20年ぶりに復活!ファン垂涎「アードベッグ 17年」を抽選販売 最高蒸留・醸造責任者が東京で語った“伝説のウイスキー”の魅力とは

アードベッグ最高蒸溜・製造責任者のビル・ラムズデン博士(左)と、MHDシングルモルトアンバサダーのロバート(ボブ)・ストックウェルさん

アードベッグは、スコットランド・アイラ島のシングルモルトウイスキーの中でも、熱狂的なファンを持つカルト的な存在として知られている。ピート香が濃厚に漂い、スモーキーで力強い印象ながら、繊細さも併せ持つ。「アードベッグ 10…

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アードベッグは、スコットランド・アイラ島のシングルモルトウイスキーの中でも、熱狂的なファンを持つカルト的な存在として知られている。ピート香が濃厚に漂い、スモーキーで力強い印象ながら、繊細さも併せ持つ。「アードベッグ 10年(テン)」が有名だが、2004年に販売が終了していた「アードベッグ 17年」が20年の時を経て復活した。2024年9月25日正午から27日正午にかけて抽選販売される。アードベギャン(世界中の熱狂的なアードベッグファン)が待ち焦がれていた伝説の逸品。どんな味わいなのか。来日したアードベッグ最高蒸留・製造責任者のビル・ラムズデン博士が語ったその魅力とは―――。(最後に抽選販売受付URLがあります)

1815年に誕生「世界で最もピーティーでスモーキーな究極のアイラ・モルト」

アードベッグは、1815年にスコットランドのアイラ島で生まれた。アードベッグを取り扱う「MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社」(MHD、本社・東京都千代田区神田神保町)の資料には、以下のように説明されている。

「ピートが非常に強くスモーキーでありながら繊細な甘さと高い品質で人を魅了してやまないその風味は、“ピーティーパラドックス”との愛称もある。クセになる個性的な味わいから“アードベギャン”と呼ばれる熱狂的なファンに愛されるカルト的な存在であり、世界130ヶ国18万人のコミッティーメンバーに支持される、世界で最もピーティーでスモーキーな究極のアイラ・モルト」

「アードベッグ 10年」と「アードベッグ 17年」(提供画像)

たしかに、アイラ・モルトの中でも、“クセになる個性的な”シングルモルトだろう。アードベッグには定番ともいうべき「アードベッグ 10年」をはじめ、「アードベッグ コリーヴレッカン」「アードベッグ ウーガダール」などがあり、どれも大好きなウイスキーだ。自宅でも数本を所有しているほか日本国内で目にしたものはこのほかにも味わってきたが、「17年」は飲んだことがなかった。それだけに、今回の“復活”は、個人的にもとてもうれしい知らせだった。

「The Legend Returns」の文字が見える

1997年、操業再開後初めてのリリース

最初の「アードベッグ 17年」が世に出たのは1997年。その前年、実はアードベッグ蒸留所は一旦生産を停止していた。しかし、1997年にグレンモーレンジィ社によって再び稼働し、その操業再開後に初めてリリースされたのが「アードベッグ 17年」だった。

原酒がなくなったため、2004年には多くのファンに惜しまれながら販売を終了。その後も、「復刻できないか」と、復活を望む根強い声が毎年のように寄せられていたという。

復活した「アードベッグ 17年」

アードベッグ 最高蒸留・製造責任者のビル・ラムズデン博士が来日

「アードベッグ 17年」の発売を受けて、アードベッグ最高蒸留・製造責任者のビル・ラムズデン博士が来日。2024年9月11日、東京・渋谷の「THE MUSIC BAR -CAVE SHIBUYA」で開かれた発売記念イベントでは、試飲とともに、復活の背景や製造へのこだわりなどを聞く機会に恵まれた。

会場では、ビル博士が、MHDシングルモルトアンバサダーのロバート(ボブ)・ストックウェルさんとともに、この伝説のウイスキーの魅力をあますことなく語ってくれた。

アードベッグ最高蒸留・製造責任者のビル・ラムズデン博士(左)と、MHDシングルモルトアンバサダーのロバート(ボブ)・ストックウェルさん

ローピート、アードベッグとしては珍しい存在

1997年リリースの「アードベッグ 17年」は、アードベッグとしては、珍しい存在だったという。それは、ピートが強い通常のものよりも、ローピートの大麦麦芽を使っていた点だ。ただ、「爽やかさと微かな薬っぽさ、独特のミネラル感を感じさせる、甘い煙とモルトのうま味が見事に調和した味わい」「非凡な繊細さ、それでいてまぎれもないアードベッグらしさを兼ね備えている」(ニュースリリースより)ことなどが、多くのファンの心を掴み、「カルト的な存在になった」という。

