全店2023年オープン!蕎麦の新店おすすめ7選 ビストロのような店内で食べる「ピーマンせいろ」が気になる…!

和食と蕎麦、どちらも高い完成度を追求『くろきつね』@六本木 厨房では常にふたりの職人が腕をふるっている。和食と蕎麦、いずれもそれぞれの技を追求したプロだ。和食の料理長によるつまみは素材を吟味し華やかに盛り付けたお造りに、…

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気鋭の蕎麦新店を徹底リサーチ。夜にキリッとおいしい蕎麦をいただける店をご紹介しましょう。2023年、東京都内にオープンした蕎麦店を調査した結果、今行くべき蕎麦の新店が7軒見つかりました。老舗出身者に創作系、あの名店の移転まで、蕎麦前から〆の蕎麦まで楽しめる店揃いです。

凛とした蕎麦とつまみに酔いしれる『明神下 蕎麦 おしん』@御茶ノ水

蕎麦の美しさは職人の腕前、ひいてはその味わいに直結する。切り口も冴え冴えとした極細のせいろをそっと箸で持ち上げたぐってみれば、凛々しいコシの後からふくよかな甘みが広がった。粗挽き粉十割の田舎蕎麦だって粋な風情の細切りだ。温蕎麦に目を向ければ、やや太めの九一を使い、もっちりとした心地良い弾力の後から香りがふわり

蕪あんかけ蕎麦 1700円

『明神下 蕎麦 おしん』蕪あんかけ蕎麦 1700円 すりおろしたかぶらを加えとろみをつけた汁が身体を温める

そんな蕎麦たちを丹精込めて打つのが店主の黒崎さん。芦屋や池尻大橋の『土山人』で長年経験を積んだ、確かな職人だ。もちろん蕎麦前だって歯ざわりも小気味良い「蓮根饅頭」に、じっくり染みた味噌の風味が日本酒を呼ぶ「大山鶏西京焼き」をはじめどれも上々。こんな店で酒盃を片手にゆるゆる過ごす夜は、なんと気分がいいものか。

『明神下 蕎麦 おしん』

[住所]東京都千代田区外神田2-8-2
[電話]03-5577-5709
[営業時間]11時半〜15時(14時半LO)、17時半〜22時(21時半LO)
[休日]水
[交通]JR中央線御茶ノ水駅聖橋口から徒歩7分

センスあふれるつまみと酒、令和の大衆蕎麦屋『黒猫庵』@蔵前

ここはワインバーかビストロか?テーブルにはめ込まれた石臼がなければきっとそう思うに違いない。それでも「目指すのは気兼ねなく寛げる町の大衆蕎麦屋」と店主の長谷川さん。

とはいえ、そこかしこに令和のエッセンスもきっちり盛り込んだ。夫婦で酒好きというアルコールの揃えは和酒のみならずワインやスピリッツまでジャンルレス。つまみの筆頭が通年で置く生牡蠣で、和え衣にクリームチーズを使うキウイの白和えなんかも面白い。蕎麦前をじっくり堪能したら〆へといこう。

ピーマンせいろ 1050円

『黒猫庵』ピーマンせいろ 1050円 鍋で細切りしたピーマンを炒めてからツユを注ぐ。シャキッとした食感もアクセントで、軽やかな苦みによって蕎麦の繊細な甘みも膨らむ

十割で打つ蕎麦のコシはしなやかで麺肌のほのかなザラつきにツユがしっかり絡みつく。さらに青い風味がダシと見事にマッチした「ピーマンせいろ」といったオリジナルの蕎麦にも目を見張るはず。

『黒猫庵』

[住所]東京都台東区蔵前368
[電話]03-5809-2326
[営業時間]18時〜23時(22時LO)、日:15時〜21時(20時LO)
[休日]月、第1・3日
[交通]都営地下鉄浅草線ほか蔵前駅A0出口から徒歩1分

