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「都市伝説化」を信用せず、情報は更新しましょう

ひと晩のうちに、すやすや眠る「ノンレム睡眠」と、夢を見る睡眠である「レム睡眠」が交互に現れることをご存知の読者も多いことでしょう。

ラピッド・アイ・ムーブメント睡眠(目玉が速く動く睡眠)の頭文字REMと、それがないという意味の「ノン」がついてできた言葉です。人は入眠するとドーンと深いノンレム睡眠となって、グラフはジグザグと浮かんだり沈んだりしながらも、睡眠前半戦はノンレムが多い。後半戦(朝方)はレム睡眠が増えてきてノンレムは浅くなる。これが人体。

最初の深い眠りのときに成長ホルモンが出ることも知られていて「寝る子は育つ」の諺の由来もそこだし、骨、筋肉や皮膚の修復&メンテが行われ、記憶の整理も行われます。

ただし、最新理論では「かつてよくいわれた、最初のノンレムの間に成長ホルモンがドバドバ出る『ゴールデンタイム』は都市伝説で、ひと晩の睡眠すべてが大切です」と教授は言います。

「睡眠は、深い睡眠だけじゃダメ。回復できない。浅い睡眠も含めて、全部大事だとわかってきました。それと、90分サイクルで刻むのがいいというのも都市伝説です。睡眠リズムは1時間や2時間は平気で揺らぎます。1時間半の倍数で寝起きしても意味はないです。残念ながら」。

浅い睡眠とされてきたレム睡眠の最新研究の注目点は、「そんなに浅くない。かなり深いです。この状態のときに骨格筋の力が全部抜けるんです。そういう意味では筋肉はレム睡眠中にいちばん休んでいるとも言えます」

睡眠は質よりも量が大切です。とにかく睡眠を

ところで、レム睡眠時は夢を見ることが知られてますが、夢を見ちゃうとぐっすり眠れてないってことでしょうか。

「違います。レム睡眠時は、呼吸筋と眼筋を除く全身の骨格筋が脱力します。目がキョロキョロ動くのは夢の情景に応じているからとされています。そして、夢は8割がネガティブな夢(悪夢)です。その値打ちは、現実に起こりうるやばいシチュエーションの予行演習で、それによってストレス耐性がつくと考えられています」。

ネガティブな夢はポジティブだった。これも奥が深い言葉ですね。

「夢を見るのはぐっすり眠れてないのではなくて、十分にレム睡眠が取れている証拠です。いいことかもしれない。レム睡眠が5%減るごとに死亡率が13%上昇する研究結果もあります」

ともかく、いい睡眠なくして健康なし、というメッセージは強く伝わってきました。

「睡眠は未病の一丁目一番地なんです。全ての健康要素の最上流にあるのが睡眠です。0次予防です。社会の制約もいろいろあり、起床時間を遅らせることは難しいでしょうけれど、ぜひとも質よりも睡眠量の確保を意識していただきたいです。みなさん、眠らなさすぎです!」

まだまだ睡眠について教えてください!

Q.深睡眠が長く続けばよい眠りと言えますか

A.睡眠負債が溜まっていて脳が悲鳴をあげ、深睡眠(ノンレム睡眠N3)が増えているのかもしれません。また、鮮明な夢を見つつ全身の脱力が起こるレム睡眠も重要なのです。

Q.夜たっぷり眠れないと昼寝をしていいですか

A.大人は長い昼寝を取らないほうがいいと思います。昼に寝ると、夜眠れなくなりますから。パワーナップ(短い仮眠)は、あくまでも夜の睡眠時間が確保できない時の緊急避難です。一般的に昼の方が入眠に時間がかかります。すぐに眠れる人は、それだけ昼間の睡眠プレッシャーが溜まっているわけで、寝つきのよさは自慢になりません。またパワーナップは20分くらいを目処に。それ以上だと深い眠りに落ちるので、目覚めが悪く、しばらくボーッとしてしまうことも。昼寝前にコーヒーを一杯飲むのは有効な手段で、効いてくるころに目が覚めます。

Q.柳沢先生は日頃、どれくらい眠っていますか

A.睡眠コアタイムと定めているのは0時から7時で、ショートでもロングでもないですね。私の密着番組を作った若いテレビディレクターが、寝る間を惜しんで朝4時まで編集作業をしていましたが、私と時間を過ごして8時間眠るようになったところ、編集作業が半分の時間できるようになったそうです。社会生活上、起床時間はなかなか自由になりませんから、みなさまが入眠時間を早くできることを期待します。

Q.ベッドでのスマホは厳禁なのでしょうか?

A.光は睡眠の大敵なので、入眠に向かって部屋全体を暗くしていく必要がありますが、スマホは、ナイトシフト(夜モード=ブルーライトをカットして画面が黄色めになるモード)を使えば問題ないです。とはいえ、ゲームやSNSなど双方向のもの、ショート動画のような交感神経を刺激するものは絶対NG。かくいう私も、つまらない論文のPDFを読むと最初のパラグラフで眠くなるので(笑)、入眠時にスマホを使っています。

睡眠学者:柳沢正史教授

睡眠学者:柳沢正史教授

柳沢正史(やなぎさわ・まさし)/1960年、東京生まれ。医学博士。筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(略称IIIS)機構長。株式会社S’UIMIN取締役会長。

1998年に、覚醒を司る脳内物質「オレキシン」を発見。睡眠/覚醒の仕組みや突発的に入眠する睡眠障害ナルコレプシーの解明に貢献する。TV、YouTubeの出演も多いほか、『今さら聞けない睡眠の超基本』(朝日新聞社)を監修・出版するなど、より良い睡眠への社会発信を続ける。

中国の詩人・孟浩然(もうこうねん)

中国の詩人・孟浩然(もうこうねん)

689年~740年。唐時代を代表する詩人。襄州に生まれ各地を放浪しつつ、李白、王維といった詩人たちとも交流を深めた。日本では”春眠暁を覚えず”で始まる五言絶句の「春暁」が有名だ。

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【Column】脳波を測定、解析し睡眠を計測してみよう!
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『おとなの週末』編集部
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