2023年、発売から50周年を迎えた「あずきバー」。2021年度にはシリーズ年間販売本数3億本を達成し、トップシーズンには1日130万本以上を製造しているアイスの魅力をアニバーサリーイヤーの今、改めて探ってみたい。なお、7月1日は「井村屋あずきバーの日」として、東京・大阪・名古屋で合計約1万5千本の「あずきバー」が無料配布されるのだ。記事の最後には魅力的なイベントについてもお知らせします!
画像ギャラリー「あずきバー」誕生のきっかけとアップデートの歴史
日本人なら知らない人はいないのではないかと思う、国民的アイス「あずきバー」。どっしりとした存在感かつほっこりするおいしさで、私、ライター・市村も長く愛食している。
そんな「あずきバー」が今年2023年、発売から50周年を迎えた。
製造・販売元の井村屋は、1896(明治29)年に和菓子店として創業。同社商品開発部 主任 三浦 萌さんは、
「時代を経て多角化に挑み、アイスクリームやビスケットなど、それこそチョコレート以外のいろいろなお菓子作りに挑戦したと聞いています。その中で、先行する大手乳業メーカーのバニラアイスには競争で勝てないという厳しさがあったようです。
そんな時に『うちにはあずきがあるじゃないか!』と原点に立ち返った結果、1973(昭和48)年に和菓子の製造技術を活かして生まれたのが『あずきバー』なのです」
と教えてくれた。
「ぜんざいを凍らせたようなアイスを作る」という目標のもと開発された「あずきバー」だが、実は時代に応じた味のアップデートが行われている。
例えば、1993(平成5)年には添加物への意識の高まりを受けて着色料の使用をやめている。現在は嗜好性や健康志向の高まりなども鑑みて、甘さや塩味を控えめにするなど、毎日でも食べられるようなスッキリとした味へと変わっている。
確かに、子どもの頃に食べていた「あずきバー」は、もっとコッテリとしたものだったような気もする。
今年はそのおいしさを堅持しつつ、原材料を見直すリニューアルが行われた。とろみをつけるために使われていたコーンスターチは、小豆を粉砕したパウダー状の「あずきパウダー」に変更。原材料は砂糖、あずき、水あめ、食塩と、よりシンプルになった。
誕生! “「あずきバー」3兄弟”と、幻の“やわらかタイプ”
そして、これまで2種類あった「あずきバー」のシリーズが、「ミルク金時バー」は「あずきバー ミルク」に、「宇治金時バー」は「あずきバー 抹茶」として生まれ変わった。
「『金時』というネーミングから、かき氷を連想されることも多かったんです」と三浦さんは話す。
「あずきバー」とこの2種を合わせて、“「あずきバー」3兄弟”としてリブランディングされた。
この2商品も名称だけでなく、原材料にもこだわって刷新された。
「あずきバー ミルク」はミルクのフレッシュさがより楽しめるよう、北海道産生クリームを使用。口当たりの柔らかさも重視したのだそう。
「あずきバー 抹茶」は、京都の老舗茶舗『福寿園』監修の宇治抹茶に変えたことで、より抹茶の旨みとほろ苦さを感じられる味わいになった。
「抹茶アイスに乳原料を少し加えることで、抹茶とミルクのコクのバランスを追求しました」と三浦さん。たっぷり入った粒餡との相性も抜群だ。
そんな「あずきバー」50年の歴史の中で触れざるを得ないのが“やわらかタイプ”のこと。
一部では歯が折れそうとも揶揄されるほど、冷凍庫から出したての「あずきバー」はカッチカチだ。あえてそれを楽しんでいる部分もあるが、実はユーザーからの期待に応えて、1992年「やわらかあずきバー」、1997年「あずき本舗」、2010年「やわらか仕立てのあずきバー」と、これまで3度“やわらかタイプ”を世に送り出している。
しかし「柔らかいゆえに『あずきバー』らしくないと不評で、どれも不発に終わりました」(三浦さん)
味がいくら「あずきバー」でも、食感が変わると全然別モノになってしまうのか……。
ただ、依然として、柔らかいタイプやひと口サイズといった商品の要望は寄せられているのだとか。
現状では“やわらかタイプ”の商品化は予定されていないそうだが、次回リリースされることがあるなら、今度はヒットを期待したい。
1日に使われる量は1億粒! あずきへの飽くなきこだわり
続いては「あずきバー」の主役となる、あずきのお話。井村屋全体で1日に使われるあずきは、およそ1億粒にものぼるのだそう。「BOXあずきバー」の場合、1本あたりに約100粒のあずきが入っている。
