港町・神戸の冬を彩る恒例イベントとして毎年人気の「神戸クリスマスマーケット2025 -古城のクリスマス-」が2025年も12月25日まで、『神戸布引ハーブ園/ロープウェイ』で開催中だ。標高約400mの『展望プラザ』を舞台に繰り広げられるクリスマスマーケットは、神戸の海景色と街並みを一望できる絶好のロケーションも魅力のひとつ。街中にサンタクロースがあふれる『神戸北野異人館街』から出発し、クリスマスマーケットを楽しむコースをご案内したい。
愛らしいサンタクロースが街のあちこちに登場
神戸に到着したら、まず足を運ぶべきは、外国人の居住地として発展した高台の街『神戸北野異人館街』だ。街歩きで注目は、12月25日まで北野通りを中心に開催中の展示「あっちにサンタ こっちにサンタ」。右にも左にもサンタクロースの人形やオブジェが点在するユニークな風景は、まさにここでしか味わえないもの。
さまざまな場所に突如現れるサンタたちは、どこか愛らしく、憎めない表情で思わず写真を撮影したくなること間違いなしだ。
『神戸北野異人館』のそもそもの始まりは、1867(慶応3)年の神戸港開港時に外国人居留地が設置され、英国人土木技師のジョン・ウィリアム・ハートが基本的な都市計画を作成し、西洋商館の建築がスタートしたことがきっかけ。1873(明治6)年に126区画に整然と整備されたことで、ヨーロッパの小都市を思わせる街が誕生。居留者の増加に伴って、政府は内外人の共生する雑居地を認めた。そして、1887(明治20)年には経済的に安定した外国人は見晴らしのよい山手に移り住むようになったそうだ。
クリスマス仕様に飾られた洋館
北野町に現存する異人館は、明治中期から大正期までに建築された建物だ。当時は200棟近くあったが、神戸大空襲や阪神淡路大震災、老朽化などによって姿を消し、現在は20棟のみが残る。
そんな建築が今の時期限定でクリスマスの装飾で彩られているので、ぜひこの機会に足を運んでみてほしい。個人的におすすめは、英国人建築家の設計によるコロニアル様式(その土地と母国の建築様式をとり入れたスタイル)の洋館『英国館』だ。
1909(明治42)年に建てられた館内には、アーツ&クラフツ運動(19世紀後半の英国でおこった芸術運動)の提唱者で、モダンデザインの父と呼ばれる英国のアーティスト、ウィリアム・モリス(1834~96年)のファブリック(布地)、英国らしいクリスマスのオーナメント(装飾品)やテーブルデコレーションが施されている。17世紀バロックから19世紀ビクトリア時代の家具や調度品の美しさに、思わず息を呑む。
2階には世界で最も有名な英国人かもしれない「シャーロック・ホームズ」の部屋が再現されている。ホームズとその関連作品を愛好する人々が集まる日本最大規模の親睦団体『シャーロック・ホームズクラブ』の協力を経て、ホームズの部屋をできるだけ忠実に再現しているそうだ。
さらに、シャーロック・ホームズのトレードマークとも言える、インヴィネスケープ(マント)やディアストーカー(鹿撃ち帽)を着用して館内を巡ることもできる。