販売終了後から、復活を望む声は多かった。ただ、そんなファンの期待に、製造側は「ノー」と返すしかなかった。再現できる原酒が揃わなかったからだ。ただ、復活への萌芽はあった。

ビル博士が言う。「これほどまでに愛されたウイスキーなので、同じ味わいが再現できるか、自信がありませんでした。実は、ちょうど20年前から、17年と同じようなライトピートの原酒を秘密で仕込んでいたんです。それで2年前にテイスティングをしてみると、これであれば、再現できると自信が持てたんです」

「アードベッグ 17年」

ビル博士が表現する香り、味わい

満を持して再現された新しい「アードベッグ 17年」は、ビル博士自身、どのように評価したのか。

「他のアードベッグと比べてやさしい、クリーミーな舌触り。ピートの香りもやさしい。抑え目な感じ」

「香りはフレッシュ感があります。ちょっとしたスモーキーさ。フルーツのような香りで、自分は檸檬とか、ライムを連想します。潮風も感じます。アードベッグの蒸留所の海のそばで、空気を吸っている感じ。フェンネル(香辛料の一種)や、コリアンダーのような風味です」

「10年がエスプレッソコーヒーの風味があるとしたら、17年はカフェラテのようななめらかさがあります」

「燻製された洋梨、燻製されたバナナのような感じ。そのあとは、オーク樽の風味が出てきます。昔の17年と、比較して、すごく似た感じと確信しています」

「アードベッグ 10年」(左)と「アードベッグ 17年」

アルコール度数は前と同じ「40度」

「アードベッグ 10年」はアルコール度数が46度だが、「アードベッグ 17年」は40度だ。

「40%でのボトリングです。前の17年と同じ40%にしました。アードベギャンなら前の17年と飲み比べる方もいるでしょう。前の17年のボトルが今どれぐらいあるのかという問題はありますが。自分のコレクションは3本あります。以前は、4本ありましたけど、新しい17年を作るために、1本を犠牲にしました」

「40パーセントの17年が頬を撫でられるような印象なら、46%の10年は、ビンタを喰らうような感じでしょうね(笑)」

「10年はヘビーピートの大麦麦芽を使用しています。17年は、その3分の1のレベルです」

新しい17年が、どう思われるのか、ビル博士自身、感想を聞くのを、楽しみにしているとう。

「アードベッグ 17年」

やさしいテクスチャー(舌触り)が魅力

メディアからも多くの質問が寄せられた。主な一問一答は以下の通り。

―――販売終了の17年とテイストは違うのか
「自分が作り上げた17年と何度も飲み比べてきました。微妙ですが、新しいほうが、ちょっとだけスモーキーさは上かなと感じました。復刻された17年は、フルーティーなニュアンスが多くなっているのかな。スモークされた洋梨とかバナナとかライムとか。ちょっとしたニュアンス以外はほぼ同じ、共通点がいっぱいあります」

―――復活にあたり最も苦労された点は
「アードベッグのファンの方々がどれほど昔の17年を愛していたかを分かっていましたから。恐らく、前の17年は自分にとって2番目に好きなアードベッグでした。新しい17年にがっかりされたらどうしようという悩みがありました。ようやく、自分で納得して、これだったら間違いないと思い、リリースすることを決心しました」

―――17年の最大の魅力は?
「いいところはやさしい舌触りです。アイラウイスキーの強烈なピートの香りを、全ての人が好きではないと思います。アイラのウイスキー自体が『ちょっと怖い』という人もいるでしょう。17年は、そういう人たちのために、入門編としてアイラウイスキーを紹介するのにいいのでは」

―――アードベッグのラインナップでどう位置づけられるか
「新しい17年はけっこう高いところにきています。他が普通の(クルマの)セダンなら、2席しかないスポーツカーで、週末だけ走らせる存在かなと思います」

