散歩がてらに立ち寄った町でふらりと入ってみたいお店の一つにそば屋がある。一見さんでも肩肘張らずにサクッと味わえるのがそば屋のいいところ。そんな「町蕎麦」を3軒紹介。ぜひ食べてほしい一杯を紹介する。
川崎『川崎大師 松月庵』
見た目からもう縁起が良くて思わず拝みたくなる。「大海老天」がどどーん。さすが明治17年創業の老舗が誇る名物、ご立派もご立派。こりゃあ福を呼びそうだ。
70年使う年季の入った砂鉄鍋で職人が1本1本揚げるエビはサックサク、かぶりつけば身が跳ねるように舌の上で踊り出す。何と正月は1日1000本も揚げるのだとか。蕎麦は低速石臼挽きで風味を際立たせた二八。打つ時にしっかり揉むことで心地よいコシを出す。
そしてツユだが、その仕込みは店主が特に大事にする仕事だそう。毎朝、本枯節と宗田鰹を自家削り、丁寧にダシをひいたそれは上質で深い味わい。