公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構が、「ごはん食の魅力再生とごはんの消費拡大を図る目的」(「夏越ごはん」資料より一部抜粋)として開発し、2015年から提唱している「夏越の祓」の行事食です。

「夏越ごはん」は、雑穀入りごはんの上に夏野菜を使用した丸い食材(「茅の輪」をイメージしたもの)が乗っているのが特徴です。日本神話に出てくる貧しい暮らしをしていた蘇民将来(そみんしょうらい)が、宿を探していた素盞嗚尊(すさのおのみこと/神の地位)を「粟飯」でもてなしたという伝承に由来しているそうです。

「夏越ごはん」には、”夏を元気に乗り切り、残りの半年を新たな気持ちでスタートできるように”という願いが込められているといいます。

赤坂氷川神社の「夏越ごはん」のふるまいは、(神事前に)配られた無料チケットを持つ参拝者に、「夏越の祓」の神事終了後、配布されました。

200食用意された「夏越ごはん」
「夏越ごはん」が配布される様子

「夏越ごはん」は、百貨店や社員食堂などでも期間限定メニューとして提供されているようです。米、雑穀、夏野菜がベースになっているので、炭水化物や食物繊維、ビタミン類が効率よく摂ることができるレシピになることから、行事食としてだけではなく”暑い夏を乗り切るメニュー”としても好評を得ているそうです。

「(できれば雑穀入りの)ごはん」と、「茅の輪にちなんだ丸い食材」という2つの要素をおさえていればレパートリーは自由自在という「夏越ごはん」。これなら、家庭でも無理なく食材もそろえられ子供と一緒に楽しみながら作ったり、好みに合った「夏越ごはん」が作れ、”健康を願う夏の風物詩”となりそうです。

文・写真/大島あずさ

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