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鉄道いっぱいの町、豊橋でカレーうどん&ブラックサンダー/1978年~2020年

はじめて愛知県の豊橋に降り立ったのは1978年のこと。 撮影の目的は飯田線です。 このころの飯田線は魅力的で、国鉄各線で使われていた、当時でも古い車両がまだ走り続けていました。

1978年の豊橋駅。懐かしい電車が並ぶ(1978年撮影)

東京駅を23:28に出発する、大垣駅行きの夜行普通列車に乗りました。 豊橋駅に到着したのは朝4:43です。 この列車はけっこう人気で込み合っていたうえに、乗り過ごしも怖くて、寝ずに豊橋駅に到着。 そのまま撮影開始……。 まあ、元気でしたね。 このときの飯田線は使いやすい周遊券がなかったため、ちょっと面白い切符で行きました。 東京都区内から東海道本線、豊橋駅から飯田線、辰野駅から中央本線で国立駅までという、一筆書きでぐるっと廻る切符です。 目的地まで往復で購入するのよりも、距離が長くなるほど安くなるシステムを使って、だいぶ安く行くことができました。

ぐるっと廻る、 一筆書きの切符(1978年購入)

さて、このころは魅力的な車両が走る飯田線のことで頭がいっぱいで、豊橋駅付近の鉄道の魅力に気づきませんでした。 というのも、豊橋駅は地方の駅にしては比較的接続する路線が多いのが特徴です。 東海道新幹線、東海道本線、飯田線、名古屋鉄道(以下名鉄)、豊橋鉄道、それに豊橋鉄道市内線まであります。

豊橋駅ではたくさんの路線を 見ることができる(2011年撮影)

ちょっと面白いのが飯田線と名鉄の関係です。 実は、豊橋駅からしばらくの区間で同じ線路を走るんです。 JRから私鉄への乗り入れで両方走ることはあるのですが、共用の路線というのはかなり珍しいパターン。

豊橋駅近くを走る飯田線の車両(2020年撮影)

同じ線路を名鉄特急が走る(2020年撮影)

豊橋駅から渥美半島方向へは豊橋鉄道渥美線が走っています。 以前は元名鉄の車両が走っていたこともあるのですが、現在では東急から移籍してきた車両に変わっています。 10編成ある車両は、それぞれ花の名前が付けられ、個別に塗装。 「カラフルトレイン」という名前も付けられました。

豊橋鉄道のカラフルトレイン。写真はバラ号(2020年撮影)

もうひとつは路面電車で、豊橋鉄道東田本線で市内線とも呼ばれています。 きれいになった豊橋駅前から、赤岩口と運動公園前の2つの終点に向かって走ります。

豊橋駅前から出発する 路面電車(2011年撮影)

豊橋駅前を行く(2020年撮影)

路面電車が豊橋の町の風景に溶け込んでいる(2020年撮影)

豊橋の食べ物として、知る人ぞ知るご当地メニューが「豊橋カレーうどん」!

そんな豊橋で、気になる食べ物があります。 それが、豊橋カレーうどん。 何年か前に飯田線の取材で豊橋を訪れたときにスタッフの方々と食べに行ったのですが、これがおいしくて気に入りました。 ただ、何気なく夕食のつもりで行ったもので、まったく写真も撮っていませんでした。 今回の、豊橋での昼食。 もちろんこのお店に向かいました。

豊橋駅に近い 玉川うどん店(2020年撮影)

座ってすぐにカレーうどんを注文。 待っている間にメニューに載っている豊橋カレーうどんの説明を見ます。 2010年に作られて、豊橋市内18店舗で食べられるそうです。 条件としては、 ① 自家製麺を使用する ② 器の底から、ご飯・とろろ・カレーうどんの順に入れる ③ 豊橋産ウズラ卵を使用する ④ 福神漬又は壺漬を添える ⑤ 愛情をもって作る  ……だそうです。 そうです。 問題は②。 カレーうどんなのに、ごはん、とろろが出てきます。   そして出てきた豊橋カレーうどん、一見するとおいしそうな普通のカレーうどんです。

豊橋カレーうどん登場(2020年撮影)

