新富町でディナーならココ!ワインが似合う手頃な美食店がめじろ押し

静寂の先に喧騒が待つ 美味をもとめて向かう街 東京在住者や職場がある人にとっても、この町を訪れる機会はそう多くはないだろう。高層マンションやビルが立ち並び、その合間に佇む古びた一軒家。住宅地でもありオフィス街でもあり、ど…

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新富町を歩いていると、ワインに合いそうなフレンチやイタリアンをよく見かけました。その中でも、手頃でおいしく楽しめる4軒と、和食酒場の良店2軒をご紹介します。

『ビストロ ル ケイク』

力強くも繊細な料理とワインで良い夜確定!

店主の加藤さんは、フランスで巨匠ピエール・ガニェール氏にも師事した経歴の持ち主。そう訊けば彼の料理も繊細で前衛的なものをイメージするかもしれない。

しかし実際メニューに並ぶのは、自家製のシャルキュトリにカスレやコンフィといった骨太かつ伝統的なものばかり。その理由は?

「今も思い出に残っているのは賄いや田舎町のビストロで食べた飾らない味なんですよね」。

シェアコース 5280円

『ビストロ ル ケイク』シェアコース 5280円(写真は2人前) 手前のシャルキュトリ盛り合わせはすべて自家製。この日はモルタデッラハム、マグレ鴨の燻製など。中央の肉料理は赤ワインの風味が広がるミンチ肉とじゃが芋のグラタン。パスタはその時々の食材とソースを組み合わせ、好みに応じてくれる。写真は鶏とキノコのクリームパスタ。同料金でパスタの代わりに明石から届く魚を使った料理が付くコースもあり

とはいえレバームースのうっとりするような口溶けや、ジャンボン・ブラン(豚肉のハム)のみずみずしい舌触りから、実直な仕事と確かな技が伝わってくる。

アルコールの揃えはワインはもちろん焼酎や日本酒も。大いに食べて飲んで、この店で気取らず過ごす夜はなんと気持ちがいいものか。

『ビストロ ル ケイク』

[住所]東京都中央区新富1-6-15
[電話]03-6280-3611
[営業時間]18時~23時(22時LO)※土・祝は~22時(21時LO)
[休日]日
[交通]地下鉄有楽町線新富町駅2番出口から徒歩2分

『ヨーショクヤ リベルマン』

高級店顔負けの上等な洋食を気軽&手頃に

ピカピカに磨かれた大きな窓から漏れる明かりは、食いしん坊を誘う灯台だ。

夜はひとりで調理から接客までこなす店主・早乙女さんは元フレンチのシェフ。渡仏中、八重洲富士屋ホテル(現在は閉館)の総料理長との出会いをきっかけに伝統洋食の道を突き進むことになる。

カタカナ表記の“ヨーショクヤ”なんて店名の気軽なイメージとは裏腹に、丹念に炒めた飴色玉ねぎの甘みと凝縮したコンソメの旨みが広がるステーキや、ご飯よりもカニの身が多く入ったピラフなど、一つひとつの工程を大切に積み重ね、素材を惜しみなく使った料理はすこぶる上等な味わい

シャリアピンステーキ 2200円

『ヨーショクヤ リベルマン』シャリアピンステーキ 2200円 飴色玉ねぎに店で丁寧に炊くコンソメの2番ダシを煮詰めたソースが、ジャストな火入れで仕上げた山形牛の旨さを膨らませている

仲間とワイワイやるならば、料理もお酒も充実の飲み放題付きコース(5500円)もかなりお得だ。

『ヨーショクヤ リベルマン』

[住所]東京都中央区新富1-11-7 ミツヤ第3ビル1階
[電話]03-6280-4433
[営業時間]11時半~14時、18時~23時(21時~はバータイム)
[休日]土の昼、日・祝
[交通]地下鉄有楽町線新富町駅3番出口から徒歩4分

