新橋『能登治』 ご主人の七尾信昭さんが6代目、落ち着いた昔ながらの蕎麦屋の佇まいはやはりいい。昔から変えてないという蕎麦ツユはカツオ節に醤油、みりん、砂糖だけを使う。心持ち甘めなのは新橋がかつて花町だった名残りだとか。風…
画像ギャラリー蕎麦屋の営業は、休憩なしで夜は早めに閉まる—。それも今は昔。通し営業が珍しくなりつつある。昼から一杯、遅めの昼食、どんなニーズにもピタッとハマるありがたきお店の中から厳選の店をご紹介します。
中目黒『驀仙坊』
モダンながら落ち着いてゆったりしたレイアウトの中、思い思いに蕎麦や一杯を楽しむ人の姿がいい。店主の馬場さん曰く「町場の蕎麦屋がひとつのテーマ」というわけだが、蕎麦も蕎麦前の料理も心を掴む完成度。
艶やかな手打ちの蕎麦は玄蕎麦挽きぐるみ。青森の在来種階上早生(はしかみわせ)を使い、味も風味も濃い。それでいて丁寧にふるいをかけた仕事でのど越しもよし。枯れ節でとったツユですすれば香りもしっかり満喫できる。
そして、そこに至る前にぜひ楽しみたいのが焼き物や季節の一品などでの蕎麦前だ。見た目から美しい鴨ローストはしっとりと火が入り、西京焼きのエビは殻までバリリと焼かれ、何ともいい匂いをさせている。〆を楽しみにまずは一杯だ。
新橋『能登治』
ご主人の七尾信昭さんが6代目、落ち着いた昔ながらの蕎麦屋の佇まいはやはりいい。昔から変えてないという蕎麦ツユはカツオ節に醤油、みりん、砂糖だけを使う。心持ち甘めなのは新橋がかつて花町だった名残りだとか。風味の飛ばない胴搗(どうづき)という製法で挽かれた北海道産の蕎麦はのど越しのいい二八だ。
通しで営業できるのは「家族でひとつの仕事をしているから」とご主人。何十年来というお客さんも多い中、ちゃんと手の入った仕事がされた料理には温かみがある。
自慢のひとつは、近くの鳥肉問屋から新鮮なまま仕入れる国産の合鴨を使った蕎麦や料理。鴨とじの鴨にはムネ肉もモモ肉も入り、噛み締めるほどにジュワジュワ〜。一緒にすする蕎麦がたまらない。
『おとなの週末』2023年12月号より(※本内容は発売時のものです)
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