おすすめの食べ方もメニューに書いてありました。 ① 普通にカレーうどんを食べる。 スパイシーですが辛すぎず、良い具合に和の味わいがおいしいです。 必須のウズラ卵も良く合います。 食べているうちに、底にあるとろろと混ざっていくところもたまりません。

まず、カレーうどんとして食べる。

② 器の底のごはんと、とろろで食べる。 このご飯ですが、器に張り付けるように盛ってあるので、うどんを食べている間には出てきません。 ご飯をはがすようにカレースープと混ぜると、おいしさ爆発です。

器の底のごはんを食べる(2020年撮影)

③ 付け合わせの漬物といっしょに食べる 今回は壺漬です。 とろろの甘みに壺漬のしょっぱさ、それにコリコリとした食感で、後味ばっちり! 「ごちそうさま!」という気にさせてくれます。

シメは壺漬を乗せて(2020年撮影)

いやいや満足です。

昼食後にはブラックサンダーのラッピングがされた路面電車を発見!

昼食を終えて駅に戻ろうとすると、見慣れない路面電車が走ってきます。 ブラックサンダー号。 少し前まで古いタイプの広告車として走っていたのですが、最近になって、新しい車両に代替わりしました。 この塗装の車両とは、初めてのご対面です。 新しい塗装を見てみると「ANNIVERSARY 25th」(2019年にできた塗装です)の文字があります。 25周年!  すごいと思った反面、もっと昔から普通にあったような気がするほどなじんでいるお菓子です。 このブラックサンダーは豊橋が発祥で、駄菓子から始まって、今ではどこのスーパーでもコンビニでも見かけるという大出世をしました。 (※ブラックサンダーのメーカー、ユーラクのホームページに、ブラックサンダーの歴史[https://blackthunder.jp/history/]というページがあるのですが、かなり面白いです。ぜひご一読を!)

豊橋駅に停車するブラックサンダー号(2020年撮影)

ブラックサンダー25周年の ペイント(2020年撮影)

豊橋駅に戻ると、やっぱり土産物売り場にはブラックサンダーがいっぱいです。 それも、路面電車型のパッケージまで新型車両仕様になっていました。 当然購入です。

路面電車型パッケージの ブラックサンダー(2020年撮影)

きっちり「豊橋銘菓」の 文字もある(2020年撮影)

当然、安定のおいしさ! (2020年撮影)

駅の土産物コーナーでブラックサンダーを見ていると、隣にいたお姉さんがカゴをもって恐ろしい勢いであるお菓子を放り込んでいきます。 嬉々として買ってゆく姿につられて、私もひとつ購入です。 これが「ブラックサンダーもっちりあん巻き」です。

ブラックサンダー もっちりあん巻き(2020年撮影)

あん巻きは三河地方のお菓子で、いろいろな種類の餡子を生地で巻いたお菓子です。 豊橋で「もっちろあん巻き」を出している和菓子店のお亀堂と、ブラックサンダーのユーラクがコラボしたお菓子です。 外観はきっちり和菓子です。 ただ、焼き印が稲妻なところがいいですね。 食べてみると、その名の通りもっちりとした生地に少しやわらかめのブラックサンダーが入っています。 苦みとザクザクした食感、まぎれもなくブラックサンダーです。 たしかにこれはおいしい。 お土産として誰かに一度渡したら、リクエストされそうです。 次に見かけたら、私も嬉々として買ってしまいそうです。

ブラックサンダーもっちりあん巻き。 外観はきっちり和菓子(2020年撮影)

ザクザク感は、まぎれもなく ブラックサンダー(2020年撮影)

新幹線に乗っていると、つい忘れがちな豊橋(ごめんなさい!!) 鉄道的にも、おいしいモノ的にも、素晴らしい町でした。

佐々倉実(ささくら みのる)  鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”、初めて鉄道写真を撮ったのが小学生のころ、なんやかんやで約50年経ってしまいました。鉄道カメラマンなのに撮影の8割はクルマで移動、列車に乗ってしまうと、走るシーンを撮影しにくいので、いたしかたありません。そんなワケで年間のかなりの期間をクルマで生活しています。趣味は料理と酒! ヨメには申し訳ないのですが、日々食べたいものを作っています。  鉄道旅と食の話、最新の話題から昔の話まで、いろいろとお付き合いください。  ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。なにとぞご容赦ください。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

この記事のライター

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