『マチルダ 銀座』

ワインと料理が気分をアゲる 大人の時間を満喫

ワイン飲めないひとお断り、それがこの店のルールだ。その言葉に飲んべえの肝臓は俄然やる気を出し始めた。

でもまずはワインのお供を。1本目の泡や白に合わせて選びたいのが「幸せの一皿」。ピザ生地の蓋が開いたそばから立ち上る湯気に歓声を上げ、魚介の旨みが凝縮したスープでボトルはたちまち空になる。

ナポリの魚介鍋「幸せの一皿」 2980円

『マチルダ 銀座』ナポリの魚介鍋「幸せの一皿」 2980円 エビやムール貝などその時々の魚介を使ったブイヤベースに、ショートパスタや米も入る。ピザ生地の蓋を開けた瞬間に立ち上る香りもご馳走だ

続いて身もワタも丸ごと使った超濃厚なイカスミパスタは〆というより絶好のつまみで赤もよく似合う。お歯黒も気にせずワハハと笑えば自由で痛快ないい時間。

元は酒屋が母体ということもあり、ワインはどれもコスパ高。値段をさほど気にせずガブ飲みできるのもうれしいところ。胃袋も肝臓も、そして心も栄養満タンチャージ。大人にはこんな夜が必要だ。

『マチルダ 銀座』

[住所]東京都中央区新富2-2-8 榎本ビル1階
[電話]03-6280-3200
[営業時間]11時半~13時半LO(30食限定、無くなり次第終了)、17時~22時(21時LO)※金・祝前日は~23時(22時LO)
[休日]日(月は不定休)
[交通]地下鉄有楽町線新富町駅2番出口から徒歩1分

『vin nature a(ヴァンナチュール アー)』

自然派ワインと料理のペアリングを優雅に愉しむ

仲間たちと賑やかに過ごす時間もいいけれど、プライベートな夜はこの店のカウンターが恋しくなる。

店名からお察しのように、ワインの揃えはシャンパーニュも含めすべて自然派のボトルのみ。オーナーソムリエ・高須さんは25年ほど前、日本に輸入が始まったばかりの頃から惚れ込んできた。

奥に鎮座するセラーはいわば彼の宝箱で、味の個性を伝えてくれる真摯な言葉と眼差しに飲み手の気分も盛り上がる。

フロマージュ ド テットのパン粉焼きウッフマヨネーズ 1400円

『vin nature a(ヴァンナチュール アー)』自家製キッシュロレーヌ 1000円 注文からリベイクし、サクッとした生地からチーズの香りがふわりと広がる

加えてフランスのレストランで働いた経験もある高須さんが手作りする料理も上々で、サクサクのパイ生地からチーズがとろりととけ出すキッシュロレーヌはワインの最高のお供。他にも前菜からメインの肉料理まで揃えており、1軒目としての実力も十分だ。

『vin nature a(ヴァンナチュール アー)』

[住所]東京都中央区新富1-10-6 マガザン銀座東II
[電話]03-6228-3293
[営業時間]18時~24時 ※土・日は~23時
[休日]不定休
[交通]地下鉄有楽町線新富町駅5番出口から徒歩3分

【酒場にも良店あり!】

『サ嘉ダチ』

連日満員御礼!とにかく魚が旨い立ち飲み酒場

扉を開ければ、うなぎの寝床のような店内にすし詰めの客、客、客。夜の新富町において人口密度1位は間違いなしにこの店だ。

やって来る理由、それはとびきり旨い魚を味わえるから。なにしろオーナーが毎朝豊洲に足を運んで目利きしているから、その質の高さは折り紙つき。切り口がピンと立った刺身は見た目からも鮮度の良さが伝わってくる。

刺身おまかせ5種盛り 1080円

『サ嘉ダチ』刺身おまかせ5種盛り 1080円 この日はカンパチにヒラメ(エンガワ付き)、アジなど。鮮度も脂のりも抜群だ。日本酒の揃えは定番酒のほかにその時々の銘柄が4~5種と充実