「アードベッグ 10年」(左)と「アードベッグ 17年」

「40度」にしたのは、昔の17年を極力再現したかったから

―――なぜ、アルコール度数を40度にしたのか
「ほとんどのアードベッグがノンチルフィルター、つまり冷却ろ過をしていません。そのためには46%以上にしなければいけない。45.5%以下になると、(液体が)かすみがかった感じになってしまうからです。最初は、冷却ろ過をせずに46%にしようと正直思っていました。社内でも46%にしてくれと言われました。ただ、前の17年は冷却ろ過をしていました。それなのに、46%にしたら比べにくくなる。自分の目的は、昔の17年を極力再現すること。シンプルに言うと同じにしたかったからです。いくつかのアードベッグのファンから不満の声が出るかもしれない。全てのファンを幸せにするのは難しいです(笑)」

―――ストレート以外の飲み方は、何がお勧めか
「お勧めはストレート。ほんのちょっとの加水だったらいいと思います。自分はハイボールの飲み方も大好きです。ただ、新しい17年の場合は、逆にお勧めできません。やっぱり、10年と比べて繊細なので、そのままストレート。もしくは、ちょっとの加水です。17年が入ったグラスに何かを入れるとしたら、17年を継ぎ足すだけになりますね(笑)」

感想を求められたボブさんも「これだけデリケートな感じなので、他のものを入れると、邪魔をしてしまう」と同意していた。

「アードベッグ 10年」のハイボール

―――17年におススメの食べ物は
「10年にはチーズ、とりわけパルミジャーノ・レッジャーノ、もしくはブルーチーズとペアリングするのが好きです。燻製された魚、スモークサーモンとか、スモークされたうなぎです。17年にはシーフードもいいし、どちらかというと海老、ホタテのほうがペアリングしやすいかな。クリーミーなチョコレートムースとか」

「アードベッグ 17年」を手にするアードベッグ最高蒸留・製造責任者のビル・ラムズデン博士(左)と、MHDシングルモルトアンバサダーのロバート(ボブ)・ストックウェルさん

「17年には、17年」

グラスを顔に近づける。やさしい香りが、鼻孔をくすぐる。ライトだが、甘いピートの香りはしっかりと伝わってくる。口に含む。クリーミーな舌触りだ。ビル博士が言うような燻煙されたフルーツのニュアンスも。まさに繊細。ただ、刺激がないわけではない。例えるなら、“微細な泡”がやさしく弾けるようなやわらかな刺激が、舌を覆う。やわらかいけれど、力強い。そんな相反する表現が同居する印象。「アードベッグ 17年」の個性を強く実感する瞬間だ。

2人のやりとりを聞いていて、ツボを押された場面があった。どんな食べ物を合わせたらよいかという質問の時だ。ボブさんの答えが、このウイスキーの本質を捉えている気がした。

「17年に一番ペアリングしやすいのは、もう一杯の17年」。

個人的な好みだが、自宅でお酒をじっくり楽しみたいときは、特に料理を合わせない。お酒だけにする。ウイスキーは特に、何のツマミも用意しない。もったいないという気持ちが強いので、基本はストレートだ。いいお酒には、何も足したくない。でも、あえて合わせるとしたら……。

ボブさんの言葉に深く同意する。「アードベッグ 17年」に合わせるのは、やはり、17年がいい。17年しかない。

文・写真/堀晃和

※以下は、プレスリリースより
【アードベッグ 17年】
■希望小売価格:28,000円(税別)/ 30,800円(税込)
■容量:700ml
■アルコール度数:40度
■熟成樽:バーボン樽
■販売先:アードベッグ コミッティーストア限定発売
■期間:9月25日(水) 正午 ~ 9月27日(金) 正午
■販売URL:https://www.ardbegjp.com/products/ardbeg-17yo

「アードベッグ 17年」(提供画像)

【テイスティングノート】
・色合い:ブロンズ色
・香り:フレッシュでクリーン、松脂、海のしぶき、ラベンダーの石鹸のニュアンス。とても優しく、控えめでエレガント。加水することで、甘いピートの煙、麦芽のほのかな香りと独特のミネラル感、かすかにトーストしたパンの香りが感じられます。
・味わい:美しくクリーミーなテクスチャに続き、アニス風味のトフィー、カフェラテ、フェンネル、かすかに薬用せっけんが見事に調和しています。
・余韻:ピートの煙は存在しますが、非常に控えめで、コシのあるオーク、ココアパウダー、タールの長い余韻へと続きます。

発売記念イベントが開かれた「THE MUSIC BAR -CAVE SHIBUYA」(東京・渋谷)の壁面
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