何気なくいただいているあずきだが、豆なので当然ながら農産物だ。だから出来不出来はもちろん、大きさや形だけでなく、硬さなども個体差がある。
品質を一定に保つため、割れたものやゴミなどが混入していないかを入念に調べ、大きさ・形・色が揃うように自社で独自に選別を行っている。
「炊き上げた時に食感の差が出ないよう、サイズの均一なものを使うことを最も心がけています」(三浦さん)
選別で弾かれたあずきは約2%になるそうだが、それらはこし餡にするなど、無駄なくきっちり使われている。
あずきは食物繊維と糖質を主体に構成されており、脂質をほとんど含まない。ビタミンB群や鉄、カリウムといったミネラル、さらにサポニンやポリフェノールなど栄養がバランスよく含まれている。
そのため、便秘解消やアンチエイジング、貧血予防、高血圧予防など、さまざまな健康効果が期待できるという。
おいしく食べて体にもいいなんて最高じゃないか、「あずきバー」。
毎日の生活に取り入れてほしいとの思いなのだろう。井村屋のホームページを見ると「あずきバー」アレンジレシピなるものが多数載っている。一時ネットで話題になった「あずきバーぜんざい」をはじめ、驚いたのは「あずきバー五目ごはん」や「あずきバーで肉じゃが」なるものを発見!
要するに、砂糖の代わりに「あずきバー」を使うということらしいのだが、これはちょっと試してみたい。三浦さんにおすすめのレシピを聞くと「でもそのまま食べるのが一番おいしいんですよね」と笑う。
ちなみに近年、日本の食べ物や食文化が世界でウケているが、「『あずきバー』もアメリカや香港、中国、台湾など世界19カ国で輸出・販売されており、年々販路は広がっています」と三浦さん。
またマレーシアでは、完全ローカライズ化された「IMURAYA AZUKI BAR」の現地生産が行われている。ハラール認証されており、日本の商品に比べるとさらに甘さ控えめなのだそう。
世界に広がる「あずきバー」。その様を想像しただけでワクワクする。
東名阪で無料配布 「井村屋あずきバーの日」はイベントへGO!
2007年、7月1日を「井村屋あずきバー」の日として制定した井村屋。
健康にも良くておいしい「あずきバー」を食べて、暑い夏を乗り切ってほしいという思いから、この日を選んだのだそう。
今年2023年の7月1日には、先述の通り全国3会場(東京・コレド室町テラス 1階大屋根広場/大阪・ヨドバシカメラ梅田 1階南東⼝前/名古屋・KITTE名古屋 1階イベントスペース)にて、合計約1万5千本の「あずきバー」を無料で配布するサンプリングイベントを4年ぶりに開催する。
東京では6月30日(金)~7月2日(日)の3日間、「あずきバーの夏祭り」も開催。
老若男女が楽しめるようにと、輪投げ、スマートボール、ヨーヨーすくいの屋台が出る予定だ。屋台の参加者には、50周年を記念した限定オリジナルデザインのヨーヨーなど、「あずきバーノベルティグッズ」をプレゼント。
ぜひ無料サンプリングとあわせて楽しんでみてほしい。
また、50周年を記念した「井村屋 大事な人とあずきバーキャンペーン」も9月30日(土)まで実施。5万円のギフトカードや井村屋商品詰め合わせなど、過去最大の当選者数5050名に当たるプレゼントが用意されている。
対象商品は「BOXあずきバー」、「BOXあずきバー ミルク」、「BOXあずきバー 抹茶」の3種類。詳細はキャンペーンページをご覧あれ。
ここまで駆け足で「あずきバー」について書いてきたが、特別に目立つようなタイプじゃないのに、気づけば存在感を発揮している、昔からの頼りになる仲間のような感じがするのだ。そんな「あずきバー」を、私はこの先も愛していきたい。
■「あずきバーの夏祭り」
[開催日]2023年6月30日(金)~7月2日(日)
[開催時間]6月30日(金):12時半~17時、7月1日(土)、2日(日):11時半~17時
[開催場所]コレド室町テラス1階 大屋根広場(東京都中央区日本橋室町3丁目2−1)
[体験内容]わなげ、スマートボール、ヨーヨーすくい
[ノベルティ]あずきバーオリジナルメモ帳(わなげ)、アズキキングうでバルーン(スマートボール)、あずきバーヨーヨーすくい
[参考]井村屋ホームページ
https://www.imuraya.co.jp/
取材/市村幸妙 写真提供/井村屋
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