ソウルでの「ぼっち飯」はハードル激高!韓国常連ライターが教える完全攻略ガイド

年末年始は海外でのんびり過ごす人も少なくないでしょう。お隣の韓国は人気の渡航先。何度も訪れたライターが、一人旅向けにソウルでの「ぼっちメシ」を指南します。おひとり様上等! 日本よりハードルが高い!?「ソウルのぼっち飯」事…

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年末年始は海外でのんびり過ごす人も少なくないでしょう。お隣の韓国は人気の渡航先。何度も訪れたライターが、一人旅向けにソウルでの「ぼっちメシ」を指南します。おひとり様上等!

日本よりハードルが高い!?「ソウルのぼっち飯」事情

2023年、コロナ後初めて韓国・ソウルに行った。しかも2回。で、2024年にも渡韓を控えている。目的はオタ活だが、食いしん坊の筆者は「食」を妥協するつもりは一切ない(きりっ)

しかし、韓国は、東京以上に「おひとりさまご飯」のハードルが高いのが実状だ。ここ数年はひとりで食事をしている女性もしばしば目にするようになったが、そもそもカウンター席がある店は少なく、4人掛け以上のテーブル席が中心。サムギョプサルなど、焼肉系は2人前からのオーダーが基本だ。

「なら、2人前以上、オーダーすればいいじゃん」と思うかもしれない。確かにそうなのだが、筆者はアラフィフのおばちゃん。焼肉2人前はつらい(韓国はポーションも大きいのだ)。

また、店によっては、そもそもひとり利用を断られるケースもある。残念だが仕方ない。1人でテーブル席を使われるのは、お店にとっては効率が悪い。

とはいえ、せっかくの海外、美味しいものを食べたい! そんなわけで、筆者が韓国遠征で培ってきた、ソウルぼっち飯の極意(というほど大したものではないかもしれないが)を紹介したい。

狙うはテイクアウトとキンパ専門店!

まず基本情報として、韓国は日本よりずいぶん前からペダル(配達)文化が定着している。アプリを使ってホテルに持ってきてもらうのも手。

また、多くの食堂では持ち帰りもできるので、ホテルへの帰路、気になる食堂に「テイクアウトお願いします~」と立ち寄ってみるのもいいと思う。

その際、使う韓国語については、専用のサイトや翻訳アプリで検索すると、さまざまな提案をしてくれるはずだが、参考までに、筆者は「ポジャンヘ ジュセヨ」(=包んでください)「カジゴ カルケヨ」(=持ち帰ります)と言っている。

韓国風トーストの人気店。持ち帰り部屋で食べたりもする

キンパ(韓国海苔巻き)専門店も重宝する。さまざまな街にあるチェーン店「キムガネ」「キンパ天国」は、テイクアウトはもちろん、イートインスペースも設けている。インスタントラーメンや餃子、トッポッキ、チゲ、うどん、チャーハンなど、キンパ以外のメニューも充実している。

筆者のお気に入りは、インスタントラーメンの麺をトッポッキの甘辛いソースで炒めた「ラッポッキ」。ジャンクフードの権家のようなものだが、これが予想以上に辛くてクセになる。

オタ活とオタ活の間に小腹がすいたら、地下鉄構内にある軽食屋でおでんをつまむこともある。

地下鉄構内や地下のショッピング街の軽食屋のおでんはぼっちの強力な味方。スープ(勝手にすくう)も温まる

食堂も使い勝手◎

食堂の場合は、定食やスープものをオーダーする。たとえば、「カムジャタン」(豚の背骨肉とじゃがいも、ネギやエゴマの葉などを、粉唐辛子とゴマ、ニンニクなどの薬味が入ったピリ辛スープで煮込んだ鍋)」の専門店には、たいていおひとりさま用のトゥッぺギ(韓国の土鍋)で煮込んだ「ヘジャンクク」がある。

「ヘジャンクク」。当然ながら店によって味付けも中に入る具材も違う

焼き魚の定食屋やソルロンタン(牛骨スープ)や冷麺の専門店など、ぼっちご飯のハードルが比較的低い店は決して少なくはないのだ。

冷麺の登板回数も多い
疲れた胃にもやさしいソルロンタン

そんな店には、人差し指を立てて、「ホンジャ イエヨ」(=ひとりです)と入っていくが、店に入った途端に、お店のスタッフが「え、ひとり……?」と戸惑った表情を浮かべた時には、「ホンジャ ケンチャナ」(=一人、大丈夫?)と、怪しいものではありませんよ~といった感じでにこやかに声をかけるようにしている。

また、おひとりさまの配慮として、行列ができているような人気店は、ピークの時間の利用は避けるようにしている。お酒も基本、飲む……ってそれは店を気遣ってというより、自分が飲みたいからだったりするが。

