銭湯のでかい湯舟に浸かってのびのびと疲れをいやし、湯上りには、ふらりと立ち寄ったお店で冷たいビールで一杯。そんな極楽時間をすごしたい方必見の「銭湯」と「ちょい飲み」をセットにしたスペシャル版を、おとなの週末調査隊が厳選。
新大久保からはじまったこの企画。西尾久、西小山に引きつづき、残暑厳しい今こそ、癒されてください!
沼袋で創業73年「ご自由にどうぞ」
『一の湯』に入るたび、「やさしい銭湯だなぁ」と思う。
シャンプー、ボディソープはもちろん、子ども用のおもちゃもある。女湯には無料の化粧水やクリーム、そして脱衣所のハンガーにかかった洋服には、「ご自由にどうぞ」。なんと、風呂上り、もし無性に着替えたくなったらもらってよいのだ。
なぜこんなにやさしいのか。「家のお風呂のように入ってほしいから」。女将の西川祥惠さんに伺うと、こんなひと言が返って来た。「うちは駅から近いし、仕事帰りに本当に手ぶらで寄れる銭湯にしたいんです。だからフェイスタオルも2枚まで無料にしてるの」。
帰り道に、ぶらりと寄れる銭湯で一日の疲れを取って――。そうか、『一の湯』のやさしさは、そんな女将さんの母心にあったのだ。湯は井戸水を軟水化しているので、シャンプーや石鹸の泡立ちもよく、髪や肌もしっとりする。創業は1950年。70年以上地元の人たちが浸かってきた。銭湯前の通りに「一の湯商店街」と名がつくほど沼袋の街に溶け込んでいる。
旨みたっぷりのやきとんで一杯!
ぽかぽかが冷めないうち、目指すのは焼とんの人気店『たつや』だ。ハートランドの生ビールで「てっぽう」をひと口。ビールはあっという間に消え、「フローズンキンミヤ、ホッピーとセットで!」。
鮮度のよいモツを、店主藤井龍成さんが最高においしく焼き上げる。独自に調合した「味噌」はクセになる味。「乗り鉄」の藤井さんが、旅先で仕入れた特産品がメニューに登場するのも楽しみ
酒好き、銭湯好きが集うバー
沼袋から去りがたく、もう1軒。『BarCafe チロル』はこじんまりとしたかわいらしいバーだ。「『チロルチョコみたいに小さいけど、親しまれる店にしたかった」と店主の櫻井恭子さん。
窓が大きく開放的な雰囲気のバー。開けた窓からは気持ちのよい風が入って来る。リキュール「ピプノティック」のカクテルは、爽やかな青が初夏にぴったり。
わずか7席、自然と客同士の会話もはずむ。「僕も『一の湯』入ってきましたよ」「昔はもう一軒『清水湯』もあってね」。銭湯愛を語り合い、沼袋の夜は更けていく。
■『一の湯』
[住所]東京都中野区沼袋1-39-10
[電話]03-3386-2836
[営業時間]16時~翌2時(女湯は翌1時半)
[休日]水
[交通]西武新宿線沼袋駅北口から徒歩1分
■『たつや』
[住所]東京都中野区沼袋3-27-6
[電話]03-5942-9986
[営業時間]18時頃~23時(22時半LO)
[休日]不定休
[交通]西武新宿線沼袋駅北口から徒歩2分
■『BarCafe チロル』
[住所]東京都中野区沼袋1-45-6
[電話]03-3388-7698
[営業時間]19時~翌1時
[休日]不定休
[交通]西武新宿線沼袋駅南口から徒歩3分
『おとなの週末』2023年6月号より(本記事は発売時のものです)
…つづく『京成線で『せんべろ』の新名店を発見…!立石につづく「隠れ家」3店を覆面大調査!』では、覆面調査隊がみつけた、絶品のお店を紹介してします。