さらに調理を引き受ける店長の畠中さんは前職が名だたる高級ホテルの板前で、煮物や揚げ物、野菜の小鉢なんかの一品料理もきちんと手間ひまかけた丁寧な味。ちょっと一杯のつもりがつい長っ尻になるのもやむなしだ。

しかもお値段は料理も酒も立ち飲みらしい庶民派価格とくれば、そりゃあ誰しも来たくなるはず。

『サ嘉ダチ』

[住所]東京都中央区新富1-3-10 桑原ビル1階
[電話]03-6222-8676
[営業時間]17時~23時(フード22時LO、ドリンク22時半LO)
[休日]日・祝 ※土は不定休
[交通]地下鉄有楽町線新富町駅3番出口から徒歩4分

『焼き鳥 義常(よしつね)』

技が光る焼鳥と充実の一品料理で気軽に一献

ネタケースに並ぶ串に思わず目を奪われた。焼きにムラが出ないよう、整然とサイズを揃えて串打ちされた端正な姿だ。そんな実直な仕込みを日々行なうのが、地元生まれ、地元育ちの店主・高倉さん。開店から今年で14年目と、店にもちょうど脂がのってきた頃合いだ。

焼き鳥コース 1848円

『焼き鳥 義常(よしつね)』焼き鳥コース 1848円 モモ、レバー、つくね、ササミ、ハツ、砂肝、うずらの7本と鶏スープが付く。鶏は基本的にその日の朝に締めた山梨の「健味どり」を使用。甘さを抑えたタレの味もいい塩梅

高倉さんの技が特に光るのは、紀州備長炭による火入れ。近火の高温で朝締めした新鮮な身の水分を閉じ込めるように焼き上げる。熱々をすぐさま頬張れば、口中は濃い旨みの肉汁でいっぱいに。

さらに焼き物以外のつまみも充実しており、定番のとりわさから、串の合間にうれしい野菜の小鉢、酒のアテと気の効いた品揃え。大衆酒場のような気軽な風情の中、じっくり腰を据えて飲みたい1軒だ。

『焼き鳥 義常(よしつね)』

[住所]東京都中央区入船3-3-12
[電話]03-3551-2255
[営業時間]11時半~13時、17時半~23時(フード22時LO、ドリンク22時半LO)、土17時~22時(フード21時LO、ドリンク21時半LO)
[休日]日・祝
[交通]地下鉄有楽町線新富町駅7番出口から徒歩1分

静寂の先に喧騒が待つ 美味をもとめて向かう街

東京在住者や職場がある人にとっても、この町を訪れる機会はそう多くはないだろう。高層マンションやビルが立ち並び、その合間に佇む古びた一軒家。住宅地でもありオフィス街でもあり、どこか下町らしい風情も残す町だ。

地名の由来は、明治維新後に京都の島原遊郭から名を取った“新”島原遊郭が置かれたことに始まる。その後、隣接する大富町の一部が編入され新富という地名が生まれたそう。

西は銀座、南に築地、北の八丁堀と繁華街に囲まれながらも、夜の通りを歩いていると、すれ違う人の姿もまばらで閑散とした印象を受けるかもしれない。

新富町駅から八丁堀方面への路地には飲食店がポツポツ。そこへ吸い寄せられるように入っていく

しかしポツリ、ポツリと点在する飲食店の扉を開けてみれば、どこから集まってきたのか不思議になるほど大勢の客で賑わっていた。そう、新富町は食いしん坊たちがお気に入りの店を目指してわざわざやってくる町なのだ。

撮影/小島昇(ビストロ ル ケイク、ヨーショクヤ リベルマン、マチルダ、a、義常)、鵜澤昭彦(サ嘉ダチ)、取材/菜々山いく子

おとなの週末2024年5月号

※2024年5月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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