変わらぬ味を守る老舗仕込みの粋な蕎麦『手打蕎麦 里り』@三軒茶屋

店主・野村さんは前職がアパレルというちょっと異色の経歴の持ち主。人生の第2ステージに選んだのが子供の頃から好物の蕎麦だった。修業先は味と歴史に惚れ込んだ『神田まつや』。伝手は一切なしで長文のラブレターを送って厨房へすべり込んだと笑顔で話す。

ごま汁 1200円

『手打蕎麦 里り』ごま汁 1200円 この日は北海道産と1年熟成の茨城産をブレンド。もり汁に黒ごまペーストを加えたツユは芳ばしく、蕎麦湯を注げばさらに香りが立つ

野村さんが蕎麦作りで最も大事にすることは「季節を問わず味を一定に保つこと」。 それがいかに難しいことか。産地や収穫時期が変われば食感や風味に違いが出る。わずかな誤差を無くすため複数の粉をその特性に応じてブレンドし、味をキープし続けているという。切り口がピンと立った蕎麦をすすってみれば奥歯でコリっと音が響くほど端正なコシ。そこへ継ぎ足してまろみを帯びたかえしのツユがぴたりと寄り添ってくれる。

『手打蕎麦 里り』

[住所]東京都世田谷区若林1-1-2 藤和シティコープ若林103
[電話]03-6805-3669
[営業時間]11時〜14時半(14時LO)、17時〜22時(21時LO)※木は夜のみ
[休日]月
[交通]東急田園都市線三軒茶屋駅三茶パティオ口から徒歩6分

和食と蕎麦、どちらも高い完成度を追求『くろきつね』@六本木

厨房では常にふたりの職人が腕をふるっている。和食と蕎麦、いずれもそれぞれの技を追求したプロだ。和食の料理長によるつまみは素材を吟味し華やかに盛り付けたお造りに、薄衣でさっくり揚げた天ぷら、さらに季節ごとの一品料理を織り交ぜて、まるで割烹のような佳肴が並ぶ

もちろん蕎麦も負けてはいない。するりとのど越しよく打ち上げた九一の「もりそば」で軽やかに〆るって手もあるけれど、今時期ならば温蕎麦もいいだろう。こちらは丸抜きにさらに甘皮を足して挽いた田舎蕎麦

豚そば 1600円

『くろきつね』豚そば 1600円 豚バラ肉のコクと甘みによってツユはさらに深みを増す

温かな汁に浸った太打ちからは湯気と共に野趣あふれる香りが立ち、穀物らしいふくよかな甘みがなんとも素朴だ。本枯節の一番ダシで作るツユの澄んだ旨さにも思わずほぅっとため息がもれる。

『くろきつね』

[住所]東京都港区西麻布3-1-20 Dear西麻布2階
[電話]03-6721-0933
[営業時間]11時半〜15時(14時半LO)、18時〜23時(22時半LO)
[休日]日・祝
[交通]地下鉄日比谷線ほか六本木駅1c出口から徒歩4分

居酒屋使いできる気軽さもうれしい『李蕎庵(りきょうあん)』@小川町

ひとりで過ごす蕎麦屋酒もいいけれど、ここには誰かを誘って来たい。というのも鴨焼きや出汁巻きといった定番以外にも、豊洲から毎朝届く鮮魚に酒のアテまでと、つまみは居酒屋くらい気の利いた品揃えで、あれこれ並べて賑やかにテーブルを囲みたくなる。しかも有名どころから変化球まで日本酒のラインナップの層も厚い上、手頃な価格もうれしい限りだ。そして〆も優秀。

鴨せいろ 1350円

『李蕎庵(りきょうあん)』鴨せいろ 1350円 つけ汁には鴨肉がたっぷり

蕎麦粉は自家製粉ではなく挽きムラの少ない製粉所からの仕入れに徹し、細すぎず太すぎず、ちょうどいい塩梅の二八に打ち上げる。なめらかな麺肌が酒で火照った舌をやさしく撫で、しなやかなコシの余韻を残しながらするりと胃袋まで落ちていく。そんな快感がクセになり、いつまでもすすっていたくなる。

