日本に残る数少ない秘境、サロベツ原野 北海道の絶景といえば、世界遺産・知床半島や釧路の湿原、あるいは富良野のラベンダー畑や美瑛のパッチワークのような田園風景を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。 だが、北海道には、道…
画像ギャラリー北海道北部を舞台に野生動物や絶景を撮り続け、数多くの写真賞を受賞している写真家・佐藤圭さんの個展「生命萌ゆる〜北海道の野生〜」が、現在(〜10月9日)、東京・西新宿の『ニコンプラザ東京 THE GALLERY』で、開催されている。
傑作!ナキウサギの大ジャンプ
今回、展示されているのは、エゾシマリス、エゾナキウサギ、エゾシカ、エゾオコジョ、エゾユキウサギといった北海道だけに棲む野生動物たちの写真で、見ていると目尻が下がってしまうかわいらしさは当然だが、圭さんの写真には、北海道の厳しい自然の中で生き抜く野生動物たちの、神々しいまでのたくましさが活写されている。
特に、エゾシマリスとエゾナキウサギの四季を追ったパートは、頬袋ぱんぱんに食料を詰め込んだシマリスや越冬用に草木を敷き詰めたナキウサギの巣など、彼ら独特の生態が垣間みられて、興味深い構成になっている。
エゾナキウサギがナナカマドの葉をくわえてジャンプしている写真は、第35回「日本の自然」写真コンテストで最優秀賞を受賞している。
日本に残る数少ない秘境、サロベツ原野
北海道の絶景といえば、世界遺産・知床半島や釧路の湿原、あるいは富良野のラベンダー畑や美瑛のパッチワークのような田園風景を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
だが、北海道には、道産子でも知らないようなとんでもない絶景がまだたくさん残ってる。それを教えてくれたのも佐藤圭さんだ。
圭さんは、これらの絶景を「秘密の絶景」と名付けた。
圭さんによれば、彼が暮らす道北は、長い冬の間豪雪に閉じ込められる厳しい環境ゆえ、人には知られていない手つかずの自然がたくさん残っているという。
彼が撮影した場所も、有名な観光名所ではなく、アクセスもよくないので訪れる人も少なく、「秘密」にしたくなくとも「秘密」になってしまっているところが多い。それゆえ「秘密の絶景」なのだ。
今回の写真展では、サロベツ原野に暮らす野生動物を入れて撮影した絶景の三部作「生命萌ゆる」が展示されている。
サロベツ原野は、北海道の北部、日本海沿いに広がる湿原で、山手線の内側がすっぽり入るほど広さに人の手がほとんで入っておらず、日本では数少ない秘境だといえる。
その沖合には、利尻島があり、島の大部分を占める利尻山は別名「利尻富士」と呼ばれ、原野から眺めると水平線からそのまま稜線が立ち上がり、本家富士山に負けない迫力がある。
【ニッコールクラブ会員展】
佐藤圭「生命萌ゆる〜北海道の野生〜」
https://www.nikon-image.com/activity/exhibition/thegallery/events/2023/20230926_tgt.html
ニコンプラザ東京 THE GALLERY
2023年10月9日(月)まで開催中(日曜休館)
10:30〜18:30(最終日は15:00)
夜空を埋め尽くす星々の中に屹立する海中鳥居
佐藤圭さんが7月に上梓した写真集「秘密の絶景in北海道」には、言葉を失って見惚れてしまうような写真が数多く掲載されている。
新千歳空港からJRとバスに約4時間半ゆられてたどり着く初山別(しょさんべつ)村の海岸に立つ海中鳥居。その背景には、文字通りの満天の星が夜空を埋めつくす。
北海道の背骨たる大雪山系の奥の奥、夏から秋の4ヵ月しか入れない大雪高原の沼沢群。晴れ渡った青空と鮮やかに染まった紅葉が沼の水面に映り、見事なシンメトリーを描き出す。
見たら思わずため息が出る絶景と野生動物たちの貴重な姿を写しとった写真集、こちらもぜひオススメです。
【プロフィール】
佐藤 圭(サトウ ケイ)
ー動物写真家ー
1979年、北海道留萌市生まれ。
動物写真家/SLASH写真事務所代表。
北海道の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。2020年よりアルパインブランドMILLETのアドバイザーを務めている。
著書『山の園芸屋さん エゾシマリス』(文一総合出版)
著書『佐藤圭写真集 秘密の絶景in北海道』(講談社)
著書『鳴き声できずなを結ぶ エゾナキウサギ』(文一総合出版)2023.9発売
第35回 『日本の自然』写真コンテスト・最優秀賞
第70回 ニッコールフォトコンテスト・長岡賞&第三部ニッコール大賞
2022年 世界の果てまでイッテQ!(日本テレビ)出演