心躍らせる食堂かつも見逃すな! 池「やっぱりとんかつってみんな大好物の国民食だよな。俺は食堂のかつを担当したけど、敷居が高くなく、なんなら他の料理と一緒に楽しめるのがいいんだよね。 地元の人、町の人に愛される食堂で、とん…
画像ギャラリー油&脂に悩まされた隊長の「おとなの週末」編集・戎を筆頭に、ライター・肥田木、菜々山、井島、池田らで臨んだ、2024年3月号の「とんかつ」特集。あらためて気がついたとんかつの魅力のほか、賢い「とん活」法も伝授です。皆さんのおいしい「とん活」に役立ててください。
白色と黄金色、ここが違うんです!
戎「いきなりですが、昨今のとんかつ事情と言えば、低温で揚げた白い衣VSオーソドックスな黄金色の衣問題がありますよね。この1ヶ月、“とん活”を続けたみなさんはどう思いますか?」
肥「どっちも好きだよ。白い衣は香ばしさが少ない分、豚肉自体がおいしくないとダメ。こんがり揚げ切った色付きのいい衣は、肉の味がそこそこでも衣の香ばしさで全体の味をカバーできる気がする。だから最近の高級店は白い衣が多いのは必然かな」
菜「まさにそれだよ。こちらの庶民派の町かつ&食堂のかつは、ほとんど黄金色だったもん」
池「気になるんだけど高級とんかつって今やお値段いかほど?」
肥「4〜5千円くらいかな」
井「ひえっ!1回の飲み代くらいするじゃないですか」
肥「でもね、豚の銘柄にもすごくこだわっているし、厚切りだし、食べれば納得だよ。今回の大注目が新店の『憲進』」
戎「僕も同感です!」
肥「だよね。豚の旨さもさることながら、揚げ方の技術も圧倒的。白い衣であのサクサク感はなかなか出ないよ」
戎「あと付け合わせのキャベツにも感動しました。ふわふわエアリーですごく甘いんです。切り方は企業秘密ですって。キャベツと皿に残った衣をご飯に乗せて丼的に食べてもイケるんです」
肥「それに『ひとみ』も抜群だった。“とんかつは蒸し料理”という揚げの技法はさすがで、衣内に閉じ込められた肉汁が全体に行き渡っていて断面にぶわっと肉汁がにじんでるの。それを逃さぬよう、すかさず食べるべし。
そうそう、とんかつをおいしく食べるコツは断面を上にして舌に直接肉を当てること。こうすることで旨みを感じやすくなるってわけ」
戎「この店でしか使われていない“長右衛門豚”を食べたんですが目を見張るほど旨い!胃腸の弱い僕もペロリでした」
菜「そうね、アナタ、油や脂にやられがちだもんね。今月はさぞかし大変だったでしょ」
戎「うう、そうなんです。来る日も来る日も昼&夜とんかつ……。高級店のとんかつは文句なしにおいしいんですけど、いい豚肉だから脂もしっかり乗っていてボリュームも大。でも今回知ったんです。キャベツを先に食べると胃もたれを抑えられるんです!(ドヤ顏)」
菜「……それ、フツーじゃね?」
池「当然の知識だろ」
戎「そ、そうなんですか。もう僕のことは放っておいて、みなさんで続けてください(涙)」
菜「うん、そうする。さっそく聞いてよ!今回取材拒否の嵐で、めっちゃくちゃ大変だった!!」
肥「やっぱ、常連さんを大事にしたいから系で?」
菜「そうそう、あとひとりや家族でやってるから忙しくなると困る系。東へ西へ食べ歩いて、いい店を発見しても取材が決まらない日々にちょっと泣いた」
井「大変だったね。で今回取材受けてくれた中で特におすすめは?」
菜「やっぱり『美濃屋』かな。ロースかつ定食が800円ってところも衝撃だけど、豚の端材がたっぷり入った豚汁に羽釜で炊いたツヤピカのご飯。いつも開店前から行列だけど並んでもいいと思える味と値段だよ。
もう1軒は『卯作』でランチメニューは開業当初から値上げしてないんだって。この食材高騰の折にもだよ!?長く通ってくれるお客さんをがっかりさせたくないってがんばってる。
町かつは地元の人や常連さんを大事にしている店ばかりだったなあ。だから取材拒否も多いんだけどね。井島さんは?」
井「私ね、低温調理のとんかつに、あまり良い印象を持っていなかったんだけど『つかんと七洋軒』は衣とジューシーな肉がマッチしていてテンション上がった!塩とオリーブ油をつけると、これがワインにも合うんだ。
豚肉自体の味だと『さくたろう』で出す自社ブランドのメキシコ産“ラッキートーン”が重すぎず、ちょうどいい。今や外国産の豚肉の質も上がってきているし、国産と引けを取らないよ」
菜「うんうん、そりゃあ国産の銘柄豚と比べると、旨みも甘みも弱いけど、とんかつにすると逆にあっさり食べられる感じがする」
心躍らせる食堂かつも見逃すな!
池「やっぱりとんかつってみんな大好物の国民食だよな。俺は食堂のかつを担当したけど、敷居が高くなく、なんなら他の料理と一緒に楽しめるのがいいんだよね。
地元の人、町の人に愛される食堂で、とんかつはもちろん揚げ物全般が上手で、さらに居心地もよくて、またときどき来たいなと思ったのは『丸幸洋食店』だな。あと『涼庵』の巨大カツ丼は衝撃だった。厚みもすごいけどめちゃくちゃ柔らかい」
菜「とんかつをいろんな料理のトッピングにできちゃうのも食堂の楽しさだよね。ああ、スパイスがシャープな『動坂食堂』、昭和な黄色いカレーの『キッチンきらく』、どちらのカツカレーもすぐにでも食べに行きたい」
池「いいね。それなら俺は『あゆた』の“ふわとろオムドライカレー”にかつトッピングを推すぜ。もう皿の中が夢のコンボって感じなわけよ」
肥「今月食べ過ぎて、とんかつとはしばらく距離を置こうとしてたけど食堂のかつ、気になる〜」
池&菜「でしょう?」
戎「あの〜、すみません」
菜「どうした、キャベ男?」
戎「もう、キャベ男でいいです。僕、思うんですけど、とんかつって多くの日本人にとってご馳走なんですよね。とんかつを食べに行くと決めた時の高揚感って他の料理よりも不思議と強い気がするんです。向かってる時のワクワクした気分も含めて楽しんでもらえたら、胃袋を酷使して闘い続けたかいがありますね」
文/菜々山いく子、撮影/西崎進也(キッチンきらく、ひとみ)、小島昇(とんかつ さくたろう)
※2024年3月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。