ニッポン“チャーラー”の旅

岡山県備前市の食堂でやさしい味わいのチャーラーを食す 身体にスッと入っていく日常的に食べたくなる旨さ

チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」。第27回となる今回は、岡山県備前市へ。地元で人気の町食堂、その名も『大阪屋』。岡山だけど大阪。そこで出合ったチャーラーとは!?

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岡山県備前市へ出張。朝6時半に自宅を出発したこともあり、兵庫県へ入ったあたりから眠くてたまらなくなり、PAに車を止めて1時間近くも寝てしまった。

で、備前市へ入ったのは11時半。取材は13時からなので、昼食を摂る時間はたっぷりとある。備前市は牡蠣の養殖が盛んで、「カキオコ」、つまり、牡蠣入りのお好み焼きの店が軒を連ねている。

岡山県にあるのになぜか『大阪屋』

しかし、私が選んだのは、あらかじめグルメ情報サイトでチェックしていた店。その名も『大阪屋』備前市なのに、岡山県なのに大阪。そいうえば、うちの近所には『六本木』というスナックがあったな(笑)。愛知県なのに。

店名の由来が気になるところだが、ここはひと昔前、どの街にもあったドライブインのようだ。入り口から入って右側が焼肉店で、左側が食堂になっている。

食堂では、和洋中のメニューが豊富に揃う。入り口にレストランでよく見かけた食品サンプルが並ぶショーケースがあったが、お昼時で混み合っていたため撮影を断念した。

『大阪屋』外観。昭和レトロの香りがプンプン

ショーケースからメニューを選び、レジで食券を買って席へ着く。店員さんが食券を受け取って厨房へオーダーするというシステムだ。

私は「ラーメンセット」(990円)を注文。これはラーメンとチャーハン、いわゆるチャーラーだが、ラーメンは醤油か豚骨のいずれかが選べる。ここは無難に醤油を選択

5分も経たないうちに目の前に運ばれた。やたらと早いのは、チャーハンが作り置きなのかもしれない。まぁ、おいしければイイんだけど。

「ラーメンセット」。チャーハンはたっぷり1人前あり、かなりのボリューム

写真の通り、ラーメンとチャーハン以外に小皿に盛られた紅ショウガと高菜が付く。いずれも豚骨ラーメンには欠かせないアイテムだが、醤油ラーメンには合わない。紅ショウガはチャーハンの箸休めや味変に使えということか。

食堂ならではの素朴な味わいが◎

では、まずラーメンからチェックしてみよう。スープをひと口飲んで見る。うん、素朴な味わい。ここは中華料理店ではなく食堂ゆえに、おそらくスープは業務用のタレをお湯割りしたものだろう。しかし、それでもよいのだ。

「醤油ラーメン」。具材は、チャーシューとカマボコ、モヤシ、ネギとシンプル

麺は中太のストレート。これも中華料理店とは少し違う。何と言うのか……スープと同様に特徴がないというか、あまり記憶に残らない味。誤解してほしくないのだが、ディスっているのではない。

むしろ、その逆だ。記憶に残る味は、やはり2週間や1ヶ月に1回で十分と思ってしまう。日常的に食す場合、身体にスッと入っていく、これくらいの味がよいのだ。

「チャーハン」はパラパラ系。お米の一粒ひと粒にしっかりと油がコーティングされている

次にチャーハン。熱々だったものの、強火で中華鍋を振った熱さではない。やはり、作り置きでレンチンしたような感じ。わかるかなぁ。

しかし、味付けは塩コショウだけではない複雑さを感じる。やはり、中華料理店の味ではなく、食堂ならではの素朴な味わい。これでよいのだ。

いつの間にか店内は満員。レジ前には長い行列ができていた。駐車場も満車で、空くのを待っている人も見かけた。『大阪屋』は地元で大人気なのである。

取材・撮影/永谷正樹

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