旬の桃の美味しさは格別だ。みずみずしくて、すっきり甘くて、噛みしめると口の中で果汁がほとばしる。いつまでも食べていたい。しかし、桃は痛みやすくて保存が効かない果物だ。長い一年の大半を、我々は美味しい桃なしで過ごさねばならない。そんな桃の美味しさを小さなゼリーに封じて、一口で「ちゅるっ」と頂けるお菓子がある。それがこの『ももちゅるる』(参考価格:733円税込)だ。
画像ギャラリー旬の桃の美味しさは格別だ。みずみずしくて、すっきり甘くて、噛みしめると口の中で果汁がほとばしる。いつまでも食べていたい。しかし、桃は痛みやすくて保存が効かない果物だ。長い一年の大半を、我々は美味しい桃なしで過ごさねばならない。そんな桃の美味しさを小さなゼリーに封じて、一口で「ちゅるっ」と頂けるお菓子がある。それがこの『ももちゅるる』(参考価格:733円税込)だ。
山梨県産の桃を使った『ももちゅるる』は、常温保存可能!
山梨県は桃の生産量が日本一の県だ。『ももちゅるる』はその山梨県産の桃を使用した、知る人ぞ知る山梨の銘菓。2019年に『やまなしギフトコンテスト』の最優秀賞に選ばれた製品で、道の駅やデパート、通販サイトなどで手に入る。後述するとおり味も魅力だが、『ももちゅるる』の特長として外せないのは、常温保存が可能という点だ。
バイクのツーリングやクルマのドライブで、ちょっとしたお土産を家族や友達に買って帰ることはままあるが、冷蔵や冷凍が必要なものはなかなか選べない。どうしてもとなればクーラーボックスを使うか、クール宅配便で送るしかない。桃のようにデリケートな青果物となればなおさらだ。
その点、常温で痛むことがない『ももちゅるる』は、圧倒的に扱いが楽だ。食品を扱う常識的な温度ならば、冷やさなくても品質に問題は生じない。賞味期限は製造から90日だ。
桃の果肉をピューレにしてから、果肉の食感に加工!
常温保存可能な秘密は製造工程にある。桃の果肉をそのまま使うのではなくて、いったん桃ピューレにしてから果肉に似せて再加工してあるのだ。コンビニ弁当のゆで玉子が、いったん白身と黄身に分離させてから合体加工されている(ロングエッグと呼ばれる)ことを思い出す。似て非なる形態を経由させることで、均一性と安定性が保証されているのだ。
この『果肉』が中央に仕込まれ、その周りを包むのは杏仁豆腐にも似たゼリーだ。柔らかさが絶妙で、噛まずに舌先でも押しつぶせるし、噛めばゼリーの奥に隠された桃の果肉の食感が楽しめる。甘いシロップとともに「ちゅるっ」とひと口で頬張ることにより、口の中でデザートが完成する。常温のままだと甘みが強調され、冷やすと舌触りや喉越しの快感が増すので、好みの温度に調整したい。
シロップの甘みは強めで、べたついたりはしないが飲み物があったほうがいい。熱い緑茶、それも良すぎるものではなくて、かりがね(茎茶)あたりが合いそうだ。旅の土産話を語るお供に、うってつけのお菓子だといえる。
まるで『罠(?)』のようなパッケージ開封方法!!
ところで、『ももちゅるる』を食べるにあたって注意すべき点がある。開封方法だ。
『ももちゅるる』の小分けパッケージは樹脂の袋を薄い不織布で覆った素材なのだが、正規の開封方法にみえる誘導が4種類もある。しかし、正解はひとつだけ。他の3つのやりかたで開封すると、シロップをこぼさずに「ちゅるっ」と口にする難度が格段に高くなる。
『切り口』と書いてあるし、切り欠きもあるのだが、それらは使ってはいけない。正しい開封位置は『密閉シールの下にあるハサミのマーク』だけだ。つまり袋の首のあたりを横に切らねばならない。おそらく汎用のパッケージを使っている都合なのだろうが、上も下も中央も、他の『切り口』はすべて罠だ。
袋にも『お客様へのお願い』として注意書きがあるのだが、まぁ、『切り口』と書いてあって切り欠きがあったら、何も考えずにそこから開封しますよね。筆者もやらかしました。
やらかしても美味しくいただけるのだが、苦労させられることは間違いない。おそらく汎用的な袋を使っている都合なのだろう。ひとりでやらかすと「キーッ」となるが、ふたり以上で「やらかす」のは話の種になる。ここは笑って『罠』を楽しむほうがいいだろう。そんな意味でも、語らいの場に相応しいお菓子だ。
ただし、一気に強く封を切ると、中のシロップが飛び散ることになりかねない。まさに「中の水滴がこぼれる事がありますので、ご注意下さい」の注意書きどおりだ。そこだけはご注意いただきたい。
文・写真/深澤紳一(ふかさわ しんいち):PCゲーム雑誌から文芸誌、サブカルチャー誌まで幅広い寄稿歴をもつライター。レーシングスクールインストラクターなども務めつつ、飼犬のために日々働く愛犬家。