「あずきバー」誕生のきっかけとアップデートの歴史
日本人なら知らない人はいないのではないかと思う、国民的アイス「あずきバー」。どっしりとした存在感かつほっこりするおいしさで、私、ライター・市村も長く愛食している。
そんな「あずきバー」が今年2023年、発売から50周年を迎えた。
製造・販売元の井村屋は、1896(明治29)年に和菓子店として創業。同社商品開発部 主任 三浦 萌さんは、
「時代を経て多角化に挑み、アイスクリームやビスケットなど、それこそチョコレート以外のいろいろなお菓子作りに挑戦したと聞いています。その中で、先行する大手乳業メーカーのバニラアイスには競争で勝てないという厳しさがあったようです。
そんな時に『うちにはあずきがあるじゃないか!』と原点に立ち返った結果、1973(昭和48)年に和菓子の製造技術を活かして生まれたのが『あずきバー』なのです」
と教えてくれた。
「ぜんざいを凍らせたようなアイスを作る」という目標のもと開発された「あずきバー」だが、実は時代に応じた味のアップデートが行われている。
例えば、1993(平成5)年には添加物への意識の高まりを受けて着色料の使用をやめている。現在は嗜好性や健康志向の高まりなども鑑みて、甘さや塩味を控えめにするなど、毎日でも食べられるようなスッキリとした味へと変わっている。
確かに、子どもの頃に食べていた「あずきバー」は、もっとコッテリとしたものだったような気もする。
今年はそのおいしさを堅持しつつ、原材料を見直すリニューアルが行われた。とろみをつけるために使われていたコーンスターチは、小豆を粉砕したパウダー状の「あずきパウダー」に変更。原材料は砂糖、あずき、水あめ、食塩と、よりシンプルになった。