食事にもアテにもなるカツ丼メニューの数々 さて、次に紹介する新宿『とんかつ串揚げ とん竹』は、カツ丼メニューがとにかく豊富に揃う店。その数は、なんと11種(夜のみ。チキンも含む)。ソース風味にチーズ入りなど、味わいのバリ…
画像ギャラリー隣の人が食べていると無性に気になってしまう。そんな料理の代表例がここで紹介するカツの三大メニュー 、今回はカツ丼特集です。 時代とともに変化していく“いまが旬のおいしさ”をチェックしてください。
今や百花繚乱の東京カツ丼事情
卵でとじない”後のせ”をはじめ、酒のお供に最適なアテ系、某所で食べるカツ丼まで。店の個性が光る、カツ丼の今をレポート!
あのカツカレー店の”とじないカツ丼”
とんかつを甘辛い割り下で煮込んで、半熟の卵でとじる。この王道のやり方で十分においしかったカツ丼が、東京の街のあちこちで、さらに美味なる進化を遂げている。
まずその急先鋒が、今までの逆方向を行く、卵でとじないカツ丼。なかでもユニークな存在として挙げられるのが、2022年1月に開業した『とんかつ檍(あおき)のカレー屋 いっぺこっぺ 新橋店』だ。こちらの店、『とんかつ檍』が経営するカツカレーの専門店。系列店のなかで初めてカツ丼を扱い始めたという店なのだ。
『とんかつ檍(あおき)のカレー屋 いっぺこっぺ』檍のかつ丼(後のせ) 1200円
早速、「檍のかつ丼(後のせ)」を注文すれば、半熟の卵の上にのった剥き出しのとんかつに食欲を刺激される。ああ、早く掻き込みたい。箸でひと切れをつまんで、卵やご飯とともに食べると、カツのサクサク食感がたまらない。
すると、「次は、卓上にあるヒマラヤのピンクソルトでお召し上がりください」と、店長の山下孝之さん。なるほど、こうやって”味変”を楽しめるのも、卵でとじないカツ丼ならでは。
そして「追加料金300円でカレートッピングはいかがですか?」。なんと、そうきましたか!豚と野菜の旨みの濃いスパイスカレー×カツ×卵の共演は、もちろん口福のひと言。甘辛い割り下の味わいも、この幸せに彩りを添える。
『とんかつ檍(あおき)のカレー屋 いっぺこっぺ』 @新橋 卵でとじないことが生むとんかつのサクサク食感
ビジネスパーソンの聖地・ニュー新橋ビルは、とんかつ激戦区。そのなかで連日行列ができるこちら。橅豚(ぶなぶた)を使ったカツカレーとカツ丼が人気。
[住所]東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル1階
[電話]03-6206-7300
[営業時間]11時~19時50分LO
[休日]日
[交通]JR山手線ほか新橋駅日比谷口から徒歩2分
大正のモボ・モガも愛したカツ丼
次は1912(明治45)年創業の老舗洋食店、人形町『小春軒』で50年以上の時を経て甦ったという、「小春軒特製カツ丼」の話。復活して早26年が経つが、今でもこちらは、一番の人気メニューだ。
『小春軒』小春軒特製カツ丼 1300円
卵でとじないカツ丼で、目玉焼きとたっぷりの野菜の下に敷き詰められるのは、ひとくちロースカツ。またカツとご飯に染みた割り下からは香味野菜の風味が漂う。
「割り下には、ブイヨンと少量のデミグラスソースを入れています」と4代目店主の小島祐二さん。この割り下の味がさっぱりとして、”揚げ物を食べている”という罪悪感を忘れさせてくれるのだ。
「今もお客さんの半分が、カツ丼を注文なさいます」と小島さん。戦前に人形町界隈のサラリーマンに愛されたというこの味わいは、今も界隈のビジネスパーソンに歓迎されているようだ。
『小春軒』 @人形町 明治の元勲・山県有朋の料理人が初代
山県有朋の料理人だった初代・小島種三郎さんと、奥方・春さんが開いた洋食店ゆえに『小春軒』。「特製フライ盛合せライス」で有名な老舗。
[住所]東京都中央区日本橋人形町1-7-9
[電話]03-3661-8830
[営業時間]11時~13時半、17時~20時
[休日]土の夜、日・祝
[交通]地下鉄日比谷線ほか人形町駅A2出口から徒歩1分
食事にもアテにもなるカツ丼メニューの数々
さて、次に紹介する新宿『とんかつ串揚げ とん竹』は、カツ丼メニューがとにかく豊富に揃う店。その数は、なんと11種(夜のみ。チキンも含む)。ソース風味にチーズ入りなど、味わいのバリエーションも豊かだ。
「これをつまみにビールを飲むと、最高ですよ」。大将・徳田幸弘さんのおすすめが、「たまたまソースかつ丼チーズ入り」。メニューには”お好み焼きのような風味”という説明があるが、その正体はいかなるものだろう?