焼き魚屋にもたびたび足を運ぶ。ごはんも焼酎もススム

「おひとりさま」でも怖くない!筆者の行きつけ3選

最後に、筆者の行きつけを、3つほど紹介しよう。

まずは、鍾路(チョンノ)にあるチゲ専門店「トゥッペギチブ」。超が付くくらいの有名店で、検索すればすぐにヒットするはずだ。

ローカル色満点だが、看板にカタカナ表記があるくらいなのだから歓迎してくれている(はず)

メニューは、テンジャンチゲ、ウロン(タニシ)テンジャンチゲ、スンドゥブチゲ、キムチチゲの4種。チゲは店名のとおりにトゥッペギに入って出てくる。

熱々の状態で運ばれてくる。こちらはキムチチゲ

また、チゲが出てくる前に、ごはんと、数種類のおかずが提供されるが、そのごはんの上に、おかずをのせ、さらにテーブルに用意されている大根の千切りキムチとコチュジャンを加え、自分でビビンバを作りながらチゲの登場を待つのが、同店の習わし(かどうか知らないけれど、みんなやっている)だ。そして、これがまた旨い!

朝早くから営業しているのも使い勝手がよく、筆者は最終日の朝食に利用することが多い。

卓上で作るビビンバ。汚くてすみません、でも手を付ける前です!

さて、好きな韓国料理ベスト3を挙げろと言われれば、筆者の場合、「タッカンマリ」は間違いなくランクインする。「タッ」とは「鶏」、「ハンマリ」は「一羽」という意味で、鶏を丸々一羽、鍋でグツグツ煮こむ料理だ。

鍋には鶏のほか、ネギ、ジャガイモ、トッ(韓国餅)などが入ることが多いが、具材のラインアップは店によって異なる。

ソウルの東大門市場(トンデムンシジャン)には、タッカンマリ専門店が軒を連ねる「タッカンマリ横丁」もあるほど韓国では一般的な料理だが、「鶏一羽」なだけに、ぼっちには少々ハードルが高い(もちろん、ひとりで食べる気合いがあれば無問題)。

が、「東大門明洞(ミョンドン)タッカンマリ 始祖(シジョ)店」では、半羽(パンマリ)で提供してくれる。店に足を運ぶたびに、日本人と思しき女性がひとりで鍋をつついている。なんとも心強い。

その日の腹具合にもよるが、筆者の場合、じゃがいもを追加。最後はカルグクス(韓国式うどん)で締めたりもする。韓国焼酎との相性も抜群だ。

半羽(パンマリ)。えのき茸を追加している(ようだ)
「東大門明洞タッカンマリ 始祖店」の半羽(パンマリ)
半羽(パンマリ)の伝票。この時はじゃがいもを追加した

ちなみに、東大門の「タッカンマリ横丁」で最も人気があるのは、「チンハルメ元祖タッカンマリ」。いちばん行列が長いのですぐわかる。「タッカンマリ横丁」の店は何軒か食べ比べた。好みもあるが、筆者もココがいちばん美味しいと思う。

というわけで、ひとりではない時は「チンハルメ元祖タッカンマリ」へ、ひとりの時は「東大門明洞タッカンマリ 始祖店」に行くことにしている。

参考までに、「チンハルメ元祖タッカンマリ」の1羽分はこんな感じ

仁寺洞(インサンドン)の「テンマルチッ」もほぼ毎回通っている食堂だ。テンジャンチゲが看板メニューで、実際、美味しい。

店に入ると、「テンジャン?」と聞かれて、勝手に注文が入りそうになるが、筆者は「カンジャンケジャン定食」をオーダーすることが多い。

カンジャンケジャンは、新鮮な生のワタリガニを漬け込み醤油ダレに漬けて熟成させた料理。専門店のほうが美味しいものをいただけるのはわかっているのだが、専門店の1人前はポーションが大きく、もちろん値段も張る。そんなわけで、ここで定食を頼んで、カンジャンケジャン欲を満たすのだ。

カンジャンケジャン。定食なので、ごはんやおかずも付く。干し鱈のスープが付くのが地味にうれしい

唯一の難点は店の場所がわかりづらいことだろうか。仁寺洞のメインストリートから脇道に入り、さらに路地に入る。ぜひ探してみてほしい。

■トゥッペギチブ
住所/ソウル特別市鐘路区貫鉄洞 5-1
Tel/02-2265-5744
営業時間/月~金6:00~20:30、土日6:30~20:00
休業日/旧正月・秋夕(チュソク)の当日

■東大門明洞タッカンマリ 始祖店
住所/ソウル特別市鐘路区鐘路5街280-4
Tel/02-2275-3125
営業時間/10:00~23:30
休業日/旧正月・秋夕(チュソク)の当日

■仁寺洞テンマルチッ
住所ソウル特別市鐘路区仁寺洞4, 2F、B1F
Tel/02-739-5683
営業時間/11:30~21:30
休業日/旧正月・秋夕(チュソク)の当日

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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