旅が面白くなる!「街ナカ」ホテル

金沢の「街ナカ」ホテルのガイドが凄すぎた! しっとりとした加賀の文化、ディープなグルメをしっかり堪能

石川・金沢片町をOMOレンジャーがガイドツアー!

1年の多くを日本のどこかで過ごしているトラベルライター間庭典子。街を歩き、街を学ぶ『街ナカ旅』に目覚め、出張のついでに数日延泊するように。「テンションあがる『街ナカ』ホテル」OMOはそんなときの名サポーター。100%以上活用するためのトリセツをレクチャーする。

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1年の多くを日本のどこかで過ごしているトラベルライター間庭典子。街を歩き、街を学ぶ『街ナカ旅』に目覚め、出張のついでに数日延泊するように。「テンションあがる『街ナカ』ホテル」OMOはそんなときの名サポーター。100%以上活用するためのトリセツをレクチャーする。

「金沢片町」の魅力を再発見、OMOレンジャーが案内するお散歩ツアー

石川県金沢は何度も訪れたことがある観光地だ。北陸新幹線が開通した2015年には、各女性誌で金沢旅のページが企画され、繰り返し取材に行った。

しっとりとして華やかな加賀文化に魅了され、プライベートでも何度も通ったっけ。

なのに!まだ知らぬ金沢の魅力が、街のいたるところにあるとは…まあ、住んでいるわけではないのだもの、当たり前といえば当たり前だ。

そして当然のことながら街は日々進化する。「OMO5金沢片町 by 星野リゾート」のガイドツアーに参加してみて、生きた情報をキャッチアップする大切さに気づいた。

その街に住み、その文化を愛するOMOレンジャーによる案内なので、情報が極めてパーソナルなのだ。しかも宿泊者は無料で参加できるのもうれしい。(予約制先着順)

金沢駅からは離れているが、街の中心地にあるOMO5金沢片町。駅から宿までの手荷物配送サービス(金沢市のサービスのため、金沢駅観光案内所にて受付)を利用すると便利だ
 「金沢片町味わいまっし散歩」では知る人ぞ知る隠れ家的名店にもOMOレンジャーが案内

このツアーは、OMOレンジャーと呼ばれるホテルスタッフがそれぞれグルメ、歴史、お酒など得意分野を自分の足でリサーチし、各施設やお店に交渉し、1時間程度のツアーをナビゲートする。観光ツアーガイドよろしく、小さな旗を振って、はっぴなどキャッチーなユニフォームで先導してくれる。これがおのぼりさんっぽくて、なんだか気分があがるのだ。

街ナカ旅の拠点となる道に面したOMOベース。各ツアーの集合場所はご近所マップ前
散歩前の腹ごしらえは棒茶を煮出して作った寒天に棒茶のシロップをかけた「棒茶あんみつ」

15時にチェックインして部屋で少しくつろいだら、16時にご近所マップのあるラウンジ、OMOベースに集合。「金沢片町味わいまっし散歩」に参加したのは私を含め6人だった。女子旅らしき2人組と60代のご夫婦、ひとり旅のアラフィフ女性だ。

最初はぎこちない6人だったが、長町武家屋敷跡などの歴史的背景を聞いて一緒に歩くうちになんとなく言葉を交わし合うように。このほど良い距離感が心地いい。

長町武家屋敷跡などを散策途中、人気菓子店「茶菓工房たろう」の軒下で、お菓子を試食しながら一休み。ほっと和んで、買いものする時間もあった。

「実はここが近道なんです」「この通りの由来は…」と裏情報やうんちくを盛り込みながらOMOレンジャーが街案内
風情のあるお菓子店が並ぶ長町武家屋敷跡エリア。「茶菓工房たろう」の試食で一息

ガイド自身が街の常連、地元の人がこっそり教えてくれる感覚

飲食店がひしめく金沢片町の名店を歩きながらたどり着いたのは、ディープな飲み屋さんが連なる新天地。「ここのクラフトビール屋さんにはひとりでふらりと立ち寄りやすいですよ」「ここの牛ほほ肉のワイン煮は絶品です!」と臨場感たっぷりのガイドをしてくれる。

その奥には昭和レトロそのままの横丁「金沢中央味食街」が。このあたりはさらに難易度が高そうな、一見では入りにくそうなお店ばかり。思い切って扉を開け、このツアーで紹介されて…と伝えると「○○ちゃん、昨日も呑みに来てたよ!」なんてマスターの声がする。

OMOレンジャー自身が街の常連だからこその、生の情報だったのね、と納得。その地に住む知り合いが美味しいところをこっそり教えてくれるようなグルメツアーだ。

徒歩圏内には昭和11年の老舗店「高砂」など、金沢おでんの人気店も点在
車麩やバイ貝、魚のすり身のふかしなど、金沢おでんならではの具が並ぶ。冬限定の蟹面は絶品!

「金沢片町味わいまっし散歩」のいいところは、もうちょっと散策したいな、ここで一杯飲みたいな、と思ったらいつでも途中離脱してもOKであるところ。一軒目をどこにしようかと迷った時の案内役をOMOレンジャーが買って出るような感覚だ。

ツアーで知った美味しいもの情報を食べ歩きで生かし、リアルで探検!

