みなさん、宮崎駿監督の劇場長編アニメデビュー作『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)で、ルパンと次元が奪い合うように食べたミートボールスパゲティを覚えているでしょうか? あの食べてみたい憧れのアニメめしNo.1が、東京都内でも珍しいミートボール専門店で、11月末までの期間限定でいただけるんです! さらに『天空の城ラピュタ』(1986年)のメニューも発見!!
画像ギャラリーインスタで発見、謎めいたシェアレストランへ……
ミートボールはお弁当の定番で、みんな大好き! のはずながら、よく見かけるのはスーパーのチルドコーナー、または中華惣菜の肉団子。専門店はといえば都内でも数店舗で、みんなが知ってるのに料理として冷遇されている。いまいち立ち位置を築けていないミートボールだが、筆者は大好きだ。
しかも、放送中の『ルパン三世 PART6』を観て、うっかり(?)遡り『カリオストロの城』を観てしまったら、ミートボールスパゲティを食べたい欲が高まるばかり。しかし、ミートボールを作るのは手間がかかる……(めんどくさい)……なタイミングで、インスタで見つけたのが『Occochi(おっこち)』だ。
イタリアンシェフ歴17年が作る、渾身のミートボール50g!
……デカい!
ひとつ50gというミートボールの調理過程を見せていただき、大きさに驚いた。当たり前だけれど、チルドコーナーで見かけるミートボールとは、すべてが異なる。見るからに美味しそうだ。
というのも、シェフの福士元気さんは、1944年に日本で初めて本格的イタリア料理を提供した老舗『アントニオ』や『オステリア ルッカ』などを渡り歩き、イタリアンひと筋17年。キャリアがある。
そんな福士さんがシェアレストランを開いたのは、新型コロナウイルスの影響を受けキッチンカーで営業し始めたことがキッカケだった。キッチンカーで提供していたミートボールの評判が良かったこと、シェアレストラン先との巡り合わせから今回の開店に至ったという。
バターのコクで“昭和レトロ”な味わいに
ソースの素材はトマト、玉ネギ、ニンニクというシンプルさだが、途中で加えられたバターとたっぷり振り入れられたパルメザンが効いている。乳製品のコクが全体にまわる味わいは、ヘルシーな(例えば、オリーブオイルの)油分のアッサリ現代風ではない代わりに、昭和を彷彿とさせる。
『カリオストロの城』の再現であれば、オールドスタイルのソースが最適解だ。しかし、肝はミートボールである。
ミートボールは大きいため、スプーンで割ってからいただくことに。
みっちりと密度が高く肉感的で、豚肉の旨みがギュッと凝縮されている。隠し味でオレガノを使っているというが、味わいは和風。バターが利いたオールドスタイルのトマトソースとよく合う。
もう少し小さくてもいいから、せめてミートボールが5個乗っていれば再現率がアップしたのに! いや、2人前を頼んで、50gのミートボールを6個にすればいいのか?
どちらにせよ、赤ワインを飲みながら食べるのにピッタリなのは間違いない!
『天空の城ラピュタ』からもアニメめしがエントリー!
さて、続いての品は宮崎駿作品『天空の城ラピュタ』である。ミートボールで? ラピュタめし筆頭といえば目玉焼きトーストで、関係ないのだが? 訝しがる筆者の前に現れたのは写真のスープであった。
聞くと福士さんは『天空の城ラピュタ』が大好きらしい。だから、このメニューは作品冒頭、パズーが「おじさん、肉団子ふたつ入れて」と飯盒のような容器を差し出したときの“パズーが買った肉団子スープ”を再現したというマニアックっぷり! シーンもお玉ですくうスープが、赤みを帯びていることくらいしかわからないのに……。
しかし、作品が大好きな福士さんは言う。「パズーの所得を考えると裕福ではない。屋台はスープを継ぎ足しながら営業しているはずで、豆や豚の皮を使ってるんじゃないかな? など背景を考えて、イタリア料理のミネストラ・マリタータをベースに作りました」。
ペコリーノロマーノは敢えて加えず、あくまでも作中から受けたイメージで作られたスープ。食べてみると……日本じゃない場所の味。過去なのか未来なのかわからないけれど、ヨーロッパのどこかっぽい。スープは重くお腹にたまりそうだが、味ははっきりいって薄い。
塩味がもっと強くてもいいし、ペコリーノロマーノを加えた方が良かったんじゃないか? スプーンで崩した肉団子との相性はいいけど……少し不満顔だった筆者だが、福士シェフに言われてフランスパンをちぎってスープに浸した。
これは……旨いっ! 軽くひたすより、スープを完全に吸わせたほうがフランスパンの小麦の風味も加わる。ひとすくい、ふたすくいと食べすすめるうちにお腹の芯から温まり、味が薄いと言った最初の感想はどこへやら。これがいい! という感想に変わっていった。
アニメめしの再現はネットでも人気レシピのひとつ。試行錯誤して自分で作るのも楽しいし、料理人が技術と知識を駆使して作り上げるひと皿を味わうのも一興だ。期間限定の味わいをぜひ!
[住所]東京都新宿区高田馬場3-36-9 ウルムチ内
[電話番号]070-2361-5337
[営業時間]11時半~15時(14時LO)、18時~23時(22時LO)
[交通]JR山手線ほか高田馬場駅早稲田口より徒歩12分
※ランチメニューのミートボールは小さいサイズになるのでご了承ください
取材・撮影/Naviee
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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