ようやくの、秋本番。時間も穏やかに流れるこの時期は、無性に本を読みたくなりませんか?読書の秋、食欲の秋でもありますし、本のエキスパートたちが選ぶ“おいしい”本を厳選してご紹介します。今回は、世界一といわれる古書店街、東京・神田神保町にある『悠久堂書店』の4代目店主・諏訪雅也さんおすすめの5冊です。
【『悠久堂書店』4代目店主 諏訪雅也さん】
料理のプロも唸る珠玉の名古書
食の専門書に強く、古今の名著が豊富に揃う『悠久堂』。「こんな本はどうですか?」と諏訪さんが絞り込んだのはどれも食を専門に扱う書店らしい濃い顔ぶれだ。『美しくにフランス』や『美食三昧』は、フランスの食文化に深く切り込みながらかしこまらず、読み物として楽しめる。
「『世界の名酒事典』は世代を超えて人気が高いです。新本もありますが、創刊号が出た70年代にはこういった本はありませんでしたので特に貴重です。お酒のプロがよく探していますよ」という。
他にも見ただけで惹きつけられるビジュルアルと充実した内容のバランスが絶妙な「茶懐石事典」や「世界の料理」シリーズなど、古書店店主ならではの眼力で見出した魅力あふれる5冊を紹介。
【recommend1】『美食三昧‐ロートレックの料理書‐』トゥールーズ=ロートレック、モーリス・ジョワイヤン 著、座右宝刊行会編集部 訳
美食家で料理は芸術と考えていたというロートレック。ベルエポックを偲ばせるそのレシピを紹介。「挿絵豊富な他に類を見ない料理書。ネズミイルカのレシピなど興味深い料理も登場します」
【recommend2】『美(うま)しくにフランス‐味への旅 パリの地方料理と市場‐』柴田書店 編
プロ向けの料理専門書を手がける柴田書店が編集。パリにおける地方料理と市場などを取材し、フランス食文化を探る。「料理を勉強するプロにも、食べるのが好きな人にもどちらにも興味深い本」
【recommend3】『世界の名酒事典 1978年版』講談社 編
創刊から45年続いている、ウイスキー、スピリッツ、ビールなど世界の名酒を網羅した国内唯一の酒の事典。「常に人気がある本ですが、こちらは貴重な初年度本で特に人気です」