カレーを特集した『おとなの週末』2021年6月号の掲載店から、FIVE NEW OLDのWATARUさんが気になったというのが『Japanese Spice Curry wacca』。大阪から2020年12月に東京へ移転した人気店です。今回はついにメンバーが実食!
画像ギャラリー可能性が広がる組み合わせの妙
カレー特集が好評の『おとなの週末』2021年6月号。今これを読んでくださっているみなさまもお手に取ってくれただろうか。
かねてよりカレー好きを明言するバンドメンバーから、カレー作りにハマっているWATARUさん(ギター&キーボード)と、コロナ前はカレー店巡りを楽しんでいたというSHUNさん(ベース)にお話を伺った。
バンドとしてカレーの如くのスパイシーに進化を続ける彼らにとって、カレーとはどんな存在なのか。今回はいよいよ『wacca』のカレーを実食です。(本文中、敬称略)
――お待たせしました。『wacca』のカレーについては本誌をご覧いただくとして、オーナーシェフの三浦さん、おふたりに食べていただくカレーの説明をお願いできますか。
三浦「4種類のカレーがのった『クアトロ』です。ひとつは大阪ではメジャーなダシをガツンときかせた『出汁カレー』。パキスタンのチキンカラヒを煮詰めたものが『無水チキン』です。『ラムウプカレー』は南インドのチェティナード地方のウプ(塩)カレー。
スリランカでは炒めものをデビルというのですが、大阪らしくマルチョウを使った『マルチョウデビル』です。これは辛いのでしんどかったら、他のカレーや副菜と混ぜてもらえたら」
「見た目だけでもう美味しい」とWATARUさんが言う『Japanese Spice Curry wacca』の「クアトロ」(1400円)。
左から時計回りに出汁カレー、マルチョウデビル、ラムウプカレー、無水チキン
二人「いただきます!」
SHUN「美味しっ!」
WATARU「ひき肉が入っていて、カツオと……なんだろ? うーん、美味しいなぁ」
SHUN「無水チキンも旨いなぁ」
WATARU「ラムの塩カレーも旨い!」
SHUN「俺たち、『旨い』しか言ってない(笑)」
WATARU「マルチョウはスパイスの辛さとホルモンの脂の甘みがマッチしてますね。僕はなんやかんやで『マルチョウデビル』が好きです。
4種類のカレーがのってるということは、そのまま食べたり混ぜたりしていろいろ楽しめるってことですもんね」
三浦「そうです。ぜひ混ぜてお召し上がりください」
WATARU「ダシとスパイスってこんなに合うんですね」
SHUN「カレーにダシを入れるって発想にならないよね」
WATARU「そうですよね。和風のものって入れても醤油くらいです」
SHUN「醤油は入れるんだ?」
WATARU「醤油は味に深みが出て美味しくなります。『カレーフェス』のときに、カレー研究家のタケナカリーさんが出されていた創作カレーは、七味など和風の素材を使われていました」
――今は様々な素材を使ったユニークなカレーが多いですよね。
WATARU「カレーをずっと作ってると、添えられているこういう副菜系も作りたくなってくるんですよね」
SHUN「MASAYAの家に行くと出てくるよ」
WATARU「MASAYAさん、やっぱりもうその域までいってるんですね」
SHUN「うん。MASAYAをここに連れてきてあげたいよ」
WATARU「ほんまに、HIROSHIとHAYATOもカレー好きだから食べさせてあげたいっすね」
三浦「そのヨーグルトみたいなものは『ライタ』といいます。そのまま食べてもカレーに混ぜても美味しいですよ」
WATARU「乳成分が入ることによって、カレーが全体的にまとまる感じがありますね」
SHUN「コンプだ」
WATARU「あぁ、音楽でいうところのコンプレッサーや。たくさんある音をちゃんと全部まとめてくれる、バスコンプ(笑)」
SHUN「4種類のカレーがのっているのに、お互いの味が混ざっても美味しいのがすごいですね。味がぶつからないというか」
WATARU「調和の取れたひと皿ですよね。やっぱりカレーはドラムなのかな」
――『wacca』はライスにもこだわっていて、インド産バスマティライスとアメリカ産カルローズをブレンドしています。おうちカレーのときは、日本米で召し上がりますか?
WATARU「カレーによってお米の種類を変えたいんですけど、このバスマティライスはネットとかじゃないと手に入りづらいんです。ジャスミン米は『カルディ』とかで売ってますよね」
SHUN「このご飯も美味しいですね。ご飯といえば、『CoCo壱番屋』でライスを刻んだカリフラワーに変えられるんですけど、あれも意外といけるんです。多分ダイエット用のメニューだと思いますけど。
音の長さのことを『サスティーン』と言うのですが、レコーディングエンジニアさん曰く、『サスティーンが伸びるから、絶対にチーズをトッピングしたほうがいい』。確かにカリフラワーにチーズをトッピングすると、ちゃんと味の余韻が残るんです」
WATARU「レコーディングの時、そういうことを教わりますよね(笑)。エンジニアさんが音の処理を整えることを『EQする』と言うのですが、トッピングするとか七味をかけるとか、よく“EQする”って言ってます(笑)」
――味を整えるってことですね。そういう会話ってミュージシャンあるあるなんですか?
