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松山千春さんが「人口よりもウシの多い町」と言う足寄は、日本一「面積の広い町」。残念なことに、廃線になってしまった足寄駅跡は、今では道の駅になっていて、その目の前に私のとっておきのレストラン、「ヒツジ堂」があります……。

日本一の町、「ふるさと銀河線足寄駅跡」前で、驚きのヒツジ料理が味わえる「ヒツジ堂」/1989年撮影

 北海道ちほく鉄道が廃止になって10年以上が経ちました。  その足寄駅跡近くにあるのが、私のとっておきのレストラン「ヒツジ堂」。  羊牧場直営のお店です。  足寄といえば、松山千春さんが「人口よりもウシの多い町」と言っていましたが、  今でも「町」として日本一の面積を誇る広大な町です。

[当時走っていた列車は、白い気動車で運転されていた。(1989年撮影)]
[ちほく鉄道開業時の足寄駅、懐かしい様子の駅だった。(1989年撮影)]

 かつて足寄を通っていた鉄道は国鉄地北線から転換した第3セクター鉄道「北海道ちほく鉄道ふるさと銀河線」が走っていました。  これもまた全長140キロもあって、第3セクター最長とスケールの大きな鉄道です。  北海道ちほく鉄道が第3セクターに転換した1989年ごろ、ちょうど初めての写真集を出してもらえることになりました。写真集のテーマが「第3セクター鉄道」で、この時期に何度も足寄を訪れていました。  とにかく「広い」印象のエリアで、見渡す限りの畑や牧草地を走る小さなディーゼルカーを夢中になって撮影。本が出た後もときどき訪れていたのですが、残念ながら2006年に全線が廃止になってしまいました。

2006年に廃止になった北海道ちほく鉄道ふるさと銀河線、広々とした風景の中を走る列車だった(1989年撮影)

 ちょうどそのころ私が、鉄道と並行して撮影を始めたのが「日本のひつじ牧場」の写真です。  そしてあの、足寄駅跡から山に向かった丘陵地に「石田めん羊牧場」がありました。  緑輝く丘にたくさんの羊が草を食む姿に魅せられて、毎年のように撮影をさせていただいているこの牧場で生産した肉を使う、直営のレストラン「ヒツジ堂」ができたのが4年ほど前のこと。  

現在道の駅になっている足寄駅跡にあるバス待合所、昔の駅を再現したデザインになっている。

 足寄駅の跡は今では道の駅になって旅人の憩いの場になっています。駐車場にあるバス待合所は、ちほく鉄道時代の駅舎のイメージで作られて懐かしい様子になっていました。  この道の駅の目の前に「ヒツジ堂」があります。  小さな羊の看板を見ながら店に入ります。  メニューはその時々で変わるのですが、石田めん羊牧場の羊と十勝を中心とした北海道のおいしい食材を使っています。  たいていのレストランで羊メニューを見るとほとんどが「ラム」なのですが、さすがに牧場直営! レバーのカツや、内臓のトリッパなども並んでいます。  ローストも、「マトン」のときもあります。  この「マトン」、ジンギスカンのイメージかたすると、硬くて匂いが強いと思いがちですが、いざ食べてみると香りや味が濃くて、素晴らしい火の通し方で、気持ちの良い食感で食べることができます。  定番メニューのほかにも、その日入荷した肉によって、カルパッチョやイタリア料理の前菜ブルスケッタなどがあって楽しいです。  料金は変動しますが、ランチで1000円前後、ディナーで3000~4000円です。この料理にしてこの値段!と驚きました。

[2016年に食べた羊ロースのグリル。絶妙の焼き加減で赤みのコクと脂身の香ばしさがすごい!]
[羊のレバーカツ、濃厚なレバーの味が楽しめる]
[今年食べた羊ロースのカルパッチョ。じわっと広がる爽やかな羊の香りがたまらない!]
[今年のメインは羊のグリル。「羊ってやっぱりおいしいなぁ」と思わせる一品]

 ジンギスカンなどのおなじみのヒツジ料理も、もちろん美味しいのですが、「ヒツジってこんなに美味しいんだ!!」と思わせてくれるお店です。  気軽に行ける場所ではないのですが、北海道旅行を計画するときには、ぜひ行ってみてください。  なお、席は地元の方で埋まることが多いので、事前に電話予約がおすすめです。

足寄の道の駅から車で10分ほどのところにある「石田めん羊牧場」、直営のお店が「ヒツジ堂」。 石田めん羊牧場(ヒツジ堂) http://www.ishida-sheep-farm.com/ ※石田めん羊牧場は観光牧場ではありません。無断での立ち入りはしないでください。

 さて、このヒツジ堂に最近追加されたメニューが「羊乳から作ったチーズの盛り合わせ」です。このメニューについては次回。

佐々倉実(ささくら みのる)  鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”。初めて鉄道写真を撮った小学生のころから約50年。鉄道カメラマンなのに、列車に乗ると走るシーンを撮影しにくいので、撮影の8割はクルマで移動。そんなワケで1年のかなりの期間をクルマで生活しています。ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。  主な著作に「富士鉄」(講談社)「新幹線ぴあ」(ぴあMOOK)「鉄道ムービー入門」(玄光社)「ひつじがすき」(山と溪谷社)など多数、映像集に「感動の美景鉄道」(MAXAM)「日本の新幹線・特急」(シンフォレスト)など、担当番組に「素晴らしき日本・鉄道の旅」(BS-TBS)など

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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