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北海道・ちほく鉄道 足寄駅跡近く、超希少「ヒツジ堂」の国産ヒツジチーズ/1990年撮影

 前回に続き、北海道ちほく鉄道足寄駅跡近くの石田めん羊牧場と直営のレストラン「ヒツジ堂」のお話です。

[雪の峠を走るディーゼルカー、140Kmの路線には険しい山越えの区間もあった(1990年撮影)]

 羊肉の料理がおいしい北海道足寄の「ヒツジ堂」。
 北海道ちほく鉄道が2006年に廃止になったあと、足寄に向かうのはこのお店と「石田めん羊牧場」の風景に出会うのが目的になりました。
「石田めん羊牧場」は、羊肉を中心に出荷する生産牧場です。
 最近スーパーマーケットでも羊肉をよく目にするようになりましたが、国内を流通している羊肉は、ほとんどが輸入肉なんです。
 国内の羊は?と聞かれて即答できる方は少ないと思いますが、親羊の数で2万頭弱しかいません。
 これは、ニュージーランドやオーストラリアの大きな牧場なら1つか2つの牧場分くらいです。
 当然国内の流通量のうち、国産は1%にも満たない貴重な肉です。
 この貴重な国産の羊肉の1つ、「石田めん羊牧場の羊肉」は、ここで紹介した「ヒツジ堂」で食べられるほか、通信販売もしています。
 ただ、出荷量が少なく、それこそ“ときどき販売”という感じですので、ちょくちょくHPを見て、販売しているのをみつけたら即買い!です。(羊肉の予約は時期未定のため行なっていません)

 そして、最近できたもう1つの楽しみが、羊乳で作ったチーズです。
 世界的にみれば羊乳チーズは一般的なものですが、国内で作っているのは、ごくわずか。
 私が知っている範囲では数軒しかありません。

 羊にはたくさんの種類があるのですが、この牧場で飼っているのは主に肉用種です。
 イギリス原産で、肉の繊維が細くて風味がある「サウスダウン」という種類を中心に育てています。
(もちろん羊毛もとれます。もっちゃりした顔でかわいい羊です)

[石田めん羊牧場の、サウスダウン種の子羊]

 石田めん羊牧場のご好意で、搾乳風景を見せていただきました。
 羊乳をとるために、新たに「フライスランド」と言う種類など乳の量が多い乳用種を飼いはじめたそうです。牧場の本気度を感じます!
 羊飼いが柵をあけて羊を呼ぶと、搾乳場所までいそいそと羊がついて行きます。
 順番に台に乗って餌を食べている間に搾乳します。
 搾乳が終わると、自分で放牧地へと向かって行きます。
 なんとも羊と羊飼いの仲のよさが見えてほほえましい風景です。

搾乳前には羊飼いに羊がついて歩く。
羊が餌を食べている間に搾乳する。
羊用の搾乳機でしぼる。日本ではこちらの牧場が初導入。
クリームのように濃厚な羊乳。

 搾った羊乳は見るからに濃厚です。
 以前、味見をしたことがあるのですが、見た目通り濃厚で、まるでクリームのような味わいでした。
 成分で見ても、たんぱく質や脂肪分が牛の倍もあって、チーズには最適なのだそうです。
 ただし、とれる量は、乳牛の場合1日で20~30Kg、なかには50Kgを越える場合もあるのに対して、羊はといえば1頭からだいたい700mlくらい。1Kgには程遠い量です。
 さらに、季節的には春から夏にかけての短い期間しか搾乳できないので、とっても貴重な食材なんですね。

[「ヒツジ堂」の羊乳チーズ盛り合わせ]

 今回は直営のレストラン「ヒツジ堂」で食べさせてもらいました。
 ハードタイプとリコッタチーズの盛り合わせです。
 ハードタイプは濃厚でクリーミー、じっくりと味わいたい風味。
 リコッタチーズはさっぱりとしていて、いくらでも食べられる感じ。
 どちらも食べやすく美味しいチーズでした。

 このチーズを食べるのには「ヒツジ堂」で食べる。
 もしくは、石田めん羊牧場の通信販売で買う方法があります。
 あと、今回行った時には足寄の道の駅にも置いてありました。
 いずれにしても、量に限りがあるので、事前に在庫を確認をしてから出かけてください。

ハードタイプの羊乳チーズ、出荷量はかなり少ない。
購入方法は「石田めん羊牧場」のホームページを参照してください。
(http://www.ishida-sheep-farm.com/)

じゃがいもの花の中を走るふるさと銀河線(1990年撮影)

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北海道ちほく鉄道ふるさと銀河線が開業した頃の足寄駅名板(1989年撮影)

 

 

旧足寄駅前にある。直営レストラン「ヒツジ堂」


石田めん羊牧場(ヒツジ堂):http://www.ishida-sheep-farm.com/
※石田めん羊牧場は観光牧場ではありません。無断での立ち入りはしないでください。

佐々倉実(ささくら みのる)
 鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”。初めて鉄道写真を撮った小学生のころから約50年。鉄道カメラマンなのに、列車に乗ると走るシーンを撮影しにくいので、撮影の8割はクルマで移動。そんなワケで1年のかなりの期間をクルマで生活しています。ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。
 主な著作に「富士鉄」(講談社)「新幹線ぴあ」(ぴあMOOK)「鉄道ムービー入門」(玄光社)「ひつじがすき」(山と溪谷社)など多数、映像集に「感動の美景鉄道」(MAXAM)「日本の新幹線・特急」(シンフォレスト)など、担当番組に「素晴らしき日本・鉄道の旅」(BS-TBS)など

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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