脂身の旨さ、ピンクのヒレに悶絶!半端ないこだわり「とんかつ」の新店・東京7選

『とんかつ三矢』 @千駄木 ラード100%の香ばしさに寄り添う豚の旨み とんかつと一品を欲張りに味わう こんがりと色よく揚がったかつを頬張れば、パン粉がピンと立った衣からあふれ出す、えも言われぬ香ばしさに空腹の胃袋を掴ま…

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メインの豚はもちろん、パン粉や油にもこだわってついに実現させた自身の味。既存の店に決して引けを取らない新店のとんかつを紹介。とんかつ業界がますます激戦化すること必至。我々はただただうれしい悲鳴です。

『tonkatsu.jp 表参道』 @表参道 口の中で溶けて広がる脂身の旨さに恍惚 

養豚家の想いものせた銘柄豚の定食&コース

眞杉大介さんは自他共に認めるとんかつマニア。なんと20年にわたって、年間200食以上を食べ歩いたという。全国を巡るうちに、生産者との出会いも生まれた。

分厚いメニューブックを開けば、それぞれの豚が育った環境や養豚家の想いまでも愛情いっぱいに綴られていて、読んでいるだけでも現地を旅した気分。

そんな彼のお眼鏡に叶った豚肉は、現時点で全21銘柄。入れ替えしつつ常時約10銘柄を置くアンテナショップ並みの品揃えだ。中でも心ときめいたのが「セレ豚」の上ロースを食べた時のこと。

セレ豚上ロースかつ定食 2990円

『tonkatsu.jp 表参道』セレ豚上ロースかつ定食 2990円 衣は細かな目の生パン粉を使い、薄めにまとわせることで、豚肉自体の存在感を引き立てる。130度でじっくり揚げてから、次は160度の油へ投入。余熱を考慮したジャストな火入れも感動!

薄衣をまとったそれにかぶりついた瞬間、分厚く乗った脂が溶けて液体に変わり、純粋な甘みが赤身のコクを包みながら広がった。

銘柄チョイスで攻めるもよし、3種類のヒレと上ロースが付く「めぐり豚」で味比べするもよし。どれを食べてもきっと思う。やっぱりとんかつは最高のご馳走だ。

【ここにこだわっています!】店主夫婦がリスペクトする、全国各地の養豚家が大切に育てた銘柄豚をその日の仕入れによって8~10種類用意する。それぞれに個性異なる味の濃淡や香り、弾力を楽しもう

『tonkatsu.jp 表参道』

[住所]東京都港区北青山3-9-9 FNビル1階
[電話]03-6427-4910
[営業時間]11時半~15時半(15時LO)、17時半~21時(20時LO)、※土・日・祝は17時~
[休日]月(祝は営業し翌火休)
[交通]地下鉄銀座線ほか表参道駅B2出口から徒歩3分

『Katsuプリポー』 @新宿 銘柄豚とんかつの究極の味わいを満喫

豚肉から調味料まで一切の妥協なし

銘柄豚のしゃぶしゃぶやサムギョプサルを提供する『プリティポークファクトリー』が、2021年9月からランチタイムに『Katsuプリポー』として営業開始。

「とんかつにして美味しいのはもちろん、半端ないこだわりをもった豚肉を選んでいます」と話す代表の高さん。品種は随時変わるが、この日はダイヤモンドポークや千代幻豚などの希少種から、宮城純潔マンガリッツァなど知られざる銘柄も。

なかでも太鼓判を押す金子畜産天城黒豚のリブロースを味わうと、弾力のある肉から旨みが溢れ出し、脂身の深い甘みに悶絶。また、サドルバックのヒレは淡白な味わいの中に甘みや旨みがじんわり。

天城黒豚リブロース 5500円

『Katsuプリポー』天城黒豚リブロース 5500円 ご飯は、滋賀県産ミルキークイーンを一人前ずつ釜で炊く。50種類以上からとんかつに合う塩を選んだという小豆島の「御塩」は豚肉の甘みをグッと引き出す

せっかくなら数人で訪れ、銘柄豚を食べ比べたり、多彩に揃う調味料で味変したりするのが楽しそう。決して安くないし、限られた営業日でハードルも高いが、わざわざ食べに来る価値は十分だ。

【ここにこだわっています!】120~125℃の低温でじっくり衣を固めて肉汁を閉じ込めてから、180~190℃の高温で衣をカリッとさせる。揚げ油はさっぱりと仕上がる国産のラードを選んでいる

『Katsuプリポー』

[住所]東京都新宿区歌舞伎町1-10-3 G3ビル2階
[電話]03-3209-2930
[営業時間]12時~14時(予約制、空席があれば予約なしでも可)
[休日]不定休(10月15日以降は15、21日に営業)
[交通]JR山手線ほか新宿駅東口から徒歩5分

『とんかつ大希』 @京急蒲田 白い衣をまとったピンクのヒレは悶絶モノ!

