年々暑さが増す日本の夏。普段はアイスクリーム派だけれど、真夏はやっぱりかき氷派という方も、多いのではないでしょうか? やはりサッパリ感や清涼感は、かき氷のほうが一段上。手っ取り早く涼を得るには、かき氷は打ってつけですよね。
しかし、急いでかき氷をかきこむと、頭がキーンとして動けなくなる~なんていう方も多いのではないでしょうか?
70年前から天然氷のかき氷を販売! 老舗店に聞く「キーン」とこない理由とは?
なかにはこのキーンが嫌で、かき氷は苦手という方もいらっしゃるようですが、よくよく考えてみると、キーンと来るときと来ない時、いや、キーンと来るかき氷と、キーンと来ないかき氷があったりしませんか? 実はそれには理由があったのです。
その理由を、天然氷のかき氷で有名な「ちもと総本店」の吉田裕社長さんに伺いました。
「ウチのかき氷は、(頭に)キーンと来ないというお客様が多いのですが、それは天然氷を使っているからだと思います」と、吉田社長。
「天然氷は、自然のものですから、凍ったり溶けたりを繰り返しながら、ゆっくりと時間をかけて氷のカタマリになっていきます。それに比べると人工的に機械で作った氷は、一気に冷却して作るので、氷のカタマリになるまでの時間が短いんです」とのこと。
実は違う! 天然氷と普通の氷が「溶け出す温度」
つまり、天然氷は時間をかけて、溶けたり凍ったりを繰り返しながら、ゆっくりと凍っていくため、氷のカタマリとして形を保っていられる温度帯が高く、機械で人工的に作った氷は、一気に冷却しているので、氷のカタマリとなった温度帯が低い。結果としてカタマリとして形を保っていられる温度帯も低いというわけです。
「なので、溶け出す温度が違います。天然氷のほうが、温度が上がっても溶けにくいんです。例えば、天然氷で作られ丸く加工されたウイスキーの氷も、1杯飲んだくらいでは溶けきらずに、2~3杯飲めるじゃないですか」と、吉田さん。
溶けにくいと伺うと、天然氷のほうが冷たいように感じますが、溶け出す温度が高いということは、天然氷のほうが温度が高いことになります。つまり、同じ氷でも、それぞれ温度が違うというわけ。
実はこの温度がポイント。「天然氷のほうが温度が高いので、かき氷を食べる人間の体温との差が小さくなりますよね。この差が小さいと頭にキーンと来る可能性が低く、温度差が大きいとキーンと来る可能性が高まるそうなんです」とのこと。だから、ちもとのかき氷は、キーンと来ないんですね。