約1時間のツアーが終わった後、私はおすすめされた「クラフィート(CRAFEAT)」で夕食をとることにした。カウンターに座ると隣がさっきツアーに参加していたご夫婦だったので、目を合わせ、思わず噴き出した。

OMOレンジャーが「ここは金沢ならではのスペシャルな店!」という熱意をもって紹介していたので、胸に響き「ならば、ぜひ行ねば!」とお互いに思ったのだ。

一見カフェバーのような外観の伝統芸能体験レストラン、クラフィート
130万円以上の価値のあるお重で加賀料理をいただけるなんて感激! そして緊張(笑)

「クラフィート」は老舗の「田谷漆器店」による運営で、上質な漆器で、石川県産の食材を生かした加賀料理をいただけるというお店。2階は会員制だが、1階のカウンター席はコースだけではなく、アラカルトでも注文でき、一人でも入りやすかった。モッツァレラチーズと岩のりなどの進化系金沢おでんや、加賀生麩の田楽味噌焼きなどの創作料理に日本酒も進む。

酒器ももちろん優雅な漆器。器がみな芸術的で、なかには130万円で販売されている芸術的なお重、1客50万円の輪島塗の蓋碗も。高価な漆器で実際に料理をいただき、その質感や口当たりを体感してほしいという狙いもあるそう。そのため「伝統工芸体験レストラン」というネーミングを採用したのだとか。締めはのどぐろの焼きおにぎり茶漬け。北陸の旬の味覚を堪能した。

昭和の懐かしい風景の「中央味食街」。気さくな接客で一人客も多いと聞き、飛び込んでみた

夜が更けると、冒険心がむくむく。先ほど案内してもらった「金沢中央味食街」をのぞいてみることにした。

灯りがともると昭和歌謡のカラオケ映像のようなムードある風景に。思い切って扉を開いて、地元の常連と交流する。そこからまた新しいグルメ情報が広がったり、ツウなおすすめメニューを試したり。

そんなひとときも「街ナカ旅」の醍醐味だ。OMOレンジャーから仕入れた片町の食文化のルーツなどの情報が、会話をさらに理解しやすく、深みのあるものにしてくれる。

「あのツアーに参加して、この店を教えてもらいました」の一言は、フリーパスのように新しい扉を開く勇気をくれる。調子に乗った私は、まったく知らないオーセンティックなカクテルバーにも足を踏み入れてみることにした。

これも正解。なんとなく鼻が利くようになってきたような自信が(笑)。井之頭五郎(漫画『孤独のグルメ』の主人公)よろしく、心の中でつぶやきまくり、「孤独のグルメ」を気取って金沢片町を徘徊した。

一人飯、一人酒、万歳!

住人や通しか知らない街の穴場、裏情報をゲット

翌朝は8時45分集合の「金沢21世紀美術館お散歩ツアー」に参加。朝9時前なんて早すぎる!と敬遠するなかれ。これには訳があるのだ。

まず早朝の金沢の街は、空気が凛として心地よい。歴史を学びながら、古都を歩くのが楽しい。片町周辺は金沢の中心地。オフィス街としての顔を持つので、9時ごろになると、街として機能し、現実的な空気が漂ってくる。

兼六園までも徒歩圏内。加賀藩主が代々形づくった庭園の魅力をまとめたオリジナルの冊子も

OMO5金沢片町のいいところはそのロケーション。「金沢21世紀美術館」までも徒歩6分。「兼六園」までも約10分だ。

このツアーでも街の成り立ちや、美術館創立までの背景や裏話を聞きつつ、ぽくぽく歩いているうちに到着。この美術館は展覧会ゾーンと呼ばれる入館料が必要なエリアと、地元の人々も気軽に集える無料の交流ゾーンがある。展覧会ゾーンは10時開館だが、交流ゾーンは朝9時からオープンしているので、貸し切り?と思うほど空いているのだ。

中に進むと、色の折り重なる様子を体感できるカラー・アクティヴィティ・ハウスなど、屋外に展示されている作品をじっくり鑑賞することができる。

また刻一刻と変わる雲の動きも作品の一部となるブルー・プラネット・スカイなども交流スペースに展示。

加賀友禅をモチーフにした壁画やキュートなうさぎ耳のチェアなど、作品と一緒の記念写真も混雑していないこの時間帯ならば、思う存分、時間をとれるのだ。ひとり旅でも絶妙なアングルで、お互い撮影しあえるのがいい。

「金沢21世紀美術館お散歩ツアー」では作品解説とともにいろんな裏話も教えてくれる
ほぼ貸し切り状態の金沢21世紀美術館ではアートな空間での記念撮影も自由
ライブラリーなども洗練されていて、眺めるだけで刺激される美術館内の交流ゾーン

このツアーも途中離脱OK。解散後はそのまま展覧会ゾーンで、アート鑑賞するのもよし、朝の観光を楽しむもよし、部屋に戻ってゆったりするもよし。

この自由さこそ、街ナカ旅の楽しさ。地元に住む信頼できる知人だと思って、OMOレンジャーにいろいろと相談、質問してみよう。

金沢片町愛にあふれるOMOレンジャーがキュートで、ワクワクが詰まった滞在となった

文/間庭典子
まにわ・のりこ。東京都杉並区出身。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)退社後、米ニューヨークを拠点に活動。帰国後はフリーライターとして情報を発信。全国各地の宿、インテリア誌では200軒以上の住宅を取材するなど、旅芸人なみのフットワークを誇る。仕事柄、ラグジュアリー系リゾート体験も豊富だが、「青春18きっぷ」を使って旅する“18きっぱー”でもあり、JRのほぼ全路線制覇。地の酒、肴を味わえる居酒屋や市場めし、ひなびた湯治場を巡るのも大好き。

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