東京・表参道にある新潟県のアンテナショップで、食欲がそそられる一品を見つけました。老舗蒲鉾店「竹徳かまぼこ」の人気ナンバーワン「煮玉子しんじょう」です。丸いしんじょうをふたつに割ると、とろとろの半熟玉子が現れました。
画像ギャラリー港町・新潟の食文化を伝える「しんじょう揚げ」
東京・表参道ヒルズの裏手に、物産販売や観光情報などを発信する新潟県のアンテナショップ「表参道・新潟館ネスパス」があります。ビル1階のイベントスペースで、竹徳かまぼこが期間限定(4月8日~11日)で出店していました。
竹徳かまぼこは、新潟市の中心部に本社工場直営店を構える有名店。創業1930年頃という老舗です。計8店舗を展開し、新潟だけでなく都内の日本橋三越にも常設店がありますが、月に1度程度ネスパスに出向いて、販売しているとのことでした。並べられた商品は15種類。中でも一番目を引いたのが「煮玉子しんじょう」(税込み378円)です。ふたつに割った断面から、とろとろの黄身がわかる写真や模型が置かれ、「人気No.1」「年間ランキングNo.1」の宣伝文句が躍っています。店員さんに聞くと、販売初日のこの日も、最も売れたといいます。実際、眺めている間にも、客が次から次にやってきて、煮玉子しんじょうを買い求めていました。
しんじょう(しんじょ)は、すりつぶした魚の身に山芋や卵白などを加えて味を調え、蒸したり、揚げたり、ゆでたりした練り物です。竹徳かまぼこのホームページでは、「新潟のしんじょうは蒸した後、油で揚げているのが特徴」で、「全国的にみてもしんじょうを揚げるのは、みなとまち新潟だけの食文化」と説明されています。
江戸時代から明治にかけて北前船が寄港した新潟は港町として栄え、芸妓文化が花開きました。店員さんによると、その昔、芸者さんがお椀に入ったしんじょうを食べる時、箸がすべるというので、揚げてつかみやすくしたのが始まりらしいとのことでした。
ふわっとしてなめらかな食感、そして絶品の半熟玉子
煮玉子しんじょうの食べ方ですが、竹徳かまぼこのホームページには、「そのままでも美味しく召し上がれます。トースターで軽く焼くと中まで熱が通らずに温められます。電子レンジではラップを掛けずに約20秒程度と短めで、オーブン等で焼いても美味しく召し上がれます」との説明がありました。電子レンジを試してみます。20秒程度だと、まだ冷たかったので、もう一度温めてみました。
ほどよい温かさになったところで、包丁を入れます。恐る恐るふたつに割ると、中から美しい色合いの半熟玉子が現れました。箸でつかむと、たしかに滑りません。まずは、しんじょうの部分を一口。はんぺんほどもやわらかくなく、蒲鉾よりはやわらかいという印象で、ふわっとしてなめらかな食感です。
「イトヨリダイの魚肉を贅沢に使い石臼でなめらかにしたすり身に、山芋と卵を合わせた」と購入したネスパスの店に説明文が貼られていましたが、食材の質の良さを感じる贅沢で上品な味わいです。魚の旨味が凝縮しています。
半熟の味付き玉子は、ちょうどいい塩梅です。それに、このとろっとした半熟加減が絶妙です。個体によって半熟具合が異なるとのことですが、とろり感がもっと欲しい場合は、そのまま食べたほうがよいかもしれません。
「柳都」を想い、淡麗辛口の地酒とともに
日本海に面し、日本一の信濃川が流れる新潟は水の都。市内にはかつて堀が張り巡らされており、多くの柳が植えられました。その美しい景観から「柳都(りゅうと)」とも言われています。新潟の風景を想い浮かべながら、煮玉子しんじょうを味わいます。新潟は日本有数の酒どころです。冷蔵庫に地酒があったことを思いだしました。新潟特有の端麗辛口がやはり合います。新潟の食文化が生んだ逸品。うん、うまい!!
「表参道・新潟館ネスパス」の店舗情報
ネスパスは、新潟県のアンテナショップ。地酒や生鮮品など県産品を販売する「新潟食楽園」や会席・和食の「にいがたの味 静香庵」など複数のテナントが入居するほか、イベント開催や、観光・就職情報などを発信しています。
[住所]東京都渋谷区神宮前4-11-7
[電話]03-5771-7711(代)
[営業時間・休日]各テナントで営業時間・定休日が異なります(ネスパスの施設自体は無休)
[交通]地下鉄銀座線・千代田線・半蔵門線表参道駅A2出口から徒歩1分
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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