丸山製麺の『らーめん缶』(税込648円)は、同社が展開する冷凍ラーメンブランド『ヌードルツアーズ』の新作として発売された缶入りラーメンだ。3年間常温保存可能なアルミ缶に収められたラーメンは、業界初の小麦麺を用いた本格的な味が謳われている。その実力を実食でレポートしよう。
業界初の小麦麺を使用した本格ラーメンが携帯食に!
缶入りラーメンは過去にも存在するが、密封された缶の中でスープに浸りつづける麺は、コンニャクを用いて製造するのが常識だった。丸山製麺の『らーめん缶』(税込648円)は、業界初の小麦麺を使用することで、通常のラーメンに近い食感を実現している。
ラーメンを缶入りにするメリットは、扱いやすさと保存のしやすさだ。らーめん缶は倉庫に積み上げて保管することもできるし、段ボールの箱ごとパレットに乗せてフォークリフトで運ぶこともできる。飲料品の自動販売機で販売することもできる。そのまま3年間が経過しても、開封すれば即、食べられる状態が保持されている。
温めたほうが美味いが、常温のままでも食べられるように味が調整されているので、非常食に使える。味気ない食事ばかりになりがちな緊急避難時に、日常を思い出させるラーメンの味に触れることができれば、どれだけ安心できることだろうか。
となると、やはり気になるのは実際の味だ。早速、実食してみることにしよう。
小麦麺の食感は、コンニャク麺とは段違いに良い!
『らーめん缶』はアルミ缶入りなので、そのまま電子レンジにかけることはできない。鍋とコンロでじっくり湯煎して温めてから、プルトップを引いてパカンと開封した。扱いやすさはツナ缶と変わらない。
開封すると出汁の匂いが立ち上る。このあたりは、おでん缶を思い出させる。ヤケドしないようにタオル越しに掴んだ缶の感触も、まさにおでん缶だ。
箸でつまんで持ち上げた麺は極太。中華そばというよりも、中華うどんといった風情だ。コンニャク麺のような、プルプルと不自然な弾力ではない。つまんで持ち上げると、ぶつぶつと切れる気配はなく、しなやかに箸の下に垂れ下がる。
口に運ぶと、強い出汁をまとった麺がしっかりとした食感を伝えてくる。とはいえ、さすがに喉越しが楽しめるほどのコシの強さはない。極太の角麺は、このあたりの弱点を補うために必要な選択なのだろう。
普通のラーメンの麺に遜色ないと言ったら言いすぎだが、麺類を食べる楽しみは充分に感じられる。予想以上に良い食感だ。試作段階で相当、手間と時間がかけられたのではないだろうか。
原材料表示を見ると、『めん(植物性たん白、小麦粉、食塩)』と記載されている。普通なら、スープに浸かり続けた麺が伸びきってしまうところを、植物性たん白と小麦粉の配合比率で克服しているのかもしれない。
不躾と承知で丸山製麺に問い合わせてみたが、良好な食感を保つ秘訣は企業秘密とのこと。1958年の創業からの、蓄積されたノウハウがいろいろとありそうだ。