2024年9月9日時点のレギュラーガソリン価格は、全国平均が174.5円となり、9週間ぶりの値上げとなった。今後も値上げが予想されているが、ガソリン補助金はどうなっているのだろうか? またガソリン1リッターあたりの税金額も気になるが……。
画像ギャラリー2024年9月9日時点のレギュラーガソリン価格は、全国平均が174.5円となり、9週間ぶりの値上げとなった。今後も値上げが予想されているが、ガソリン補助金はどうなっているのだろうか? またガソリン1リッターあたりの税金額も気になるが……。
税金を使ったガソリン補助金の交付によって価格を抑制
今は税金を使って、石油元売り会社にガソリン補助金(燃料油価格激変緩和補助金)が交付されている。石油価格が上昇して、国内のガソリン/軽油価格も高騰しており、補助金の交付で値上げを抑えることが狙いだ。
補助金は、全国平均ガソリン価格が1リッター当たり170円以上になった時に交付され、170円以下に抑えることを目的とする。2022年に補助金の支給を開始した時は、1リッター当たり5円が交付上限だったが、その後は拡大を続けてピークでは35円に達した。今まで6兆円以上の税金が使われている。
そして2024年9月中旬時点のレギュラーガソリン価格は、全国平均が1リッター当たり174.5円、軽油価格は154.2円だ。レギュラーガソリン価格は、補助金を投入しても、1リッター当たり170円以上の高値が続いている。
今後も燃料の価格が下がる見通しは乏しい。2023年にはレギュラーガソリン価格が1リッター当たり180円を超えた時期もあり、今後も高値が続きそうだ。
問題は補助金の行方で、予算次第だから、交付がいつまで続くか分からない。補助金を終了して燃料価格がさらに高騰すれば、日常的な通勤や買い物、ビジネスが不可能になるユーザーが生じる。
今こそトリガー条項を実施すべき
そこで話題になるのがトリガー条項だ。ガソリン価格が1リッター当たり150円を上まわった時、以前の暫定税率に相当する25.1円を差し引く。ただしトリガー条項には、税収不足を招く批判もあり、2011年の東日本大震災の時に、復興の妨げになるという理由で凍結された。これ以来、凍結が続くが、今の燃料価格を考えると実施すべきだ。
ちなみに新型コロナウイルスの影響で燃料価格が高騰する前の2019年は、レギュラーガソリンの全国平均価格が1リッター当たり147円、軽油は127円程度であった。
今のレギュラーガソリン価格は、前述の通り全国平均が1リッター当たり174.5円だから、約1.2倍に高まった。さらに遡ると2010年頃は130円前後だったから、今はこの時代に比べて所得は高まっていないのに、ガソリン価格は1.3~1.4倍に上昇している。
こういった現状を考えると、燃料の課税を抜本的に見直す必要がある。なぜならレギュラーガソリンの全国平均価格が174.5円に高まった今でも、ガソリンの本体価格は102円に過ぎないからだ。残りの72.5円は、消費税を含めた数々の税金で占められる。
軽油の本体価格はガソリンよりも高いが、税金によって販売価格が逆転
そしてガソリンの小売価格は、軽油に比べて20.3円高いが、本体価格では逆転する。現在の軽油の本体価格は1リッター当たり108円だから、レギュラーガソリンよりも6円ほど高い。つまりガソリンの価格は、税金のために軽油価格を上まわる。
そして燃料に含まれる数種類の税金には、道路建設を目的に徴税を開始した道路特定財源に基づく税目が多い。道路特定財源制度は2007年に廃止されて、既に課税する法的な根拠を失ったが、徴税は今でも続いて一般財源(普通の税金)として幅広い用途に使われている。つまりクルマのユーザーは、不当に多額の税金を負担している。
「クルマのユーザーは裕福だから、多額の税金を負担させる」という大昔の考え方を捨てて、燃料を含めて、クルマ関連の課税を抜本的に見直すべきだ。
文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。
写真/Adobe Stock(アイキャッチ画像:tokyo studio@Adobe Stock)