1月から6月までの半年間の心身の穢れを清め、残り半年間の無病息災を祈る「夏越の大祓式(なごしのおおはらえしき)」が2023年6月30日、江戸の年号の刻まれた鳥居や灯篭などが現存する緑豊かな境内の赤坂氷川神社(東京・赤坂)で行われました。4年ぶりに一般参拝が可能となった神事では、200食分の「夏越ごはん」も振る舞われ、コロナ禍以前の日常を取り戻しつつあることを象徴するような特別な一日となりました。
「夏越の大祓式」一般参拝
「大祓(おおはらい/おおはらえ)」は、日本神話の伊弉諾尊(いざなぎ/いざなきのみこと)の禊祓(みそぎはらい/みそぎはらえ)が起源とされ、心身の穢れや罪を祓い清める神事として全国の多くの神社で、6月の晦日と12月の大晦日の年2回行われています。
「東京十社(とうきょうじっしゃ)」の一社に数えられている由緒ある赤坂氷川神社。この日の都心の天気は曇り時々雨、最高気温は28.9°度(午後1時)という蒸し暑さ。夕刻には暑さが若干和らぎましたが、神事に集まる人々の静かな熱気が、境内を包みます。
「夏越の大祓式」は、社殿の中に50名ほどの人たちが参列し、午後5時から約30分のご祈祷が始まりました。雨が降り始めたにもかかわらず、社殿の前には約100名が集まり参拝していました。
神職による「茅の輪くぐり」は、雅楽の演奏の中、執り行われました。赤坂氷川神社の禰宜(ねぎ)・恵川義孝さんは「コロナ禍で大変な日常を過ごされたと思いますが、そんな中であらためて感じることができたのは”日常のありがたさ”でした。今日の神事を機に清々しい気持ちで豊かな毎日を送れるようご祈念いたします」と話し、夏の神事の復活を喜んでいました。
「夏越の祓」は、多くの神社で一年の折り返しにあたる6月30日に行われ、鳥居の下や拝殿の前などに「茅の輪」という茅(ちがや/イネ科の植物)や、わらで編んだ人が潜ることができるほど大きな輪を設けます。
この輪を潜ることは「茅の輪くぐり」と呼ばれ、8の字を描くように3回輪の中を潜り、半年間の罪や穢れを祓い清めるとともに、残り半年間の無病息災を祈ります。茅の輪くぐりは、「夏越の祓」のみ行われることが一般的なようです。