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「そうだ 京都、行こう。」のプレスツアーでは、レトロ建築がそのまま残されたレストランやホテルなどもめぐって、その歴史ある空間に癒された。そもそも「千年の都」称えられる京都は歴史的建造物に囲まれている。平安京から幕末までの約1100年。平安時代から続く神社仏閣も多い。それゆえ、より気軽に「本物のレトロ」に触れあえるのでは? そして明治・大正・昭和の風情がそのまま残る洋館建築がそのまま地元の人気店になっているなど、街中にも見どころが多いのだ。

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大正15年建築の洋館、家具はヴォーリズの設計

そのひとつが鴨川沿いにある老舗中華料理店「東華菜館」だ。鴨川を挟んで向かい、四条大橋にあるスパニッシュ・バロック様式の洋館で、大正15年に建築された。

京都の夏といえば鴨川の川床。「東華菜館」にもせせらぎや風が涼やかなテラス席が

10以上の部屋ごとに装飾や家具が異なり、訪れるたびに違う印象なのも、リピーターが多い理由。2階の個室は、日本で長く暮らした米建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880~1964年)設計の家具がそのまま使われており、建築好きにはたまらない。

夏なら鴨川へとせり出した納涼床で食事を楽しむのもいい。高所恐怖症の人ならひるむくらいの高さで、遮るものが何もないので、水辺から心地よい風が吹いてくる。伝統的な北京料理はみなでシェアできるので、宴会にもぴったり。6600円からのコース料理もあるが、一品料理からのオーダーも可能で、職場の仲間だろうか、4、5人で盛り上がる地元のグループも。京都人はこんな「ほんもののレトロ」空間を日常使いしているのか。うらやましい!夕暮れ時に明かりが灯る南座(歌舞伎でおなじみの日本最古という劇場)など、対岸の景色も風流だ。

鴨川沿いにある「東華菜館」の向かいは歌舞伎でおなじみの南座

空間だけでない。お味もちょっと懐かしくなるような、優しい中華。もともと北京料理は香辛料をあまり使わず、塩で味を調える傾向がるが、大エビの唐辛子炒めも豚スペアリブ甘酢葛掛けも尖ったところがなく、ほっとするような味わいだった。

1人6600円のコースは前菜から北京ダックまで、バランスよくいただける

もともと京都には刺激の強い香辛料はつかわず、だしを生かした上品な味付けの「京中華」というジャンルがある。その影響なのか、「東華菜館」も老若男女、誰にもおすすめしたくなる優しい、癒しの中華料理だった。 前菜の盛り合わせには伊勢海老がお出ましになるなど、盛り付けは華やか! 

明治の煙草王の別邸跡

祇園・円山公園の中にある「長楽館」(明治42年建築)は明治の煙草王といわれた実業家、村井吉兵衛(1864~1926年)の別邸跡で、「京都市有形文化財」として保存されている迎賓館。全6室のオーベルジュ「ホテル長楽館」として宿泊することもでき、フレンチの「ル シェーヌ」、ウエディングやギフトショップなど、食の複合施設のような場所となっている。

なかでも「デザートカフェ 長楽館」でのロココ調の洋館の中でのアフタヌーンティはフォトジェニック。今回、試食した「ラ シェーヌ」のフレンチ料理も見目麗しく、若鮎や丹波牛、賀茂なすなど京都やシェフの地元、滋賀の食材も積極的に取り入れている。白薔薇のような生クリームを添えたウインナコーヒーも優美。明治浪漫を体現した洋館で、スペシャルな時を過ごせるのだ。

「デザートカフェ 長楽館」でのアフタヌーンティはシャンパンと共に

CAP5 フレンチレストラン「ル シェーヌ」で提供される8時間コンフィした若鮎 仕上げには新茶を使った塩を

フレンチレストラン「ル シェーヌ」で提供される8時間コンフィ(低温の油で煮ること)した若鮎。仕上げには新茶を使った塩を

今回の「そうだ 京都、行こう。」 のサイトからも長楽館のアフタヌーンティの予約は可能。ほかにも大正時代から現存する「五龍閣」でのティータイム、豊臣秀吉の自邸、聚楽第があった南端にある「佐々木酒造」での利き酒など、歴史ある空間で味わうプランも。佐々木酒造が創業した明治26年には京都市の中心部に131軒の蔵元があり、京都市南部の銘酒の産地・伏見よりも酒蔵の数も生産量も多かったという。

デザートには生クリームを白薔薇にみたてたウインナコーヒーを合わせて優美に

そんな当時の賑わいに思いを馳せながら、レトロな空間の中でほろ酔いになるのもいい。今は俳優の佐々木蔵之介さんの弟さんが継ぎ、洛中(京都市中心部)の酒の味わい深さを伝えている。

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