神楽坂で人気の手焼きせんべい屋さんが設置
神楽坂は地蔵坂に突如として現れるせんべいの自動販売機。立て看板の横には「はじめまして。神楽坂地蔵屋と申します。」と書かれた紙が貼られている。
地蔵屋といえば、弊誌でも紹介したことがある手焼きせんべいのお店。
せんべい好きの親子が添加物不使用の手焼きせんべいを食べたいと、2010年に神楽坂で開店。素朴で安心安全、昔ながらの美味しい手焼きせんべいを真摯に作り続けた結果、地蔵坂にある本店に加え、神楽坂通りにも店舗を構えるほど多くの支持を集めている。
ほかの自販機にはない思いやりあふれるサービス
せんべいはすべて国産のお米を使い、「薄焼き」はひとめぼれ、「やや堅焼」はあきたこまち、「堅焼」「生醤油」ほかはコシヒカリなど、焼き方で変えるという徹底ぶり。
焼く際の炭は紀州備長炭で、一枚一枚丁寧に焼いている。素材・製法にこだわったせんべいが、自動販売機で売られているのです。
自販機の中を見ると、せんべいだけでもバリエーションが豊富。さらに、コッペパンや和菓子も入っていて、見ているだけでも楽しい。これまで見てきた自販機の中でも屈指のバラエティに富んだラインナップになっている。
下段を見ると、箱に入った大きめの商品が見える。「うすば焼」と書かれた商品は、58枚入り、39枚入りとある。ちなみに、うすば焼とは、薄焼きのせんべいのことである。
よく見ると、「自販機横の手提げ(小)をお使いください」の文字。このまま手土産として持っていけるようになっている。これはいい!! 急な手土産が必要なときの頼もしい存在だ。
自販機の脇を見ると、確かに紙袋がかけられていた。この妙案こそが、地蔵屋が自販機を設置した最大の理由なのだった。
「会社員時代に、急な手土産の用意を頼まれることが多々ありました。でも遅い時間や朝は、百貨店や専門店が開いていませんし、コンビニに行っても手土産向きのものはありません。
いつか自販機で24時間買える手土産をずっとやりたかったのですが、なかなかきっかけがありませんでした。それが今回のコロナ禍で、非対面・非接触が叫ばれ自販機が注目されることになったので、今こそやってみるときかも?と思い始めました」
と、店長の半谷さん。
念願の設置は、2020年9月28日。オリジナルの要素があるため、なかなか最初は設定がうまくいかず、運用できるになるまでに数日かかったそう。
こちらの自販機は、よくお菓子を売っている筐体がベース。現金対応がほとんどの中、こちらはなんと電子マネーに対応。なにげにこれはすごい!!
しかも、自販機なのに領収書発行にも対応してくれるのです。携帯で撮った写真を撮って、メールで日付・宛名を送れば、添付で領収書を返信してくれます。何から何まで素晴らしい。
ということで、自販機内ではスタンダードそうな「神楽坂煎餅」を買いつつ、変わり種もポチポチっと購入。
噛むごとに感じるお米の甘みと醤油の風味
購入後、編集部へ戻って実食。
まずは、せんべい。堅焼きは噛むごとに、醤油の風味やお米の味がしっかり感じられて美味しい。
その理由は、天日干しをしているから。日の光を浴びることでお米の旨みや甘みが増すのだそう。
続いて、変わり種のひとつ「どらやきのかわ」。
これは、その名の通り、どらやきのあんこなし。そのまま食べたので、ほんのり甘いという単調な感想に。あんこを買って挟むといいでしょう。
もうひとつは、コッペパン。
せんべい屋さんがなぜコッペパン? と思うだろう。実は地蔵屋、神楽坂通り店に併設するコッペパンと食パンの専門店『神楽坂地蔵屋 パン部』を2020年12月に開店している。
購入した「あんこバター」は、素朴な味。小ぶりで食べやすい。朝食はもちろん、小腹が空いたときのおやつにもいい。
多彩なラインナップの自販機だが、半谷さんは今後の展開についてこう語る。
「温度管理がばっちりできる自販機なので、廃棄で悩むフルーツ農家さんのフルーツの販売にもチャレンジしたいと思っています」。
袋サービスや領収書対応といい、やさしさにあふれている地蔵屋さんの自販機。利用して食べるだけで心が温かくなれます。一度ご体験あれ。
[住所]東京都新宿区袋町11-5
[電話番号]03-3235-0211
[交通]都営大江戸線牛込神楽坂駅A2、A3出口から徒歩3分
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