『のいえ』 @神楽坂
春の宴は路地裏の飾らない美味で
名が知られていないだけで、本当に旨いと思える食材-春の定番・ホタルイカこそ北陸産ながら、例えば豆腐は長野県宮田村産、アジは鳥取県・境港からという具合-を揃え、見目よりも素材本来のおいしさを大切に仕上げる。
宮田村のすくい豆腐 720円、ホタルイカの自家製ドレッシングサラダ 750円
それらに合わせる日本酒は旨口を中心に厳選し、客自身が冷蔵庫から取り出しグラスに注ぐというスタイル。そこには気軽さと、どれにしようかと悩む楽しさも。さらに店をベースに「日本酒部」「ポーカー部」などの部活動まであるなんて。
まさに「○○の家」に集まって友人と食と酒、会話を楽しんでいるような時間が過ごせる同店。神楽坂という食にうるさい人が集まる街で、路地裏ながら平日でも閉店近くまで賑わうのも当然。今週末は「誰の家」として楽しもうか?
[住所]東京都新宿区神楽坂6-23 2階
[電話]03-6770-0634
[営業時間]11時半〜13時半LO、18時〜22時LO ※月はランチのみ
[休日]不定休
[交通]地下鉄東西線神楽坂駅1a出口から徒歩2分
『十月十日』 @梅ヶ丘
未来の和食を肴に一杯やりませんか?
老舗料亭『菊乃井』で研鑽を重ねたあと、香港、ドイツ、モロッコでも腕を振るった店主・紀野さん。「日本とは違う、世界の和食を作ってきて思ったのは、伝統にとらわれることなくいろんな人に合う和食を作ってみたいということでした」。そこでダシや醤油など和のベースは生かしつつ、旬の食材を大胆に調理する。
コース 5500円
ワラで燻したサワラをカマンベールと酒粕に漬けたり、平貝やうるいをクルミのジェノベーゼと合わせてみたり。?と思いつつ口に運べば、甘みや酸味、苦味、さらに香りが絶妙の組み合わせで、驚きとおいしさへの感嘆が口から漏れる。そんな紀野さんの料理をコースで味わうもよし。ひと品、ふた品を肴に焼酎やワインと楽しむもよし。幅広く受け止めてくれるのも魅力だ。
[時間]東京都世田谷区梅丘1-15-13
[電話]03-5799-6389
[営業時間]17時〜24時
[休日]水、第2・4火
[交通]小田急線梅ヶ丘駅南口から徒歩3分
『大衆酒場 こいさご 大井町本店』 @大井町
酒場をこよなく愛する店主がつくった夢の店
濃紺ののれんをくぐると、大きなコの字型のカウンターも壁際の立ち飲み席もほぼ満席。「酒飲みによる酒飲みのための店」。そんな言葉がしっくりくるのは、店主・綿貫さんが、大の酒好き、酒場好きだからだ。飲食業の経験はゼロ。大衆酒場が大好きで、地方にも足を伸ばしていたそう。「理想の酒場を作りたい」という夢を実現したのがこの店。
七味ゲソ天 330円、菜の花天 330円、ガツネギ塩 385円
常時80種以上はある料理は、客の視点から考えられたものが揃う。たとえば、天ぷらは盛り合わせではなく揚げたてを少量ずつ注文できる。カニクリームコロッケやオムレツなどがあるのは「飲むとクリームっぽいものが食べたくなるでしょ」との弁。いろいろ注文できるよう、盛り付けもお値段も小ぶり。どこまでも酒飲み至上主義! 感服だ。
[時間]東京都品川区東大井6-1-7 1階
[電話]090-6942-8182
[営業時間]14時~23時(22時半LO)、日・連休最終日14時~21時半(21時LO)
[休日]水・土
[交通]JR京浜東北線ほか大井町駅中央東口から徒歩5分
『晩酌酒場 西(シ)ャーリー』 @旗の台
多彩な魚介づかいが心憎い街の良店
モツ焼きの人気店『大衆酒場チャーリー』の2号店めとして昨年オープン。ここ『西ャーリー』のこだわりは、魚介だ。特筆すべきはその使い方。「産直の魚介はさばいたときに出るアラを使ってじっくりダシをとります。塩モツ煮も肉吸いそばもこのダシがベースなんです」と店主の西原さん。「肉料理に魚のダシ?」と驚くが、西原さんの故郷・沖縄では一般的なこと。
塩もつ煮 580円
塩麹で調味した魚のダシはすっきりとして味わい深く、肉の旨みを上手に引き出してくれる。また、ハンパになった刺身も、別の料理にどんどん生かす。使う魚が違うから、同じメニューでも日によって味わいが変化するのもユニークだ。おいしさを余すことなく使い切る技は魚好きならでは。心尽しの肴と味わう酒は、最高だ!
[住所]東京都品川区旗の台2-6-8
[電話]03-6451-3855
[営業時間]18時〜24時LO、土・日・祝17時〜24時LO
[休日]火、第1水
[交通]東急池上線ほか旗の台駅東口から徒歩3分
撮影/貝塚隆(iro、IGOR COSY、居酒屋 Hana、小鉢と日本酒 たとえば。、呑気)、小澤晶子(のいえ、十月十日)鵜澤昭彦(大衆酒場 こいさご、西ャーリー)、取材/菜々山いく子(iro、IGOR COSY、居酒屋 Hana、小鉢と日本酒 たとえば。)、岡本ジュン(呑気)、編集部(のいえ、十月十日)、田久晶子(大衆酒場 こいさご、西ャーリー)
※2023年4月号発売時点の情報です。
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