20分かけて仕上げる見目麗しい名ヒレかつ

ロースかヒレか、とんかつを語る上での永遠のテーマと言っていいだろう。普段はロース一択の自分もこの店ではぐぐっとヒレ派に傾いた。

定食に付く前菜と小鉢で空腹をかわしつつ、待つこと20分。差し出されたのがご覧の「上白ヒレ」。

上白ヒレかつ定食 2200円

『とんかつ大希』上白ヒレかつ定食 2200円 豚肉は岩中豚か黒豚を使用し、ふるいにかけて目を揃えた粗挽きの生パン粉をまとわせる。まさにヒレ肉をそのまま食べているかのような存在感に圧倒される

桜色に艶めく断面に、まずは塩をふりかけガブリとやれば、何の抵抗もなく歯がすっと入るふんわりとした口当たりの後から、無垢なる旨みの肉汁が滴ってくる。低糖度のパン粉を上質なラードで揚げた衣も、淡雪のごとき口溶けだ。

そして次なるひと切れは自家製のダシ醤油で、そのまた次は薬味入りのみぞれ汁でと、と味の引き出しの多さに翻弄される。

ロースだって負けてはいない。こちらはパン粉も揚げ方も変えて、香ばしさを持たせた衣が岩中豚の脂の甘みを引き立てる。となると、やっぱり冒頭に戻ってしまう。ロースかヒレか、それが問題だ。

【ここにこだわっています!】白ヒレは、まず110℃の油で15分ほどじっくりと揚げた後、150℃前後の油に移して1分半。その後3分ほど休ませることで、ジューシーで柔らかな仕上がりとなる

『とんかつ大希』

[住所]東京都大田区蒲田4-10-14 あすとウィズ 2階
[電話]03-6715-8845
[営業時間]11時~15時(14時半LO)、17時~21時(20時15分LO)
[休日]月
[交通]京急本線京急蒲田駅西口から徒歩1分

『日本橋とんかつ一(はじめ)』 @日本橋 毎日でも来たくなる、さっくり軽い食べ心地

味と値段に拍手!普段使いの良店誕生

年に数度訪れる高級路線の店もいいけれど、うれしい時も悲しい時も、とんかつはいつでも側に居てくれる存在であって欲しい。それをかなえてくれるのがこちら。

まず、並のロースかつ定食なら980円。この店専用に10日間熟成させた四元豚を野菜や果物由来のベジフルーツオイルで揚げたしっとりライトな仕上がりだ。カツとの相性で選んだ会津産のコシヒカリをふっくらツヤツヤに炊いたご飯がこれまた旨い。

さらに上ロースに手を伸ばせば、ご覧の分厚さにパワーアップ。キメの細かい身が舌を撫で、サクサクのパン粉が歯に響く。あっさりとした上品な味わいで、このボリュームもすんなり胃袋に収まってしまうのだ。

熟成四元豚上ロースかつ定食 1380円

『日本橋とんかつ一(はじめ)』熟成四元豚上ロースかつ定食 1380円 160度の比較的低温で5分ほど揚げた後、5分間休ませて火入れジャストのしっとり感。定食のご飯とキャベツは1回までお替わり可能。豚汁とお新香つき

「味も値段も、毎日でも食べたくなるとんかつを目指しました」と話すのが総料理長の杉本さん。そんな普段着のとんかつを求める食いしん坊達で、連日行列の盛況ぶりだ。

【ここにこだわっています!】揚げ油は菜の花・パームの実・トウモロコシ由来の「ベジフルーツオイル」をチョイス。切れが良く、パン粉がサクサクの食感に仕上がる上に、食後の胃もたれも少ない

『日本橋とんかつ一(はじめ)』

[住所]東京都中央区日本橋室町1-13-9 池田ビル1階
[電話]03-6262-5883
[営業時間]11時~18時(17時LO)、土・日・祝10時~18時(17時LO)
[休日]月(祝は営業し、翌火休)
[交通]地下鉄銀座線ほか三越前駅A4出口から2分

『とんかつ三矢』 @千駄木 ラード100%の香ばしさに寄り添う豚の旨み

とんかつと一品を欲張りに味わう

こんがりと色よく揚がったかつを頬張れば、パン粉がピンと立った衣からあふれ出す、えも言われぬ香ばしさに空腹の胃袋を掴まれた。これだよ、これ!

と膝を打つストレートな旨さの理由、それはまず揚げ油がラード100% で甘みも風味もパワフル。加えて秋田県産の「桃豚」には、クセがなくおだやかなコクがある。

上ロース定食 1800円

『とんかつ三矢』上ロース定食 1800円 200gとボリューム満点ながらも衣の香ばしさに後押しされてペロリ。ふわふわのキャベツの食感もいい。定食にはご飯、豚汁、漬物が付き、14時までお替わり可

皿の上で衣と豚が手を取り合ったバランスの妙に唸るはずだ。卓上には塩もあるけれど、このとんかつにはやっぱりソースが抜群に合う。

さらに品書きで気になるのがポークソテー。オーブンでふっくらと焼き上げたロースからほとばしる肉汁と濃いめのソースが、くるおしいほどご飯を呼ぶ。

加えてカツ丼にカツカレー、さらに半熟とろ~りの卵フライなどの単品の揚げ物も手招きし、2度、3度と通わずにはいられない。こんな店が身近にあるなんて、ご近所の方がうらやましい。