『李蕎庵(りきょうあん)』

[住所]東京都千代田区神田美土代町9-17 日宝神田淡路町ビル地下1階
[電話]03-5577-7577
[営業時間]11時半〜14時半(14時LO)、17時〜22時(フード21時、ドリンク21時半LO)
[休日]土・日・祝
[交通]都営地下鉄新宿線小川町駅B6出口から徒歩1分

蕎麦畑が脳裏に浮かぶ力強い在来種の味わい『蕎麦 おさめ』@目白

『おさめ』第2章の舞台は山の手、目白。築100年になる一軒家はかつて茶人や音楽家など文化人が家主だったそうで、茶室を利用した個室や坪庭も備えた趣は、蕎麦という日本の食文化を表現する店主、納(おさめ)さんに相応しい新天地だろう。

目当てはもちろん店の代名詞、昔ながらの在来種を使う十割蕎麦だ。全国20ほどの生産者から常時3種を厳選。せいろ、粗挽き、玄挽きとそれぞれ産地と打ち方を変えて供している。手繰れば驚きに満ちた香りと力強い味わい

玄挽きそば 1320円

『蕎麦 おさめ』玄挽きそば 1320円 在来種は交雑せず栽培される日本古来の希少品種。この日の玄挽きは鳥取伯耆在来。香りを楽しめるようねぎは付けない

栽培地に行き、生産者と交流し、時に作業も手伝う納さんの蕎麦への愛と情熱が伝わってくるようだ。「在来種の魅力をいかに伝えるか、バトンを渡された使命感のようなものです」。探求は今なお。第2章の物語も楽しみで仕方ない。

『蕎麦 おさめ』

[住所]東京都新宿区下落合3-21-5
[電話]03-6908-2362
[営業時間]11時半~14時半(14時LO)、17時半~21時(20時LO)
[休日]月・火
[交通]JR山手線目白駅から徒歩7分

おと週的には少し高いですが、おすすめ!『仁行(にぎょう)』@浅草

名人の打つ蕎麦を手繰る幸せに酔いしれる

店主の石井仁さんは蕎麦好きには名の知れた人物だ。31年前に『いし井』(神田)を開いた後、移転を繰り返すこと六回。流浪の名蕎麦職人と言われる所以だ。今回、石井さんが選んだのは浅草観音裏の民家。

メニューは全10品の蕎麦懐石のみでその日の献立は食材と石井氏の気分次第だが、何を食べてもべらぼうに旨い。中でも蕎麦寿司は蕎麦と具材、穴子の煮詰めや自家製山葵マヨネーズなどが絶妙のバランス。口の中ではらりとほどけるのも実に粋だ。

蕎麦懐石 8800円

『仁行(にぎょう)』蕎麦懐石 8800円(奥)花巻蕎麦 (手前)もりそば ※写真は一例 お椀代わりの花巻蕎麦は海苔の香りがたまらない。もりそばよりわずかに太く、しなやかなコシはそのまま、蕎麦の風味が豊か

そしてもりそばが登場すると、なんと瑞々しい極細の蕎麦かと目を奪われる。手繰ればしなやかなコシ、のど越しの良さに感激。十割とは思えぬ“水腰蕎麦”と呼ぶにふさわしい逸品だ。食べ終えれば身も心も満たされること必至である。

『仁行(にぎょう)』

[住所]東京都台東区浅草4-43-2
[電話]070-1469-4541
[営業時間]16時~21時(予約時間は17時~18時)
[休日]火(不定休)
[交通]つくばエクスプレス浅草駅A出口から徒歩10分

撮影/小島昇(おしん、黒猫庵、李蕎庵、仁行)、西崎進也(里り、おさめ)、沼沢善将(くろきつね)、取材/菜々山いく子(おしん、黒猫庵、里り、くろきつね、李蕎庵)、肥田木奈々(おさめ)、松田有美(仁行)

2023年12月号

※2023年12月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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