登場したのは卵でとじたソースカツ丼と、マヨネーズのチューブ。自分でかける量を調整できる仕組みなのだ。ソース×マヨネーズ×卵×カツの組み合わせは魔性。たしかにこれは、ビールが進む。
一方でTHE・カツ丼な味わいの「スペシャルかつ丼」の安心感たるや。
『とんかつ串揚げ とん竹』スペシャルかつ丼 1560円
カツにしっかりと割り下の味が染みながら、あっさりとした風味なので、完食するまで決して食べ飽きることがないのだ。
『とんかつ串揚げ とん竹』 @新宿 和風ダシからソースまでいろんなカツ丼あります
とんかつ定食に加え、串揚げに丼、冷やしとんかつにお茶漬けまで。ものすごい数のメニューは、大将・徳田さんのサービス精神の表れだ。
[住所]東京都渋谷区代々木2-7-6 GSハイム佐藤ビル1階
[電話]03-3370-3871
[営業時間]11時~14時40分LO、17時半~21時半LO
[休日]土の夜、日、祝
[交通]JR山手線ほか新宿駅南口から徒歩4分
昭和生まれにおなじみカツ丼×あの場所
最後に紹介するのは、昭和が青春という40・50代には、懐かしい店。なんたって、店名が『Bar 七曲署』だからだ。すぐにピ〜ンと来たあなた、はい、答えをどうぞ!
そう、七曲署は、あの刑事ドラマの名作『太陽にほえろ!』に登場する架空の警察署だ。店内には、取調室を模したテーブル席までも!なんとここでカツ丼が食べられるのだ。この組み合わせは往年の刑事ドラマファンでなくても、垂涎(すいぜん)モノではないだろうか。
そしてこのカツ丼、なんと料理上手のグッチ裕三さんの監修だ。豚肉は人形町の老舗精肉店『日山』から仕入れるリブロース。卵は和風ダシを効かせ、スクランブルエッグにして添える。
『Bar 七曲署』七曲署のヘソ曲がりカツ丼 2000円
「白飯の上にはシソやゴマ、刻みノリをたっぷりと忍ばせます」。つまみになるカツ丼と、制服姿の署長(店長)・小野寺優太さんは説明する。取調室はあるものの……。
そう、こちらは日本のお酒専門のバー。カツ丼と山崎ロックなんて他ではありえないペアリングも、ここでなら可能なのである。
『Bar 七曲署』 @銀座 おと週世代にグッとくる!?カツ丼とコレの組み合わせ!
銀座の雑居ビル4階のバー。昭和歌謡が流れる店内には、しっとりと酒と会話を楽しむ40・50代の客の姿が目立つ。ドリンクは1000円~。
[住所]東京都中央区銀座7-8-1 丸吉ビル4階
[電話]03-3574-9006
[営業時間]17時~翌2時LO(翌1時以降の営業については要確認)
[休日]日・祝
[交通]地下鉄銀座線ほか銀座駅B5出口から徒歩3分
撮影/西崎進也、取材/岡野孝次
※2022年11月号発売時点の情報です。
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