バブル期に潤沢な資金で開発され、1990年代に発売された国産スポーツが高騰している。1993年発売のトヨタスープラの新車価格は455万円であったが、現在の中古車価格は600~800万円になるという。この高騰の理由はなんだろうか? 当時のスポーツモデルを売る際には、後悔のないようにしたいところだが……。
画像ギャラリーバブル期に潤沢な資金で開発され、1990年代に発売された国産スポーツが高騰している。1993年発売のトヨタスープラの新車価格は455万円であったが、現在の中古車価格は600~800万円になるという。この高騰の理由はなんだろうか? 当時のスポーツモデルを売る際には、後悔のないようにしたいところだが……。
1993年発売なのに800万円!?
常識で考えると、中古車の価格は新車よりも安い。既に使われている古いクルマだから、新車に比べて価格が下がって当然だ。
ところが実際には、新車価格を大幅に上まわる中古車も販売されている。例えば1993年に発売された2代目トヨタスープラ(海外では4代目スープラ)の価格は、直列6気筒3Lターボエンジンを搭載するGZが455万円であった。それが現在の中古車価格は600~800万円が中心だ。中古車価格が新車時の1.3~1.8倍に高まった。
日産スカイラインGT-Rも中古車価格が高い。1995年に発売されたR33型の場合、新車価格は標準グレードが478万5000円、Vスペックは529万円であった。これが今の中古車価格は600~900万円に達している。
さらに1999年に発売されたR34型スカイラインGT-Rは、発売時の新車価格が標準グレードは499万8000円、Vスペックは559万8000円だった。それが今は2500~3000万円と高額だ。中古車価格が新車時の5倍以上で販売されている。
中古車の価格は、需要と供給のバランスに基づいて決まる。つまりスープラやスカイラインGT-Rは、流通台数が少ない割に需要が多いため、中古車価格も高騰した。
映画『ワイルドスピード』の人気で高まる国産車需要
そこに絡むのが海外における国産スポーツカーの高人気だ。1990年代の国産スポーツカーが数多く登場する映画『ワイルドスピード』シリーズが人気を高めた影響もあり、海外でも国産スポーツカーの需要が急増している。
アメリカでは基本的に右ハンドル車は販売できないが、生産されて25年を経過すると、骨董品としての価値が認められて輸入販売が可能になる。これがいわゆる「25年ルール」で、スポーツカーを中心に、古い日本車がアメリカへ輸出されるようになった。
査定額についてはじっくり考えてから売却しよう
前述のR34型スカイラインGT-Rは1999年の発売だから、年式が最も古い車両であれば、2024年には製造後25年を迎える。これから値上がりが見込める中古車とされ、しかもR34型スカイラインGT-Rは新車販売台数も多くなかったから、中古車価格が前述の2500~3000万円に達している。
スープラやスカイラインGT-Rの所有者は、資産価値が高騰して大きなメリットを得られるが、長期間にわたって大切に所有してきたクルマでもある。仮に新車価格を超える査定額が提示されても、それが今まで注いできた愛情に見合うものなのか。売却してから後悔しても遅いので、良く考えて判断したい。
文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。
写真/ トヨタ、日産