光源氏が訪れた野宮神社、霊験あらたかな「お亀石」 お腹もいっぱい、体も温まったところでいざ「竹林の小径」の中へ。観光客でごった返す小径を進むと、源氏物語「賢木(さかき)の巻」で光源氏が六条御息所(ろくじょうのみやすどころ…
画像ギャラリー2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』は紫式部が主人公です。紫式部にゆかりの深い京都市の西山エリアの注目スポットを紹介します。冬ならではのグルメに、平安の空気を伝える神社。ご馳走と運気やパワーをいただきましょう!
日本画家の邸宅跡『豆腐料理 松ヶ枝』で眺めた見事な景色
嵐山(あらしやま)は京都の王道の観光地ですが、この辺りは源氏物語に描かれた場所もあり外せないエリアです。まず向かう先は渡月橋のたもとにある自家製豆腐の人気店『豆腐料理 松ヶ枝』です。
大堰川(おおいがわ、桂川の上流)に面した店の石段を上がると、きれいに整えられた美意識の高い空間が現れます。ここは明治の日本画家・川村曼舟(かわむら・まんしゅう)が暮らし、かつては、陶芸家で美食家としても知られる北大路魯山人(きたおおじ・ろさんじん)や日本画家・横山大観(よこやま・たいかん)など多くの文化人が集った邸宅跡だそう。客席からは目の前の庭とその向こうの山々を借景にした見事な景色が目を楽しませてくれます。
繁忙期は数時間待ち、それでも味わいたい自家製豆腐
メニューは自家製豆腐のセットが3種類。先付や小鉢に湯豆腐、にしんしぐれご飯がついた〈雅〉(2140円、税込)のほか、天ぷらがついた〈松ヶ枝〉(2980円、税込)、湯葉料理とそばが加わる〈京の湯葉づくし〉(3460円、税込)があり、14時半以降はそば茶を使ったスイーツも注文できるようになっています。
冬はやっぱり熱々の湯豆腐。国産大豆を使用した自家製の2色のお豆腐は、そば粉を使ったそば豆腐と抹茶豆腐です。つるりとなめらかな豆腐は絹ごしよりしっかりした固さがあり、大豆の豊かな風味がダイレクトに広がります。抹茶豆腐は繊細な抹茶の香りがふんわりと鼻に抜けてかぐわしい。しょうゆとごまダレが付いてきますが、塩のみで食べると濃厚な豆乳が引き立ちおいしい! ひろうすなどのお料理はどれも優しいお味で、年の瀬の疲れ気味の胃袋にじんわり染み入ります。繁忙期は数時間待ちになることもあるそうなので予約がおすすめです。
光源氏が訪れた野宮神社、霊験あらたかな「お亀石」
お腹もいっぱい、体も温まったところでいざ「竹林の小径」の中へ。観光客でごった返す小径を進むと、源氏物語「賢木(さかき)の巻」で光源氏が六条御息所(ろくじょうのみやすどころ、『源氏物語』の登場人物)を訪ねた場所、『野宮(ののみや)神社』が現れます。
「野宮」とは伊勢神宮に仕える斎王(内親王や王女から選ばれる)が伊勢へ行く前に身を清めるための場所で、もともとは天皇一代ごとに場所を移していたそう。南北朝時代の混乱期に斎王制度が失われ、神社として今に残されたのが『野宮神社』です。
樹皮がついた丸木でつくられる日本最古の鳥居形式「黒木(くらき)鳥居」と、鳥居両袖のクロモジを用いた小柴垣。源氏物語や謡曲、和歌に描かれた風情が今に平安の空気を伝えます。
本殿にはひっきりなしに参拝者が訪れていますが、その左手、大黒天の横には神石「お亀石」と札がついた石があります。こちらは祈りながらなでると願いがかなうという霊験あらたかな石なので、しっかりなでてパワーをもらいましょう。
緑の絨毯のような苔が茂る「じゅうたん苔」
お願いごとが済んだら苔庭「じゅうたん苔」を見に境内右手へ。緑の絨毯のように苔が茂る庭は白砂部分が大堰川、その上にかかる橋は渡月橋という嵐山の風景を模しており、優美な姿に心が癒されます。
源氏物語旧蹟だけあって絵馬やお守りにも物語にちなんだ十二単の女性が描かれ、旅する時空はすっかり平安時代……。そんな雅なひとときを体感してみてはいかがでしょう。
【豆腐料理 松ヶ枝】
住所/京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3番地
電話/075-872-0102
営業時間/11:00~16:30(観光シーズンは10:30~)
定休日/無休(元日12:00~)
【野宮神社】
住所/京都市右京区嵯峨野宮町1
開門時間/拝観自由
参拝料/無料
編集/エディトリアルストア
取材・執筆/渡辺美帆、成田孝男
写真/奥田正治
※情報は令和5年12月4日現在のものです