【ここにこだわっています!】秋田県産の十和田湖高原ポークSPF「桃豚」を使用。かぶりつけば、繊維の奥から肉汁がじゅわっと溢れるほどみずみずしく、あっさりとした味わいで食べ飽きしない

『とんかつ三矢』

[住所]東京都文京区千駄木2-43-3
[電話]03-5842-1191
[営業時間]11時~22時(フード21時、ドリンク21時半LO)
[休日]無休
[交通]地下鉄千代田線千駄木駅1番出口から徒歩3分

『米とひなた』 @東武練馬 高コスパの豚肉と羽釜ご飯が自慢

やきとんの人気店がとんかつに参戦!

東京・板橋区を中心に10店舗を営む『やきとん ひなた』のとんかつ専門店。豚ホルモンを扱っている関係で豚肉の流通に顔が効くため、その都度状態のいいものを仕入れられるのが強みだ。

2022年1月にオープンしたが、8月に1ヶ月間の休業を経て9月に再開。銘柄豚から国産豚肉に変更し、やや価格を抑えたというが、うっすらピンク色が残るヒレカツは、ジューシーでやわらかい。

ロースカツとヒレカツ定食 1749円

『米とひなた』ロースカツとヒレカツ定食 1749円 剣立ちがいい粗めのパン粉を使った、ザクザクと歯応えのいい衣が美味しい。ソースのほか、おろしポン酢、塩の3種を用意。ご飯、味噌汁、キャベツはお替わり自由

ロースカツは肉の旨みが濃厚で、脂身も甘く、レベルの高さを実感する。これが1000円台なのはコスパが超高い!

肉の下処理やキャベツの千切りなどをやってくれる『やきとんひなた』のセントラルキッチンがコスト削減に貢献しているのだ。そして、店名にもあるように、羽釜炊きのご飯がもっちりとして美味。甘みがじんわり広がり、ご飯が進む。ぜひ、やきとんの店のようにもっと店舗を増やしてほしい!

【ここにこだわっています!】軽い揚げ上がりになり、甘い風味が引き立つというコーン油を使用。注文からできるだけ早く提供できるよう、何度も試作を兼ねた結果、165℃で7分揚げ、油切りを4分に

『米とひなた』

[住所]東京都練馬区北町2-37-2
[電話]03-3932-8910
[営業時間]11時~15時(14時半LO)、17時~21時(20時半LO)、土・日・祝11時~21時(20時半LO)
[休日]水
[交通]東武東上線東武練馬駅南口から徒歩1分

『丸七 門仲新店』 @門前仲町 極厚肉と卵、ソースのバランスが抜群

ブームの先駆け店に新店舗登場!

今まで見たことがないくらいの超極厚のとんかつ!しかも、カツ丼のように卵でとじたものではなく、とんかつの下に卵焼きが敷きつめられている。これが、最近耳にする“焼きカツ丼”だ。

『丸七』はブームの先駆けと言われ、本店のオープン当初は朝から列をなす人気ぶりだった(現在はテイクアウトのみ)。今も店舗が続々増えていて、ここ門仲新店は2022年7月25日にオープンした。

焼きカツ丼(特上) 2400円

『丸七 門仲新店』焼きカツ丼(特上) 2400円 特上はリブロース(300g)。160℃で3分揚げることで肉を温め、衣をカリッと仕上げる。上(300g)と並(150g)はきめの細かいロースで、さっぱり

ひと口かじると、特上のリブロースは口中でほろっと崩れるやわらかさ。この厚さで見事なまでの均一な火入れができているのは、下処理のときに低温調理で火を通しているから。

薄付きの衣はサクサクで、醤油ベースのタレは濃厚だがキレがいい。さらに、卓上の茎わさびを付けると、爽やかな辛味がタレの味をキリリと引き締める。一見ボリュームに躊躇するが、くどさが全くなく、ペロリと完食できるはず。

【ここにこだわっています!】豚肉は前日の夜に不要な脂身を取り除き、塩や砂糖などで下味を付けたあと、低温調理機の中へ。ひと晩かけてじっくり火を通すことで、しっとりとした肉質になるのだ

『丸七 門仲新店』

[住所]東京都江東区富岡1-14-14
[電話]03-5621-9966
[営業時間]11時半~17時(16時半LO)※テイクアウトは11時~16時
[休日]水
[交通]地下鉄東西線門前仲町駅2番出口から徒歩2分

撮影/西崎進也(tonkatsu.jp 表参道、とんかつ大希、日本橋とんかつ一、とんかつ三矢)、鵜澤昭彦(Katsuプリポー、米とひなた、丸七 門仲新店)取材/菜々山いく子(tonkatsu.jp 表参道、日本橋とんかつ一、とんかつ三矢)、井島加恵(Katsuプリポー、とんかつ大希、米とひなた、丸七 門仲新店)

※2022年11月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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