WATARU「多分エンジニアさんあるあるですね(笑)」
――せっかくの機会ですし、何かご主人に聞きたいことがあれば伺ってください。
WATARU「ひとつだけいいですか? 『出汁カレー』のダシはどういうものなんですか?」
三浦「これは“八方だし”といって、和食に使うようなダシです。ベースはカツオやサバ、昆布、ウルメイワシなどの乾物と、あとは醤油やみりん、塩ですね」
WATARU「ダシ自体の風味が強いということですか?」
三浦「関西の出汁カレーで多いのが、乾物の香味油を作って混ぜるもの。香り高くなるんです」
WATARU「ダシとスパイスと、どちらもきちんと香りが感じられます」
三浦「そのあたりのバランスは気を遣っています」
WATARU「本当に絶妙なバランスです。調和が大事なんですね」
パワーをもらえるカレーと音楽
――初の出汁カレー、召し上がってみていかがでしたか?
SHUN「やっぱりカレーは元気が出ます。カレーって可能性がすごく広いんですね。いろいろな方向に味が作れるし。
音楽も様々なジャンルがあったり、好きなものを作り出せるという意味では近いんだと思います」
三浦「ものづくりという意味では、カレー作りと音楽を作ることって自己表現が早いという意味で似てるなと思うんです。カレーはこれなら喜んでもらえるかなと思ってパッと作ってすぐにお客さんの反応が見られます」
SHUN「僕たちにとってはライブみたいなものかな。音を出した瞬間に目の前にいるお客さんの様子が見えるので。いまはなかなかライブやお店もみんな足を運びづらくなっていますが、そこへ来たら美味しいものが食べられるし、元気をもらえますし」
三浦「いまは力を蓄える時期ですね。
カレーと音楽ってやっぱり似ているなと思うのが、基本をきっちりと分析してクリエイティブに作り込むという方もいれば、思いつきの感性だけでやる人もいます」
WATARU「いろんなジャンルを取り込めますし、本当に似ていますね。三浦さんにも僕たちのライブをぜひ観ていただきたいです」
三浦「ありがとうございます。そしたら僕は楽屋の横でいくらでもカレーを作りますよ」
WATARU「マジっすか
――FIVE NEW OLDの音楽の心地良さがおふたりのカレー好きを紐解くことで少し見えてきた気がします。
WATARU「みなさまに寄り添えるような音楽をこれからも作っていきたいです。カレーのような音楽をね」
三浦&編集部「本日はありがとうございました」
ふたり「こちらこそありがとうございました。楽しかったし、本当に美味しかったです」
――なんと後編で終わらず、次回は番外編です。お楽しみに!
2010年、兵庫県神戸市で結成。R&B/Black Music/Gospel/AOR/Alternative Rockなどの要素を昇華させたワールドスタンダードなポップサウンドを展開。2017年「BY YOUR SIDE EP」でメジャーデビューし、2021年4月には4枚目のフルアルバム『MUSIC WARDROBE』をリリース。『サンカット(R) プロディフェンス』(コーセーコスメポート)のCMソング「Summertime」やボーカル&ギターのHIROSHIさんが役者に初挑戦したドラマ『3Bの恋人』の主題歌「Hallelujah」など、多数の楽曲タイアップを担当。
HIROSHIさんとWATARUさんによるアコースティックツアーが、6月18日(金)に兵庫・music zoo KOBE 太陽と虎、6月19日(土)は兵庫・Kiss FM トアロードアコースティックフェスティバル vol.3 (EVENT)、6月25日(金)には東京・LIVE HOUSE FEVER※。
※チケット抽選先行あり
7月18日(日)に札幌・PENNY LANE24で「MUSIC WARDROBE tour」、7月23日(金)には大阪・心斎橋BIGCATで「10th Anniversary Live”5 will give you 10”」を開催予定(いずれも振替公演)。
https://fivenewold.com/
出汁カレー、無水チキンなど、定番のカレーは4種類。土曜限定の海鮮カレーや夜のコース料理など、クリエイティビティに満ちたカレーと料理で世のカレー好きを唸らせている。
[住所]東京都中央区八丁堀2-19-7
[電話]03-6262-8883
[営業時間]11時半〜15時※売り切れ次第終了、18時〜20時
[休み]日
[予約]夜のみ可
[交通]地下鉄日比谷線ほか八丁堀駅A5出口から徒歩5分
https://twitter.com/sekime_wacca
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