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酒の造り手だって、そりゃ酒を飲む。誰よりもその酒のことを知り、我が子のように愛する醸造のプロ「杜氏」は、一体どのように呑んでいるのか?今回は京都・伏見にある『山本本家』を訪ねた。女酒と呼ばれる京都は、伏見の酒を醸す蔵人たちは、旨みがのった超辛口の酒を焼鳥をアテに楽しむ。杜氏・中田勇一郎さんの食の偏愛話に花が咲く。

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バイオ系の専門学校を卒業後、山本本家に入社。2021年に杜氏に就任

【中田勇一郎氏】

中田勇一郎氏

1974年、京都府生まれ。酒類の卸売に携わる父と実家が酒販店の母のもとで育つ。バイオ系の専門学校を卒業後、山本本家に入社。福井から長年来ていた越前糠杜氏に師事する。2021年、杜氏に就任。

ビールで始まり、じっくり日本酒へ

「帰宅後、夕飯ができるまでにビール、2本目はトマトジュースを混ぜてレッドアイ、チューハイを1〜2本。食事が始まったら日本酒に切り替えてゆったりと酌む。食後もテレビを観ながら日本酒を傾けるのが好きですね」と杜氏は言った。

「神聖」を醸す山本本家の杜氏・中田勇一郎さんだ。9月中旬から2月中旬までの造りの期間は、月の半分は蔵に泊まり込んで作業に当たる。宿舎の座敷に蔵人が集まって飲むこともしばしば。

自宅での手酌とはまたひと味違った会話が弾む旨し酒

つまみの定番は、歩いてすぐの蔵直営『鳥せい本店』のケータリング。米の旨みを前面に出しキレよく仕上げた食中酒「名もなき酒」が、焼鳥によく合う。

『鳥せい本店』のケータリング 『鳥せい本店』の焼鳥は定番おつまみ。なかでも中田さんの好物は皮と砂ずり。山椒味の酒粕あられ、聖護院八ツ橋のワサビ味も欠かせない

「売店で見つけたあられも、めっちゃ相性いい。もう止まらへん」と中田さんが出したのは、山本本家の酒粕を生地にたっぷり練り込み、山椒風味を強めに効かせて焼き上げたあられ。パンチのあるあられの後、「名もなき酒」の味はぐっとふくよかになり、もう一枚あられを、もうひと口酒を、と無限ループに入り込む。

「辛いだけではない旨辛に仕上げるために最も神経を使う酒」という超辛口の神聖のアテには、やはり売店で見つけた固焼き八ツ橋のワサビ味。上品な甘さとピリリとしたワサビの風味を、超辛口の酒がふわっと引き立たせ、そしてさっと切る。見事な競演だ。

中田さんのお気に入りの晩酌酒は、この超辛口の神聖。甘めのダシと組み合わせを好む。この季節はおでんに目がないと話す。

「おでんに玉子は必須。まず玉子を半分に割ってひっくり返してツユに浸す。黄身にツユがしみ込んだら黄身をよく崩して、黄色いツユにする。どろっとするくらいの粘度になるのがいいねん。他のおでん種をそのツユに絡めて食べるんが最高」と中田さん。

……みんなはニコニコしているが、無言だ。

「えー俺だけ!?分かるやろ。最後、育てたツユを飲むと、舌に黄身がザラッとする感じもたまらん。そこに超辛口。これが最強や」

山本晃嗣専務(左)も交えて一杯

中田杜氏になってから、蔵の中にコミュニケーションの機会が増えたという。おでん談義では距離が生じたが、笑顔の絶えない自然な空気に、固い信頼関係を見た。

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1677年創業、代表銘柄は「神聖」、表千家御用達の「松の翠」、「かぐや姫」など
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『おとなの週末』Web編集部
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