常連さんの最高齢は95歳!著名な落語家もファン!東京・神楽坂で愛される珠玉の名店3選

神楽坂上の交差点から奥に広がるエリアは“奥神楽坂”とも呼ばれ、小さな商店や古い建物が点在しています。住宅地にもほど近く、地元の暮らしがすぐそこに。路地や坂道を歩いてみれば、その先に新しい発見も。美味の名店を、探検気分で探してみませんか。今回は、奥神楽坂の美味の名店、調査結果の後編です。

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神楽坂上の交差点から奥に広がるエリアは“奥神楽坂”とも呼ばれ、小さな商店や古い建物が点在しています。住宅地にもほど近く、地元の暮らしがすぐそこに。路地や坂道を歩いてみれば、その先に新しい発見も。美味の名店を、探検気分で探してみませんか。今回は、奥神楽坂の美味の名店、調査結果の後編です。

やさしさあふれるおばんざいとワインに心身共に癒される『francobollo(フランコボッロ)6丁目食堂』

一体何の店?目立つ看板もない新しい店を道行く人が覗き込む。かくいう私もそのひとり。思い切って扉を開けたら……

「おばんざいとワインの店なんです」。

女将の西村さん柔らかな笑顔で迎えてくれた。イギリスなど海外生活が長かった彼女は現地をはじめ帰国後も計15年にわたって料理教室を続けていたそうで、縁を紡いで8月末にこの店を開いた。

料理は旬の食材を大切に、毎日丁寧にダシを引き、味噌も自家製。そんな真心が込もった味は派手さはないが細胞に沁みるようなやさしいおいしさだ。ワインにもとても合う。

秋鮭の焼き漬け 900円、季節野菜のピクルス 600円

『francobollo(フランコボッロ)6丁目食堂』(手前)秋鮭の焼き漬け 900円 秋鮭は焼いて醤油味のタレに漬けた滋味深い味。 (奥)季節野菜のピクルス 600円 ピクルスは酸っぱ過ぎない塩梅。ワインはイタリア人の親友が住む北イタリアのピエモンテ州と南のプーリア州のもの。 ※季節や仕入れでメニューは変わる

さて店名の話を少し。イタリア語で「切手」、転じて「繋ぐ」がテーマ。

「人と人、国と国、そして昔ながらの和食を次世代へ繋げていけたら」。

しみじみ、素敵な店の誕生です。

『francobollo(フランコボッロ)6丁目食堂』

[住所]東京都新宿区神楽坂6-21-3 小山ビル1階
[電話]なし
[営業時間]17時半~22時(21時半LO)※土・日・祝は変動あり(詳細はSNSで案内)
[休日]不定休
[交通]地下鉄東西線神楽坂駅1a出口から徒歩2分

著名人もこの店の味の虜 地元で愛される名物店『炭火焼肉・韓国家庭料理 理清蘭(りせいらん)』

奥神楽坂エリアで老舗焼肉といえばここ。七輪の炭火焼肉と韓国家庭料理が評判で、あの有名な野球選手も、注目の落語家もこの店のファンだ。

先代のご主人亡き後は妻の京蘭さんが店を切り盛りし、料理の専門学校にも通ってひたむきに味を守ってきた。同時に自身の味も工夫を重ね、焼肉は肉の切り方まで研究したんだそう。そんな誠実さはどの料理にも反映されている。

例えば石焼ビビンバは定番の具をただ並べるのではなく、その日にある野菜を和ダシで炒めてたっぷり乗せる。チヂミは注文を受けてから粉や卵を配合、カリッとモチモチになるようぎゅっと押さえつけながら丁寧に焼く。

ニラのチヂミ 1045円

『炭火焼肉・韓国家庭料理 理清蘭(りせいらん)』ニラのチヂミ 1045円 チヂミはモチッとした食感。牛すじ煮込みはぷるぷると柔らかいスジ肉がたっぷり。ピリ辛味がヤミツキになる

何というのかなあ、よりおいしく楽しく、お客さんに喜んでもらいたいという愛を感じる。だからきっと、長く愛される店になるのだ。

『炭火焼肉・韓国家庭料理 理清蘭(りせいらん)』

[住所]東京都新宿区神楽坂6-8 大内ビル1階
[電話]03-3267-9389
[営業時間]17時~23時
[休日]月・火
[交通]地下鉄東西線神楽坂駅1a出口から徒歩2分

女将の手料理がすこぶる旨い 知る人ぞ知る老舗『神楽坂 きくずし』

最初にお伝えしておくが寿司屋ではございません。元寿司屋の小料理屋さん。昭和23年の創業からこの地で78年、女将の仙波さんで5代目だ。3代目の父の代、寿司の傍らで出していた母の手料理が好評で次第に今のスタイルになったとか。

品書きには旬の刺身に焼魚、5代目が始めたチリビーンズなど洋の味もあって目移りする。何を食べても真っ当に旨いが、身をよじらせたのが「土佐豆腐」。絹ごしにカツオ節をまぶして揚げたそれは舌で儚く崩れるサクふわ感でもう撃沈。

長崎(活)穴子と季節野菜の天ぷら 1700円

『神楽坂 きくずし』長崎(活)穴子と季節野菜の天ぷら 1700円 活穴子の他、この日の野菜は舞茸やカボチャなど。卵黄のみを使う衣は色もきれい。仕上げは高温でサクッと揚げる

天ぷらだって大きな活穴子が丸々1本、気風のよさにのけぞった。

「味も量も満足感あるように。母の代からそうでした」。

何と常連さんの最高齢は95歳。正しく真面目な商いの大切さを、その歴史とおいしさが教えてくれる。

『神楽坂 きくずし』

[住所]東京都新宿区白銀町1-15
[電話]03-3260-3751
[営業時間]17時半~22時(21時LO)、土:16時~21時(20時LO)
[休日]日・月・土は月1回不定休
[交通]都営地下鉄大江戸線牛込神楽坂駅から徒歩4分・地下鉄東西線神楽坂駅1a出口から徒歩6分など

撮影/西崎進也、取材/肥田木奈々

2024年11月号

※2024年11月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

…つづく「【厳選】商業ビルの和食店《丸の内・日比谷の2軒》 ビブグルマンにも選出された名店も」では、覆面調査隊が、商業ビルの和食店の中でもココ!という東京・丸の内エリアの名店を実食レポートしています。

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